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プロローグ

ダンジョンマスター系の主人公は大抵「良い人」が多いので、良い所も有るが、基本的には「クズ」だったり「外道」だったり「卑劣」な奴にしました。


ちょっと、読む人を選ぶ可能性が有ります。

 

「どうかされましたか?」

「いやな。物思いにふけていた」

「左様ですか」


 ~回想~ 


 俺の名前は「斎上院燈矢さいじょういんとうや」だ。

 名前から分かる通り古い家の生まれだったのだが、獅子からハゲワシが生まれた。 

 そのハゲワシが俺だ。

 家族からは冷遇され劣悪な少年時代だったが、アイツのお陰で俺にも綺麗な所を残す事が出来た。

 だからか、周りからは良くて「薬にも毒にもならない男」とか言われ、悪くて「大悪党になれない小悪党」とか言われた。

 一応、言っておくが、爪弾きにされない程度には高校生として通っていたからな。


 そして、ある日の雨の中、交差点で女子中学生をかばいダンプに轢かれる訳だ。

 自分でもびっくりだが、アイツの彼女の妹じゃなかったら見捨てていたな。

 そして、俺が死んだ後に動く金は全て「アイツ」に渡る様にしてある。

 まあ、アイツは嫌がるだろうが、せめてもの恩返しだから受け取って欲しいものだ。


 そんな俺だから「生」への執着は無いが、その俺が、まさかの異世界転生とは誰も思わないだろう!

 しかも、今世での覚醒への原因が、テンプレの「ダンジョン下層での追放」だからな!

 更にお決まりの捨て台詞せりふを吐かれてだ!


「役立たずのコジ。お前はクビだ」

「どういう事だ、ガリアス!」

「オレ達は、もうすぐAランクに昇格する」

「だから、お荷物な貴方は要らない訳よ」

「ペルナ!」

「そういう事だな」

「ハリス!」

「無能は不要です」

「そんな、トニアまで!」

「じゃあな、無能でクズなコジ」

「ぐ……」


 ぐぅ……剣で足を……


「そんな無能でクズなコジ。最後の仕事だ」

「囮役、よろしくねー」

「さらば」

「さようなら」

「く、待てよ……」


 しかし、ガリアス達は、俺の声に立ち止まる事もなく去っていた。


「クソったれがー!」


 ……まだだ!


 俺はまだ死にたくない!

 装備は短剣と傷薬が2つに、毒消しが1つか……


「死んでたまるか! 俺は生き延びてやる!」


 とりあえず、剣で刺された足を傷薬で応急手当をした俺は周りを確認する。


「……まだ大丈夫か」


 このまま居ても、モンスターに襲われて喰われて死ぬのは確実だから、俺は生きる為にも行動する必要があるがどうする?


 地上を目指すのは……無理だな。

 此処は、ダンジョンの下層に近い中層で単独で地上までは難しい上に、ガリアス達が先行している。

 しかし、ダンジョン攻略なら、不可能に近いが僅かとはいえ生還出来る可能性が有ると言えるだろう。

 何よりも、ガリアス達の鼻を明かす事が出来るからな!


 ……俺は僅かな可能性に賭けて、ダンジョン攻略に向かった。


 しかし、運命とは非情だった。

 俺は、モンスターに襲われて足を踏み外して底が見えない奈落に転落したのだ。


 ……俺は、痛みを感じない身体に恐怖しながらも、助けを呼ぶ様に手を伸ばすと何かに触れた。


 ……そして、俺は意識を失った。



 《……異端の魂を持つ生体と接触しました。

 これより、この生体をダンジョンマスターに認定します》


 《……生体の生命活動が著しく低下。治療すると共にダンジョンマスターへの上書きを生体に開始します》


 《……生体の治療と上書きが完了しました》


 《……生体の覚醒を促します》


 《……生体への覚醒に成功しました》


 ……あれ?

 俺は死んだ筈だ。

 何故、意識が有るんだ?

 それにしても硬いベッドだな。

 それに医療ドラマで、よく聞く心電図とかの音が聞こえないな。

 まあ、良いか。


 ……ちょっと待て!?


 医療ドラマ? 心電図?

 何故、そんな知らない言葉が頭に浮かぶんだ?


 その瞬間、俺は完全に覚醒した。


「……此処は?」


 周りを見ると、殺風景な石の部屋だった。

 それにしては天井が低いが……


 ……ん?


 目の前に、暗紫色の玉が淡く光っているな。


 ……ダンジョン、……最深部、……淡く光る玉……う、頭が!


 もしもなら、この玉に触れれば判る筈だ。

 俺は、恐る恐る「玉」に手を乗せた。


 ……アレ、反応が無い?


 《それは、何も指示が無いからです》


 ……確定した!


「俺は、ダンジョンマスターになった!」


 《その通りです、マスター》


 この後、ダンジョン・コアから色々と聞いて、行動を開始した。


「……以上だ」

 《イエス、マイロード》


 ……悪魔な執事はお気に入りだ。


 この世界のダンジョンマスターは、テンプレからあまり外れていない。

 ダンジョン外から来る魔力を持つ存在が入ると、DPダンジョンポイントが入り、魔力を行使したりダンジョン内に滞在すると、その自然発生する余剰分や、死亡しダンジョンに吸収されたりしても、DPダンジョンポイントが増える仕組みだ。

 そして、ダンジョン内に限り、このDPダンジョンポイントで大抵の事が出来る。

 更に、嬉しい誤算が「ガチャ」だ!

 まさか、近代ダンジョンマスター系の象徴である「ガチャ」が有るとは!

 勿論、DPダンジョンポイントを消費する必要があるけどな。


 先ずは、このダンジョン・コアの部屋を俺の前世の部屋風にカスタムして、ベッドとトイレを設置した。

 次に、このダンジョンにマスターが誕生した事で、出現するダンジョンモンスター、略して「ダンモン」の種類が増えた。

 とりあえず、3階層増やして現時点の最強のダンモンを最後の門番にした訳だが、理由はテンプレ通りで、ダンジョン・コアの破壊=俺の死だからだ。

 ダンジョンマスターは、不老ではあるが完全な不死では無い。

 このダンジョンは、俺がダンジョンマスター、略して「ダンマス」になるまでは、37階層だったが、3階層増やして40階層になった。

 38階層は、前世と今世の知識をフルに使った迷路型にした。

 ダンモンは、30階層から大きく分けると2分化した。

 1つは、強力な制圧力を持つダンモンにして、もう片方は、強力な毒や麻痺を持つ小型のダンモンにした。

 それに加えて、知識としては浅いが心理学も利用した「罠」も設置してある。


 次期Aランク候補のガリアス達の実力を考えると、これで当分は大丈夫な筈だ。


 38階層は、ラスボスの階層で、外見は魔獣ハド○ーみたいな奴だ。


 39階層は、一部解放しているが、9割ぐらいはしばらくは出番は無いな。


 40階層は、ダンジョン・コアの部屋と俺のプライベートエリアになる。


「……さて、準備も出来たし、ダンジョンマスターとして生きる為の『みそぎ』をやるかな」


 何故なら、この世界に生きる者達にとって、ダンジョンとは利用するべき「悪」だからだ!



厳しくも温かいメッセージを待っています!

そして、星の加点をお願いします。

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― 新着の感想 ―
主人公の独特な視点や斎上院燈矢の複雑な過去などが魅力と感じました
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