エルフの味方
あおぎり高校のお前のまともはまともじゃないという曲が好きです
プロメアが2階へと逃げ込んでからはエルフ達は散開し各々がやるべき事に準じはじめる。
しかしその中で一人、やるべき事をやっているものの何をしているのか不明なものが1名。
そしてその者の観察をしている者達が4名ほどその場にはいた。
「エルっちなんか天井と壁の境い目に虚空の眼差しを向けて固まってる。」
「自身のヤクでキマった?」
「自分だけの力でトリップ出来るのすんご。」
ダークエルフ姉妹、彼女達は部屋の角の隅を眺める置物と貸したエルを観察し本人が反応しないことを良いことに好きなだけ感想を口にする。
「めえ〜何かあそこにあるのでしょうか。」
冬になりモコモコ具合に更に磨きがかかった羊人種のメゥはそんな3人と共に何故か動かなくなったエルのことを心配し、彼女の傍に居続けていた。
「アズ様は外へ行っちゃったし母様はエルのこと放置して植物の世話してるしどうしようか。」
「こら、私はエルの仕事である植物のお世話を代わりにしてるのですよ。言い方に気を付けてくださいね。」
ルーテはエルの仕事である室内で育てられていた植物のお世話を代わりにしながらダークエルフ達に対してツッコミを入れる。
「エルはどうしてしまったのですか。いつも以上に変ですよ。」
「いつも以上にはちょっとトゲのある言い方じゃない母様?」
「それはすみません。つい本音が。」
暢気に会話を続けているがこの時ツイン・アザ・ミロの3人は未知の原生生物と接敵している最中であり、その事を姉であるダークエルフ達はまだ知らなかった。
これはタブレットをしまっている事により弊害だったが、今のエルを放置するわけにはいかずダークエルフ達はエルについて調査を開始する。
「本当にエルどうしたのでしょう。」
「それを今から調べてみる。」
「楽しみ〜。」
「謎生物を丸裸にしちまうぜ〜。」
ルーテは小規模な結界魔法が施されている魔素の容器に詰められた様々な種類の植物たちを日の当たる場所へ移動させながらエルたちの動向を伺う。
「エルさん身動きひとつ取らないのです…もしかしてメゥみたいに気絶したのですか?」
「意識はある。」
「でも浮上はしてない。」
「水底に沈んでるって感じ。植物性細菌の頃みたいに不明瞭。」
クーデたちの指摘は的を得ており、エルはここには居ない自身の一部達と交信し合う事で意識が一時的に沈んでいた。
『ーーーーーーーーーーーーー、ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー』
『ーーーー』『ーー』『ーー』『ーーーー』『…』『ーーーーーーー』『ーーー』
交信される情報は言語ではなく、思考そのものであり当人同士でしか理解できないものだった為か外部からは何を交信し合っているのかすら検討がつかない。
そしてここだけの話だが実は当人同士ですらよく分かっていなかった。初めての事でお互いにまだ理解が及んでいない為に交信は今も継続的に行なわれ、問題解決を図ろうとエルは命令を己の分身に送信する。
『ーーーみんな、多分だけど今とても大変な状況だと思われる。だからぼくの代わりにぼくらの家族を守ってほしい。お願いできる?』
『ーーーりよう、あい』
意識の共有、ディスカッションを経て遂に言語による指令系統が確立され、エルはここでない何処か遠くにいる自身に命令を出し終えると次第に意識が浮上、すると目の前に居たダークエルフ達と目線が合う。
「ウワァ〜!びっくりした〜。」
「めえっ!?びっくりしたのはこちらなのですよ!」
突然目に光が戻ったと思えばいきなり大声を出して驚くエルを見てメゥはビクッと身体を浮かせてとても良いリアクションを披露する。
「おお〜マジで意味分からない。」
「何処かとお話してたとお見受けするが?」
「白状しちまえよ〜エルっちよ〜。」
エルの肩に腕を乗せてダル絡みを見せるダークエルフ達。その姿は嫌に慣れを感じ、いつもこんな風に絡んでいるんだろうなという説得力が無駄にあった。
「ほくも初めてのことでよく分からなかったけど、多分上手くやると思う。だから心配いらないよ〜。」
「おお〜マジで意味分からない。」
「何処かとお話してたとお見受けするが?」
「白状しちまえよ〜エルっちよ〜。」
再び同じ内容を口にするダークエルフ達を見てげんなりとしながらもルーテがエルに対して問い質した。
「エル、何かあったのかもう少し分かりやすく話してくれませんか?」
「ほくも分かりやすく話したいけどぼく自身が分かっていない事だからどう説明をしたらいいのか分からない。だから分かったら説明するよ〜。」
「はあ、まあエルの事なのでそこまで心配していませんが何かあったら私だけでなくその子達にでも伝えてくださいね。」
「わかった〜。」
いつもの調子に戻ったエルは瞼をとろ〜んと閉じてリラックスした体勢に入って寝てしまう。それを見てルーテはエルが何か魔法を行使し、そのせいで疲れて眠ってしまったのだと見抜く。
(テレパス…のような魔法をずっと使っていたように見えましたが他にも魔法を行使していたのでしょうか。う〜んエルに関しては本当に未知の部分が多いのでよく分かりませんね。)
ルーテがエルに対していくつかの仮説を立てている頃、原生生物と接敵していたツインとアザ達はというと…
(死んだ…)
ろくに反応する間もなく敵に初撃を譲ってしまい、アザとツインのふたりは死を覚悟する。しかし本人達が己の死を認識した時、彼女達の体内では原生生物に対して対応を開始していた。
先ずツインとアザの身体は反射的に魔法を行使、斥力の力で大きな口を開いた原生生物を近付かせず、それでいて更に斥力の力は強まり原生生物をふたり対して襲撃した速度以上の速さで突き飛ばした。
その結果とてつもない力で吹き飛ばされた原生生物は斜め下の放物線を描きながら水面に激突し、ツインとアザのふたりの位置まで水飛沫が上がる。
「きゃっ!な、何が起きたの今っ!?アザ、大丈夫!?」
「ああ、大丈夫…。だけど、今のって前よりも強烈だったような…」
ツインは反射的に行使した魔法に驚き、そのことについた慌てていたがアザは別のことに気を取られツインとは他のことで驚いていた。
(なんだ今の…前の感覚と似てるけど明らかに出力が高かった。ツインと二人合わせたから?それとも2回目だから慣れて出力が上がったか?)
魔力が予想以上に高く出力されその結果あの原生生物は力比べで負けた…。ということは私達ふたりの魔力を合わせればあのぐらいの敵は一撃と仕留められる可能性があるってこと。
「アザ、アザ!ミロどうしよう!」
「あ、そうか。えっと、魔力を追うと今は…沈んでいる…?助けないと!」
ふたりはミロを救出する為に下降し大きく波立つ水面の上まで降りる。
「ミロ!ミロー!自分一人で上がってこれないみたい!」
「じゃあ魔法で引っ張り上げれば…!」
アザは手の平に魔力を集中させ今も沈んでいくアザの身体を引き上げ始める。しかし距離が遠いのか中々ミロの身体に対して引力が引っかからず上手くいかない。
「わ、私も手伝うわ!」
ツインも参加しミロを引き上げようと魔力を集中させるが、アザとは違いツインは手の平に魔力を集中させることなく足の下に魔力を集中させた。
「ツイン…?」
ツインの魔力が水面をすり抜け水中にまで侵入。だがそれだけで終わることなく何メートルも沈み込むミロの身体まで届くと…
「…………見つけたっ!」
ミロを引き上げるために対人魔法を行使したツインは水ごと引き上げることなくミロの身体のみを引き上げてみせた。
「マズい…!体内に水が入ってるわ!」
最早なにを感じ、なにを言っているのか理解出来ないアザはツインのやりたいようにやらせることにした。しかしどうしてツインがこの魔法を使いこなせているか疑問を抱き、その事について言及をする。
「あのツイン、なんでそんなに魔法の使い方上手くなったの?多分ツインは私と同じ上の領域まで上がったとは思うけどなんか私よりも使いこなせてない?」
今さっきツインは自分と同じく反射的に生物にのみ対象を絞って出力を上げる魔法を行使したのはアザでも分かっていた。だが何故そこでもう使いこなせているのか理解が及ばない。明らかに魔法適正が姉妹達の中でも抜きん出ている。
「知らないわよ!今はそんなことどうでもいいでしょ!ミロ!ほら起きなさい!」
ツインはミロの肺にまで浸水した水のみに干渉し無理やり魔法で口から排出させる。
「ごヴァッ!?ゲボゲボ!」
「ミロっ!良かった…!本当に良かったわ…!」
今も身体の言うことが効かないのかされるがままのミロに対しツインはぎゅっと抱擁をして彼女の無事を喜ぶ。
「ミロ、大丈夫?あの白い煙幕みたいなやつ…?あれ食らってから落ちたけど何か毒を盛られたように見えたよ。」
「あ…、あぅ…」
「喋らなくていいからねミロ…!アザ!今ミロは話せないの!」
「えぇ!?ご、ごめんよツイン…」
「ミロにでしょ!」
「ごめんミロ…。」
姉に叱られる妹のような構図が出来ていたが今はそんなことをしている暇はなく、原生生物は虎視眈々とツイン達に襲い掛かろうと高速で水中を移動し始めていた。
「ツイン!敵が来てる!」
アザは原生生物の気配を感じ上へ逃げる様に指示を出すが、ツインはアザの指示を聞き終えるよりも前に上昇し、何故か指示を出したアザが遅れて追従する形となる。
「どうするのアザ!」
「ええっ!?もう何がなんだか…!」
ここで自分に振るツインに驚きながらもアザは現状について思考を巡らせる。
「ミロは殆ど戦力外…そこで一人守りながら相手を殺すのは難しい…。」
ミロが動ければ3人で相手取れるがミロが動けないとなるとそのミロを守る為に1人そこに数を割かないといけなくなる。すると敵と相手取れるのは実質1人になり、戦力は半減以下になるとアザは冷静に戦力の分析を口にした。
「じゃあアザお願いね。」
「あ、うん…別にいいけど。私一人で殺れってことね。」
アザも元々そのつもりだったが、結局ツインが指示を出している事に多少思う事がありつつも敵を狩るとなれば意識が研ぎ澄まされ集中力が上がり、先程の雰囲気は消え失せ獲物を狩る狩人へと変貌する。
弓矢を構えながら自身の両隣に魔素で構成された剣を携えるとアザは敵の気配を探そうと目を瞑り神経を集中させた。
(凄い…こんな魔法使える様になってたなんて。しかもアザ、目を瞑ってる。多分気配と音だけで敵を探ってるんだ…)
ツインはアザの様子を伺い何をしようとしているか見抜いていたが、しかしアザは己の感覚にのみ頼っていない。この両隣に携えた剣を自分とツインとミロを中心に球体を描くような軌道で動かすと対生物に対しのみ斥力を発動させた。
(これで敵が見えなくても魔覚で感じ取れる。気を張ってでもミロがやられたことを考慮すれば私達エルフの気配を探れる感覚も通用しないって考えないと…)
対生物魔法は生物にのみ対象を絞り出力を上げる魔素の運用方法だ。この仕組みを理解しているアザだからこそ出来た方法にツインは遅れて理解を示す。
「…今アザって魔法で敵の位置を探ってるの?」
「ミロ!話して平気なの!?」
「ツイン…もう大丈夫、そう…?なのかな?なんか急に楽になったけどあまり持続性の無い毒だったかな?」
そう言うとミロはツインの抱擁から逃れ自身で浮遊するまで回復していた。頭の中にある霞がかった感覚は消え失せて自身で魔法が使えるまで調子が戻るとミロ本人もよく分かっていない表情でツインと顔を見合わせる。
(なんだ?なんかみんなおかしい。私も何か出力上がってるしツインも急に魔法の精度が上がった。ミロもあそこから復帰するって自身で解毒魔法を使わないと………)
「あっ!」
アザは気付く。今自分達は何者かの支援を受けている事を、そしてそれは今も自分達の体内に寄生する細菌達の存在であると。
この考察は当たっていた。彼女達の体内で寄生し共生関係を築いていたエルフ族とエルチルスの関係性は彼女達が考えているよりも深く、それでいて類稀な協調性を見せていたのだ。
エルチルスが多く住むのは腸内だが、人種の腸には脳の次に多い神経細胞があり第二の脳と呼ばれている。脳と腸は自律神経、ホルモン、腸内細菌などを介して互いに影響し合う関係にあり、これを“脳腸相関”と呼ぶのだが無論エルフ族もそれに該当し精神状態により互いに強く影響し合っていた。
そしてエルフ達は今日一日で複数のマモノと原生生物と接敵するなど途轍もないストレス、つまり外部からの刺激を受けた結果、それが腸にも伝達しエルチルス達にも伝播していたのだ。
その影響でエルチルス達は宿主であるエルフ達が外部から何か攻撃を受けている事を認識するとその事を本体であるエルに廻廊を通じて交信を図り、現在宿主がどうなっているのか聞き出すにまで至った。
エルはタブレットに映し出される映像を通じてエルフ達の状況を理解していたのでそれは問題無かったが、言語という概念を知らないエルチルスとのやり取りはもう植物性細菌ではないエルにとっては困難を極める。
だがそれも魔法を使うことでどうにかエルチルス達に指示を出す事に成功した。
これは普通の細菌では決して出来ない芸当である。魔法生物であるエルチルスだからこそ取れた行動だ。しかしエルチルスが魔法を使えるとをはいえ、目も耳も無いので体外の様子を伺うことは出来ないので今の今まで自主的にサポートをすることが出来なかった。
ミクロの世界を生きる細菌のエルチルスからすれば腸壁・筋肉・脂肪・皮膚を間に挟んだ体外の様子は人が地表から宇宙を感じ取るのと同義であり、それは流石に魔法がどうこうというレベルではない。
だからエルチルスは自分達で考え、エルに助けを求めたのだ。それが最も宿主を守れる方法だという細菌らしかぬ判断だが、それもエルチルスが精霊モドキと呼ばれる所以である。
「エル!エルの一部であるエルチルス達が強化魔法を私達に掛けてる!!」
「え?確かに調子が良いというか魔法の感覚がやけに良いとは思ったけど確かに体内の魔力も上昇してる…」
「ああ〜私の体内に入った毒も解毒してくれたって訳か。でも急に来たね。しかもこの感じだと3人ほぼ同時にバフが掛かったけどキッカケなんてあったかな…?」
「ミロ!今は考察とかいいから集中!2人も敵を警戒して!元々リタの所在を探す為に接敵したでしょ!」
アザはまたマイペースに考え込むミロを叱責し敵との戦いに集中させる。次またあの白い煙幕でミロが攻撃されてもアザは守るつもりはない。
「ええそうね!分かったわ!」
「病み上がりだけど了解!」
「あとミロ!お前自爆魔法に味しめ過ぎ!もう禁止だからそれ!」
「ええ!?りょ、了解!!」
アザはミロに自爆魔法の禁止を指示し気軽に死ぬのを禁止する。ミロが先程から戦闘中に別の事を考えて隙を見せているのをどうせ死んでも自爆魔法で相手を道連れに出来ると、アザはミロがそんな事を考えているのを見抜いていた。
「ツインは魔法で生き物にだけ、物体にだけに対象を絞って魔法が使えるよね?」
「う、うん。何かそういうの分かる気がする!」
「じゃあ敵を魔覚で探してみて!魔力を感じなくても生物は生物、魔法の対象からは逃れらないと思うから!」
「や、やってみるわ!」
「ミロは兎に角さ!弓矢を構えろって!!」
「怒んないでよ!!」
アザはここにリタが居てくれればこういう指示などを勝手にしてくれて自分は敵に集中出来るんだけどなと改めてリーダーの存在に有難みを感じた。そしてリタってこんな大変なことをごく自然に熟せていたんだんだと尊敬の念を抱く。
「あいつ水中だけじゃなくて地上でも活動出来るのズルくない!しかもいつ飛んできてたのか分からなかったし!」
「多分水面とかの見た目を擬態して分からなくしてるんだと思う。だからもう飛んできてる可能性あるから周囲を警戒してて。」
今まで出会った原生生物で間違いなく一番強い種なのは間違いない。下手をすれば等級1のマモノよりも強い可能性がある。アザは敵の戦力について分析しながら魔覚に意識を割いた。
「来い…来い…!ここで逃げる様な奴じゃないって分かってるんだ。次はあの目ん玉に矢を射抜いて吹き飛ばしてやる…。」
アザは自身の矢に魔力を注ぎ込み威力を向上させる。もしこの矢を受ければ斥力の力で風穴が広がりそれが致命傷と繋がるだろう。
「…あのさ、私が魔素を放射させて探ってみてもいい?逆探知とか気にしなくてもいい状況だし見えなくても私の魔素がぶつかれば間違いなく位置が分かるよ。」
ミロは自身の魔素で探ってみると提案するとアザがそれを許可した。
「でも私の魔素に干渉はしないでね。この剣で敵の襲撃を防ぐのに止める訳にはいかないから。」
「大丈夫そこまで強く放出しないよ。粒子状にして降り注ぐみたいに撒くから。」
ミロは汗腺から魔素を放出すると粒子状に細かくして自身の周りに放出した。硝子を細かくして砕いたものを撒いた様な見た目だが粒子状の魔素は風に吹かれても軌道を変えることなく放射状に川に向かって降り注がれる。
「……………………居た!私が射る矢の方向に感触があったよ!!」
ミロはすぐさま魔覚で感じた箇所目掛けて矢を射抜くと予想以上の威力で射出され、当の本人ですら射抜いた後に驚いた声を出す。
「おわっ!人生の中で一番良いのが出たんだけど!」
しかし威力が出過ぎた事でコントロールを失い、狙った場所から3メートルも離れた軌道を描いてそのまま水面まで突き進むと矢が落ちたとは思えない量の水飛沫が上がった。
「エルチルスの強化魔法のおかげだと思うわ!私も…!」
そしてツインも続いて矢を射抜くとこれも凄まじい威力で射手されミロの魔素を吹き飛ばしながら川底にまで矢が突き進んでいく。
「これぶっつけ本番で射抜くの難しいわ…!体感で2割強…いや、3割増しの威力になってる!アザも気を付けてね!」
「3割か…なら!」
3割増しの威力を聞いて矢の射手速度よりも矢の軌道に対して魔力を割く事に決めたアザが敵の位置を探る為にもう一度ミロに魔素を放射して探るように指示を出す。
「ミロもう一度お願い!」
「分かったよ!えい!」
ミロはもう一度魔素を放射状に放出して見えない敵の位置を探る。今回は前回の反省を活かし下方向にだけではなく真横などの方向にも魔素を放出した。
「……………後ろ!私達の後ろに回り込んでる!」
ミロは振り向きながら指を指してマモノの位置を示すとアザが猛スピードで振り向いて目にも止まらない速度で矢を射抜いた。
すると矢の軌道線上にある景色が突然歪み始め空間に紫色の血が滴り落ちると、それと同時に歪んでいない景色が丸く描かれた。
「この距離で2度目も外さないよ…」
歪んだ景色が消えると頭頂部に付いている羽のような部位と付け根がアザの矢で消し飛んだ原生生物の姿が現れてそのまま真っ逆さまに落下していく。しかしまだ敵は生きていると気付いたアザは追撃に自分達の周りを浮遊させていた二本の剣を操り更なる一撃を入れる。
二本の剣は先程まで見せていた動きからは考えられない速度で加速すると原生生物の触手を切り刻み最後はその大きな目玉を突き刺してトドメの一撃を放つ。
「強かったよお前…でも、私達の方が上だった。」
絶命した原生生物を突き刺した剣の力で持ち上げるアザは敵に賞賛の言葉を送り、自分達の勝利を宣言したのだった。
GW最高




