エルフが報奨を得る
ヨルシカの準透明少年という曲が好きです
「アッーハッハッハッハッ!!」
このウルブスにおいて、最も高く、それでいて最も力の入れられた建造物。その中でも厳かで部屋にある全てに職人の手が入った部屋がある。
壁も床も大理石で構成され、他の建物とは明らかに力の入りようが違う。細工も細かく扉一つ取ってもいくら掛かっているのか想像もつかない。
ここは特別な時にしか使用されない。所謂、上の人達が下の者と接遇する為の空間で、玉座のような豪華な椅子が3つ部屋の奥に設置され、そこから部屋の入り口に当たる部分にまで敷かれた敷物が目を引く。
この敷物ひとつで一般的なエルフの年収など埃のように吹き飛ぶ。それが3枚も重ねられ豪華さと威光、そして相手に威圧感を与えるのに一役買っている。
そんな敷物の上で顔を伏せ片膝をつき、失礼のないよう背筋を伸ばしながら冷や汗を垂らす3人のエルフが居た。
「プロメア様、笑いすぎ。」
「いやなにメーテ、余の娘たちが死んだのだから笑い事ではないのだが、クックックッ…これを聞いて笑わない奴などいまいて。駄目だ、まだおかしくて堪らん。アッーハッハッハッハッ!!」
そして正面から見て玉座の左側に座る御方こそ、エルフ種の代表で在られるルー・テ・メーデの伴侶プロメア。
彼女は玉座に負けない豪華なドレス、髪飾り、首飾り、指輪などで身を包み、更にそれら飾り物ですら足元にも及ばない高貴さを身に着けた婦人なのだが、今の彼女からはそういった印象よりも我が娘らがどうしようもないことをしでかして、それがおかしくて堪らなく笑い転げる母親といった印象が強い。
こちらの姿の方が板に付いているということは、それだけ母性が強いという証拠なのだろう。いくら豪華に飾り立てようとも、プロメアという女の芯の部分というものはどうしても滲み出てしまうのだ。
「ハッハッハッハッ…はーまだおかしい。クハハ、すまんな3人とも。少し目を離した隙にそんな事が起きていたなんて余も予想しておらんのでな。あまりにも予想外なものでつい笑い転げてしまった。許せ。」
「ぷ、プロメア様におきまして!大変!大変申し訳なく…!!」
「良い良い、ユー・ノ・ペノライカ。余の娘よ。そのような畏まった言い方は無用故、母に甘える娘のように立ち振る舞うように。」
ニコリと笑い掛けるプロメアを見たユノはまるで自身の主を見つけたとばかりに手を組んで崇め始めた。
「我が王よ…一生の忠義を捧げます…」
「ーーー我が娘たちはどうにも融通の利かない娘が多いな。まあ今に始まったことではない。では話を戻そう。3人はギルドの決まりを無視しマモノを狩りに出掛け、そこで進化個体に遭遇、更に戦闘行為にまで発展…そして無事討伐に成功…で、良いか?」
「「「は、はい…」」」
こう改めて文章に起こすと大変やらかしているのが分かる。
ここまで経緯をまとめると3人とも自爆魔法にて死亡、そして生命の樹から生まれ直すとすぐに中央で働くエルフに見つかりプロメアの指示でこの応接の間に呼び出され事情聴取を受けることになったのだが、まさかの方法というより予想外の展開によってこれらが引き起こされたと理解したプロメアは大変ご機嫌な様子だ。
娘達が自身の考えを持ち、自身の目的の為に戦い抜いた。これは竜として見ればとても敬意を感じさせる行動である。だからそんな3人をプロメアはとても気に入っていた。
「して、このウルブスはお前たち3人の働きにより進化個体からの脅威に晒されずに済んだ訳だが…報奨を渡さなければならんな。」
プロメアが視線を横に立つメーテに向けるとメーテはタブレットを操作しギルドと連絡を取る。
「メーテとしても今回の3人の働きに報いたい。確かにギルドに通さずに狩りに出るのは推奨されていないけど、別に法で禁止されているわけではない。だから今回は特例としてウルブスから報奨を用意します。」
「狩人組合はどう言ってる?」
「進化個体を見つけ次第調査して引き取りたいという旨を聞いています。多分買い取りになるね。」
「そうか。ならば進化個体の素材についてはそちらに任せ、余達は3人の希望するものを用意しよう。」
かなり寛大な対応に3人は呆気にとられる。間違いなく怒られると思っていたがプロメアとメーテの反応を見るに自分達のやった事は評価されているようだ。
「ん?どうした3人とも、望むものを言うといい。こんな機会、早々ないぞ?」
そう言われても死んでからすぐにこちらに呼び出されて素直に全てをゲロった後、3人はまさかあのプロメアと対面するとは思っていなかったので面を食らっていた。
しかしプロメアが緊張させないように明るく振る舞ってくれているので、3人は最終的に頷き合って望むものを口にし始めた。
「で、ではアタシから、今回の狩猟の提案し、パーティーのリーダーとして狩りを成功させました。なので、この結果を以て前線組の末席に名を連ねられればこれ以上望むことはありません…」
非常に丁寧でいて現実的な提案を口にするユノをプロメアは面白そうに眺めつつ尻尾の先端をフリフリと揺らす。これは彼女がかなり機嫌が良い証拠だと側で控えるメーテは分かっていた。
「ふぅー…私もユノと同じく前線組への推薦を求めます。それと出来ればですがこのままユノをリーダーのしたパーティーに入ったままで前線組への合流を願います。」
「ユノ…ユー・ノ・ペノライカの愛称か。何故彼女とのパーティーに拘る?前線組には経験豊富の狩人たちが居る。その者らの下で働いていけば、何れそなたがパーティーを率いる立場になることも夢でないと思うが。」
プロメアはシリカが人並みを超える向上心と野心を持つを事を見抜いている。だから何故ユノをリーダーとしたパーティーを拘るのか気になった。
「私は上へと行きたいのです。なのでユノのパーティーに入ることが、上へ行くのに最も可能性が高い方法だと愚行致しました。」
「シリカ…」
ユノは感動し、同時にとても嬉しかった。シリカの野心をユノはプロメアよりも理解している。あの酒の場での彼女の言葉、絶対に上へ行くという気持ちに嘘は無かった。
だからこそここまで自分を買ってくれている事にユノは頬を赤らめ、気恥ずかしさでつい顔を伏せてしまう。
「あい分かった。ユー・ノ・ペノライカよ。」
「は、はっ!」
「末の娘にここまで言わせたのだ。その期待、裏切ってはならんぞ。」
「ーーーはい…。最後まで、面倒を見るつもりです。」
「フフッ…良い顔だ。余の若い頃に似ておる。」
まさか、シリカ以上に嬉しい言葉を掛けられるとは思っていなかったユノは心の底から嬉しさが溢れ、それが表情に表れるとソワソワしだし、またも気恥ずかしさで顔を伏せてしまった。
「ではマヒロよ。そなたは何を望む?そなたの事情は知っているつもりだ。本職に関する内容でも構わない。」
3人のことは昨日の段階である程度調べ終わっている。マヒロが飲食業に従事していることも、狩人はあくまで副職であることも。
「ぼくもシリカと同じで構いません。」
「「え?」」
まさかの内容にシリカとユノはマヒロの方を見る。ふたりともマヒロはお金を求めると思っていたが、どうやらふたりと同じく前線組への推薦を願ったみたいだが…
「ちょっとマヒロ…アンタ、別にアタシらに合わせなくていいのよ。」
「そうだよ。マヒロといえばお金でしょ?ここは金貨を願うべきでしょ。」
「ふたりともぼくを何だと思ってるの?」
「「金の亡者。」」
「クハハハっ!おいメーテよ、思っていたよりも面白いぞこの者らは。」
「今まで何度か功を成した妹たちと母様達がここを使う時に同席させてもらったけど、漫才をする妹たちは初めて。」
「「「すみません…」」」
「クックックッ…!息が合っているなお前たち。」
「「「合ってません。」」」
又もや一字一句同じことを同じタイミングで言う3人。種族も違うし生まれるタイミングも違うのにまるで三つ子のようだ。
「ちょっと真似しないでよ!」
「そっちでしょ真似したの!」
「そんなことより先ずはぼくに謝ってよー!」
「はあ〜!?それならふたりは先ず私に謝りなよ!誰のせいで死んだと思ってんのよ!」
「「お前だー!!」」
「アーハッハッハッハッハッハッハッハッ!!」
玉座の肘掛けに手を何度も叩き笑い声を上げるプロメアは終いにはお腹を押さえて笑い出してしまった。
「妹ちゃんたち、一応ここ権威を示す場、とても格式の高い部屋の中だから騒ぐのはここを出た後でね。」
「「「すみませんお姉様ー!!」」」
頭を床の敷物に擦り付けて土下座の姿勢を取る3人。その動きも全く同じで、やっと落ち着いたプロメアもそれを見て三度、爆笑した。
「ハァ~…どうしてくれようか。余はこの者らを気に入ってしまったぞ。若いのに胆力があり行動力と実績を引っ提げている。可愛くて仕方ない。撫でても良いか?」
「プロメア様が望むのなら。あと、メーテも撫でたい。最近は妹たちとの交流がとても少ない。寂しい、ひもじい。」
何故かプロメアとメーテ達による撫で回しが開催。シリカ・ユノ・マヒロの3人は極楽浄土の住人のような表情を浮かべ、ほにゃほにゃになる。
「こほん、では3人への報奨の件、余が責任をもって叶えよう。ギルドには話を通しておく。ギルド長から詳しい話を聞くと良い。」
「ほへへ〜わ〜かりあ〜した〜。」
「では下がるといい。もう少し話したいがこちらもやらねばならんことがあってな。下までは部屋の外で控える者に任せる。」
こうしてシリカ・ユノ・マヒロの3人は上の人たちとの面談が終わり、後ろの扉を出ると外で控えていたエルフに一階から最上階まで繋ぐエレベーターへと案内される。
案内するのはこの時計塔で働く年長者の樹人種。しかしあくまで皆と比べてになる。まだ十年と生きたことがないので見た目も中身も少女なのだが、その足の運び一つとっても品位とここで働く者特有の誇りが感じられる。
「あ〜まだ夢心地よ〜。あのプロメア様から直接お褒めの御言葉を頂くなんて〜!あぁ…!とても素敵だったわ〜!!」
「メーテお姉様も素敵だったよ!あんなに落ち付いてプロメア様の補佐をしててカッコよかったな〜!」
「お目通りが叶ったのが一番の報奨だよ〜!上の人たちから覚えがいいのはどの職業でも有利だからね〜♪」
うんうんと頷く案内の少女。どうやら見た目やその服装から少し硬い印象があるが、あまり他のエルフと違いはなさそうだ。
「ねね、ここで働く人の衣装カッコよくない?」
「あ、アタシも思ったわ。やっぱりパリッとしててカッコいいわね〜。」
「あんなに長いスカート、下で働くには邪魔になるけど、ここだと荘厳な雰囲気を作るのに一役買ってそう。」
「ぼくたちは動くからね〜。スカートとかはオフの日にしか履けないよ。」
自分の服装が褒められて耳を赤くする案内人の少女。もしかするとあまり人から褒められる機会が無いのかもしれない。
恐らくここで働くエルフたちがここで働く者達以外と交流する機会が無いからだと思われる。もしこの服装で街なかを歩けばみんなから羨望の視線を集めるに違いない。
「ーーー3人とも、お話は聞いています。」
エレベーターが来るまでの待機時間、当然案内人の少女から声を掛けられる。
「あ、はい。あの、御迷惑をお掛けして申し訳ありません…後処理を任せる形になっているのは分かっています…」
「「すみません…」」
「あ、謝らないでいいですよ!3人は英雄的な行動を見せました。もしここで対応出来ていなかったらウルブスに直接的な被害があったかも知れないと中央ではそう認識しています。なのでお礼を言わせてください。私たちの代わりに事態に対処して頂きありがとうございます。」
上の人たち、そのお側で働く彼女も3人からしたら充分上の人たちなのである。そんな彼女に頭を下げさせた。3人は慌てた様子で頭を上げるようお願いをする。
もしこんな事がバレたら反感を買いどの店も出禁になるだろう。それぐらいこの時計塔で働く者達は雲の上の存在なのだ。
「やめてください!私たち他の娘達にリンチされます!」
「リンチ…?どうして?あなた達は称賛されて当然のことをやってのけたのよ?姉として、あなた達を誇りに思うわ。」
ニッコリと笑う彼女は自分たちと同じ外見年齢なのに、ずっと年上の姉のように感じるのはやはり品性と教養のせいだろうか。
自分たちには縁のないものばかりで圧倒されてしまう。
「ねえねえ、この人ホントにアナタと同じ樹人種なの?別の生き物に思えるのだけど。」
「そんなことお前に言われたくないけど私も同感だから何も言えない…」
「あの〜失礼を承知で聞かせてほしいのですが…お姉様はいつの世代に生まれたのですかー?」
「私?私は二世代目の樹人種よ。」
「「「二世代目っ!?」」」
一世代目は言わずもがなだが、二世代目も相当有名どころが揃っている。一世代目の姉たちにとてもよくされ、そういった姉たちからの教育が行き届いていた事で二世代目の方々は一世代目のお姉様方にも負けない実力を持つとも言われているのだ。
「改めまして私はホウマと申します。もしかしたら皆さんとはこれからも顔を合わせるかもしれません。」
スカートをつまみ、片足を引いて見事なカーテシーを披露するホウマと名乗った樹人種のお姉様。3人はまるで別の惑星から来た人間と言わんばかりの視線を彼女に向けると、ホウマは苦笑しながら上がってきたエレベーターへ3人と一緒に乗りこむ。
「この魔道具すごいです。ギルドにもありますけどこれはそれよりも上等なものだと思いました。」
「ルーテ様が直々に魔法陣を作成したものですからね。振動も無く乗り心地が良いとされています。」
「ルーテ様が!それは大変貴重な体験をさせてもらってます!」
「うふふ、生まれた時にこのエレベーターは使用しないので一度も体験しない娘が殆どですからね。」
生命の樹は地に根を下ろしている為、1階部にある関係上ここのエレベーターの存在すら知らないままの娘も少なくない。
「…着きました。では外まで案内させて頂きます。」
かなりの速度なのか、エレベーターに乗ってあっという間に1階へと到着し、ホウマの案内で時計塔の外まで向かう。
1階に降りるとすぐ目を引くのはものすごく高い天井とその中央に置かれた半円球状の魔法陣。その魔法陣内部には生命の樹と、その隣に眠るプロメアの本体、そしてアズテックオスターが鎮座し、その周りをドーム状の魔法陣で囲み外界との繋がりを遮断している。
これはプロメアのような魔法に特化した者達から生命の樹の存在を隠すための処置で、あのプロメアですら星の外からではこの内部を認識することは出来ない。この魔法陣が視認出来る距離まで近付けば見破れるだろうが、その前にプロメア本人が対処するので問題は無いとホウマは語った。
「やっぱりこの時計塔で働く人はここについてお詳しいですね。」
「そういう訳でも無いのですよ。私はこの魔法陣が施される前からここに居ますから。だから知っているだけで、その後に生まれた娘達は知らないと思います。」
ホウマの語る内容は彼女がそれだけ昔からこのウルブスに居る事を指し示すある種の指標だった。
「時計塔を出た後、塀に囲まれていますがそのまま真っすぐ進めば出入り口があってそこから出られます。」
「あ、ここまで付いてきてもらいありがとうございましたホウマお姉様。」
「いえ、久しぶりに下の娘たちと話せて楽しかったです。是非またここに呼ばれるぐらい頑張ってくださいね。私は応援しています。」
「は、はい!」
ユノが代表者としてホウマにお礼をし、3人は時計塔から出ていこうとすると…
「あ、そうだわ!ねえ、もし良かったら私と連絡先を交換しない?プライベート用の番号を教えるわ。」
これには3人とも狂喜乱舞し、気持ち悪い笑みを称えてお姉様のプライベート番号を入手。
(これだ!私はこういうの求めていたんだよ!上に行けばお姉様みたいな優秀な方々との貴重な交流する機会に恵まれるから!死んでよかった!)
シリカは3人の中で特に喜び、それを見たホウマは同じ樹人種、しかも自分はもう交流なんて出来ないと思っていた末っ子の喜びようを見てとても嬉しそうにしていた。
そのせいか時計塔を出てもホウマは手を振り、3人が見えなくなるまで見送りを続けた。
そしてシリカ達も後ろに居るホウマに手を振りながら塀の正面出入口の扉を潜るように出ると、すぐそこにはとても良い笑顔のミレナが仁王立ちで待っていた。
間違いなく笑顔なのに彼女の背後には怒りに震える鬼が居たように見えた3人はお互いを抱き合いガタガタと震え出す。
「3人とも、ついてきなさい。ギルド長がお呼びよ。」
「「「ひゃ、ひゃい…」」」
こうして3人は上の人たちとの面談を終えてすぐに自分たちの上司とも言えるギルド長の下まで連行された。
その様子は時計塔からよく見え、その様子を上から見ていたプロメアはメーテに指示を出す。
「メーテよ。昼のニュースでこの件について放送してくれまいか。」
「うん、もう解除したけど今回の非常事態宣言の理由を説明するのに今回の件を話さないとって思ってたから大丈夫。原稿も出来てる。」
「流石はメーテだ。なら余からもう一つ。」
「なになに。何でも言って。」
「あの3人についても言及し、今回の騒動を解決した旨や彼女らの働きについても皆に伝えて欲しい。彼女達には英雄になってもらおう。」
「おおー。プロメア様にしては珍しい意見。なにか思惑があるのですか?」
「目標を掲げて目指してほしいのだ。そして同時に希望を持ってほしい。それにルールに縛られずあの娘らのような行動を模範としても良いともな。…あと、余達は皆の働きに報いると知ってほしい…そんな考えだ。」
「ーーー分かった。めちゃくちゃ3人を持ち上げる。実際、妹ちゃんたちは凄い偉業を成した。進化個体を初見で仕留めるなんて簡単に出来ない。それを3人で、しかもふたりは今年生まれた娘たち。」
「そうだ。年齢なんて気にする必要はない。最近の娘はみんな行儀が良すぎるのだ。もっと食ってかかるぐらいが丁度いい。メーテ達のようにな。」
「あの件は忘れて欲しい。メーテたちも子供だった。プロメア様に喧嘩ふっかけたのは若気の至り。」
「あの時の記憶は余の宝物。故に忘れて手放すなど出来まいよ。」
「むぅー。プロメア様いじわる。ブーブー。」
「クハハッ。そう言うな。あの時のメーテ達は本当に可愛くて堪らんかった。勿論いまも可愛いがな。」
「そんな可愛いメーテからのお願いです。あまりその件で弄らないで。下の娘達にはプロメア様に喧嘩仕掛けたのは話していないの。イメージダウンしちゃう。」
「姉としての矜持か?」
「長女として完璧な存在でありたいのです。むふー。」
腰に手を当て鼻息を荒くするメーテをあまりにも可愛い我が娘すぎてプロメアはギュッと抱き締める。
「本当に愛やつめ。やはり童は元気過ぎる方が良い。末っ子のシリカがああなのだ。他の娘も姉たちに遠慮せず自身の目標の為に努力し、姉妹らで切磋琢磨してほしいものだ。」
「昔みたいに?あの時は喧嘩ばかりで楽しかった…喧嘩の仲裁とか相談とかいっぱい持ち掛けられて毎日ホクホクだったなー。」
「余が来たばかりの時は姉妹同士は協力することもお互いをライバル視して切磋琢磨するのも普通だった。しかし年代を重ねる毎に遠慮が見え、下の娘達が埋もれる事が多くなった。それではあまりにも不憫だ。余達は老いて死ぬ事はない。人生は長いのだ。上に対する気遣い、ある種の諦めを持ってしまうにはまだまだ早い。今回の件で皆が自身の可能性を信じて飛び込んでくれればよいが…」
その為の起爆剤としてシリカ・ユノ・マヒロには英雄になってもらう必要がある。そんな思惑が上で話されていたなんて想像もしていなかったシリカたちはミレナに引きずられながらギルドへと向かって行く。
まるで狩りの獲物を運ぶかのように。
途中、こいつらついさっき仲良死したばかりなんだよな?って書きながら思いましたが今更だなと気付きました。殺した殺されたなんて些細だよ些細!




