エルフ、子育てをする
サンボマスターのできっこないをやらなくちゃという曲が好きです。
ついに私の子供が誕生しました。正確に言えば私だけの子供ではなくアズとの子供になります。
見た目はアズに似てて愛嬌もアズに似てありませんが、可愛い私の初めての子供なのは間違いありません。アズみたいにならないようにしっかりと教育していかないとですね。
ですが特に手が掛かりそうでもないので、私が彼女たちに何かをしてあげられそうにないのが少し気がかりです。
もし何かをしてあげられるとしたら…
「名前を付けましょう!」
そう、名前を付けないと始まらない。特に私達エルフ種は外見で個体を区別するのが難しく、名前をその身に付けた服に刻まないと初対面では先ず誰かが分からない。
「個体を判別するためか?」
「そうですよ。なので名前は必須です!親が子にあげる最初の贈り物なのでここは気合いを入れて良い名前をつけたいと思います!!」
「おおー。」
「名前、名前。」
「良い名前。」
子供達も何やら面白いことが起きそうなのを察知したのかテンションが高そうに見えます。手を上げてはしゃいでいる子も居るので間違いないです。
「えっと、せっかくなのでアズテックオスターとしての要素も入れたいですね。自分のルーツを忘れない為でもありますし。」
「名付けの文化は当方に馴染みがない。故にルーテに任せる。」
アズもこう言ってくれているし良い名前を考えましょう。
「アズはアズテックオスターから取ったので同じようにしましょうか。ん〜と…アズ、テック…」
ルーテがうんうんと唸りながら名前を捻り出そうとしているとダークエルフの三人組がルーテの周りをソワソワとした様子で囲んでいた。
「あ、私の名前も入れたいですね。せっかく親が2人も居るんです。両方の名前を組み合わせて考えましょうか。」
私が子供達に尋ねると首を縦に何度も振って同意してくれました。とても素直で良い子たちです。ここはアズに似なくて良かった。
「ルー・テ・メーデとアズテックオスターを組み合わせると色々なパターンが作れそう…」
「なにかなー。」
「どうなるかなー。」
「楽しみー。」
ああ、そんな私の周りをぐるぐると回っても早く名前が出てくるわけじゃないですよ〜。
「…ルーズ。貴方がルーズね。」
ちょうど私の目の前に居た子をルーズと名付けるとぴょんぴょんと飛び跳ねてこの私を中心に作られた謎の輪から離れていきました。そういうルールなの?
「おおー。ルーズ、ルーズ。」
相変わらずの無表情だけど嬉しそうなのは伝わってくるので気に入ってくれたみたいで良かったです。この調子で名前を付けていきましょう。
「次かなー。」
「どうかなー。」
また私を中心にぐるぐると回り始めるダークエルフ達。もしかして名前を付け終わるまでこれ続く感じですか?
「ちょ、ちょっと待っててね…!」
は、早く決めないとずっとぐるぐるされます!この包囲網を解く為にも良い名前を…!
「…メーテ!貴方がメーテね!」
「メーテ、メーテかー。メーメーテーテー。」
自分の名前を繰り返し口にするメーテは一人でぐるぐると回って謎の輪から離れていきました。後一人でこのサークルは終わる…!
「最後には、福が来る。」
「どこから仕入れたのですかそんな情報。」
生命の樹?それともアズテックオスターから?
「…クーデ。貴方はクーデです。」
「クーデ…クーデねー。おっけー。」
や、やっと包囲網が解かれました…!我ながら良い名付けです。大満足です!
「個体名は付け終わったか。」
「はい!この子達の名前は親である私が決めました!初めてこの子達に親らしいことが出来て良かったです!」
「それは良かった。」
そう…良かったのです。しかし、ある予感はありました。その予感は恐らく当たって…
「あの、ルーズ、メーテ、クーデ。」
「ルーズだよ。」
「メーテ呼んだ?」
「クーデ来た。」
呼ばれた3人が横並びで立つと私の予感が的中したことが判明します。
「…今から私が目を瞑るのでランダムに立ち位置を変えてみてください。」
10秒ほど目を瞑ってから目を開けると先程と何も変化のない光景が広がっていました。…ああ、そうなりますよね。分かっていたつもりだったのにこれはちょっと対策を立てないとですかね。
「…左からクーデ、真ん中がメーテ、右がルーズ!」
「はあ?」
「誰それ。」
「舐めてる?」
め、めっちゃ口が悪いんですけど!!私が誰が誰なのか判別出来ていない事に対して物凄く不機嫌なのは分かりますけど見た目だけじゃ分かんないですって!!
顔立ちも髪型も服装も背丈も同じなのに判別出来ないですから!!
「個体によって模様が違うだろ?」
「そうそう。」
「違うのに。」
「間違えた。」
「私が悪いんですかっ!?」
確かにダークエルフにはあの頭部だけ生やしたシュールな絵面のアズテックオスターと酷似した模様が全身に浮き出てますけど、一人ひとりでその模様が違うので分からないんですよ!
一体何を表しているのかも分からないのに何を見て判断すればいいんですか!!
「この模様は汝たちで言う所の指紋や血管だ。これらの情報から個人の判断をするのはどこも同じである。」
「そのような文化は私のところには無かったです…」
そもそもエルフ種には模様なんて無いですし、まだ子供たちも生まれたばかりで服に紋章も無いんです。というよりも、そもそも私のような前掛けが付いていないのでどこに紋章が付くんでしょう。あの襟から肩にかけて流れた布の部分でしょうか。
「母様がっかり。」
「記憶力無し。」
「愛情感じず。」
「そ、そこまで言わなくても…」
母としての威厳が崩れそうです。ここは何か良いアイデアを考えなくては…!
「…と、とりあえず名前の登録をしましょう!生命の樹に名前を登録すれば服にも名前が刻まれますから!」
ここは話題を変えて別のものに関心を向けさせれば…!
「登録。」
「面白そう。」
「刻んでみる。」
「当方の名も登録し刻めるか?」
よーっし!!大体分かってきましたよダークエルフたち!!こういう感じの種族たちだと分かればこっちのものですよ!!
子供たちは見た目は大人っぽいけど中身は幼い子供と一緒。アズも口調や見た目からは大人っぽくて近寄りがたい雰囲気をしてますが、本当は単純でただの好奇心バカなのはもう分かってるんですから!
「出来ます出来ます!皆さんついてきてください!」
私が手招くとダークエルフ達は好奇心に釣られてぞろぞろと付いてきました。
「生命の樹に触れてみてください。エルフ達にやったことがあるのでその時の要領で出来る筈です。」
「ルーズ、ルーズから。」
「メーテから、お願い。」
「クーデが一番。」
「当方が一番最初のダークエルフ。登録するのも当方が一番最初が無難であろう。」
4人の子供が我先と手を上げて主張してきますが、アズ…貴方って精神年齢どうなっているんですか?
まあ生まれたばかりなので年相応といえば年相応なんですけど、流石に幼体の3人と混ざっても違和感が無いのは親としてちょっとですね…
「じゃあアズから。」
「はい、依怙贔屓。」
「出来レース。」
「やらせ。ブーブー。」
どこからそんな言葉を知ったんですか!!アズですか!アズなんでしょ!生命の樹にはそんな単語あるわけが無いですもん!
「はいはい早く始めますよー。じゃあアズ、生命の樹に触れてください。」
「了解した。」
アズは私の言う通りに生命の樹に触れて私の顔をジッと見てきます。私と良く似た顔立ちですがその眼には興味と興奮が見え隠れしていて、アズが今か今かと待ち焦がれているのが伝わってきました。
「えっと…こう魔素を流せば良かったかな?」
生命の樹の内部にある魔素を動かすとアズに向かって進んでいき、アズの着ている服に紋章が刻まれていきます。
そして私の予想とは違う紋章の入り方に少し驚きました。私の服に刻まれた紋章は前掛けの部分に集中して刻まれますけど、アズの場合は服の襟から胸元の開いた所まで縁に沿って薄い金色のラインが2本入りました。
そしてその2本のラインの間の布地にも薄い金色で文字が刻まれていきます。内容は私のものとほぼ同じもので何体目の身体なのか、種族や個人名、そしてその地位も記されていました。
こう見ると元々の服の形が私とアズとで違うせいか趣きがかなり違って見えます。
私の服は白地ですが、ダークエルフの服はレースのような細い繊維で編み込まれた黒地で、そこに薄い金色の紋章が入るので向こうは重厚感が出ています。
それに私の襟ぐりは鎖骨が見えるか見えないかの深さなのにダークエルフ達のは襟ぐりが鳩尾の辺りまで深いんです。
だからあのドレスの下は私とは違って何も着用していないと思います。流石に上下共に下着を着用していないわけではなく下半身のほうは着ているとは思いますけど。
私と同じ踝まで丈があるドレス型ですもん。下は膝下辺りまであるパンツを着用していると思っていいでしょう。でないとあの面積の少ないドレス一枚で冬を過ごさねばならなくなります。
「ーーーこういうのも悪くない。」
模様にはただならぬ拘りがあるのか、アズは服に刻まれた紋章をまじまじと観察し始めます。それと子供達も興味があるようでアズの服を引っ張って自分の目の前に持っていってますし、もしかしたらダークエルフ達はみんなこういうのに拘りがあるのかもしれません。
あ、ちゃんと下に着てますね。ドレスの裾を子供たちが持ち上げているので見ることが出来ました。私のよりもパンツの裾が長いんですね。スネの辺りまで裾がありました。
「おおー。」
「うおー。」
「わあー。」
アズとルーテの間に生まれたダークエルフ達は外見年齢が大体15歳ほどで、まだ大人になりかけの子供といった容姿だが、その行動は幼い幼児を思わせるもので、そのギャップにルーテは自然と頬を緩ませる。
「これは中々。」
「良い仕事。」
「味がある。」
(時々出てくるこのワードセンスは何なのでしょう…。私譲りじゃなければアズ?)
「後ろはどうなってる?」
アズが腰まで伸びる後ろ髪を持ち上げるとなんと小さなフードが服に付いているではありませんか。今の今まで気付きませんでした。
襟から延長したような作りなのでフードの縁にもしっかりとラインと紋章が刻まれています。
「ず、ずるいですよ!なんで初期の服にフードが付いているんですか!なんですか胸元にあるはずの生地がそこに集まってるんですか!そうなのですか!?」
なんでちょっと実用的でオシャレ仕様なんです!アズとか絶対に服装とか気にしないタイプでしょうに!
「ルーズにも、ある。」
「メーテも、あった。」
「クーデも、あるよ。」
3人の子供たちにも小さなフードが後ろ髪に隠れていました。ぐぬぬ…!なんでこんなにもダークエルフ種は優遇されているんですか!
「いいです。自分で服を作ります。あまり裁縫は得意でないですけどあのぐらい私だって…」
ルーテは薬剤師という職業に就いていたので魔法と薬草、それに魔素を含んだ素材の加工を得意としている。
しかし裁縫などの仕事はエルフ達に任せ切りだったのであまり自信が無い。
「母様、母様、早く早く。」
「メーテ達も。」
「登録したい。あのエグいライン、刻みたい。」
そ、そんなに楽しみにしてるんですか?彼女たちのツボが分かりません。
「はいはい、じゃあ3人まとめてやってみましょうか。」
私はアズの名前を刻んだ際にある程度の感覚を掴んでいたので、どうにか3人まとめて名前を刻むことができました。これでまた順番決めで非難を受けずに済みます。
「良い仕事をしてますね。」
「そっちも中々。」
「味わい深い。」
お互いの紋章を見せ合いながら批評をし始める子供たち。多分ですけど面白がってやってるだけで本当は良く分かっていなさそうですね。子供らしくて可愛らしいです。
「これで登録は終わりか。」
少し疲れて生命の樹に預けて座っている私の左隣にアズが来て同じように座りました。そして視線は私にではなく子供たちに向けられています。
その目は私に向ける目とは違って、何か不思議なものを見ているように感じられます。
「はい。これで晴れて私達は家族になりました。」
「家族…家族か。当方には分からぬ概念だな。」
そう言ってアズは目線を空に向け、どこか寂しい雰囲気をまとい始めます。
「…これから知ればいいんです。もう家族なのですよ私達は。」
私はアズの右手に自分の左手を重ね合わせるとアズは私の方に顔を向けてその寂しそうな目を大きく広げ、私のことを真っ直ぐと見つめてきます。
「まだお互いに相手の事が分からないことばかりで、不安な気持ちを持つのは仕方のないことだと思います。ですが、分からないで終わらせては何も得られません。だから分かろうとすることが一番大切だと私は思います。アズはどうですか?知ることは怖いですか?」
そんなわけ無いですよね。だって出会ってからまだ1時間ぐらいしか経っていないのに私は貴方がただの好奇心バカなのを知っています。知ることに臆病になるなんてあり得ません。
「ーーーそうだな。知ることは怖くはない。分からないのなら分かるようになればいい。家族を知らないのならこれから知ればいい。たったそれだけの単純な答えだったな。」
アズはそう言って口元を緩ませます。その表情は正に笑顔といっていいものでした。
「良かった…」
「なにがだ?」
「…私の家族が優しい人達で良かったなって。」
「当方が優しい?汝にまだ優しくした記憶はないが?」
「なら私の思っているよりも優しいってことですね。だって今よりも優しく出来るってことなのですから。」
私は立ち上がりまだ批評ごっこをしている子供たちのもとに向かいます。
「はいはい、みんな注目〜!これから皆さんに私達の住処を良くしてもらいますよ!今はトイレすら無いんです。これでは暮らしてはいけません。」
そうです。私達は今日の寝床を作らないといけないんです。ここに来た時よりも日が傾いてきました。明るい内に寝床ぐらいは作っておきたいです。
「なら子供達にこの周辺の生き物を狩ってきてもらおう。当方ではやり過ぎる可能性が高い。」
「…大丈夫ですか?この子達にはまだ狩りは早いのでは?」
「問題ない。ダークエルフはこの周辺に居る種に劣るような種ではない。」
確かにアズを見ればこの星に居る生物全てにも勝てることは分かります。というよりも間違いなくこの宇宙の生態系で頂点に立てる種族でしょう。だって一人でこの星を破壊出来るんです。最低でも竜種レベルと捉えていいでしょう。
それに死んでも問題ありません。私達は死んでも身体を作り出せればすぐに生き返れます。危険はないでしょう。
「分かりました。では3人にはこの辺りの危険そうな生き物を狩ってきてもらいましょう。でも日が沈む前には帰ってきてくださいね。」
「はーい。」
「ほーい。」
「任せて。」
3人は返事と同時に森の方へと緊張感なく歩いていってしまいました。…本当に大丈夫でしょうか。私の指示を理解しているのか不安になります。
「では当方達はどうする?エルフ種がどのように過ごすのかはまだ分かっていない。出来ればルーテがその辺りを仕切ってほしい。」
「あーそうですね。確かにエルフ種の暮らしなんてアズには分からないですよね。では先ずは…」
私はアズに色々とエルフ種の歴史などを混ぜつつ寝床の作り方などを教えていきました。アズは興味深そうに聞いてくれるのでこちらもついつい脱線して関係のない話もしてしまいます。
ですがアズの要領が非常に良いので簡単な建築もすぐに出来てしまい、特に私がしてあげられることはありませんでした。正直指示を飛ばすだけで屋根付きの寝床が出来上がっていきます。
木も持ち前の筋力で根っこから引っこ抜いたり、樹皮も爪を立てれば次々と剥がれていきます。
道具とかが無いのでこういった部分が文字通りアズの手だけで行なえたのは有り難い誤算でした。魔法を使わずに済んだのは本当に有り難いです。魔素もただじゃありません。節約出来る所は節約したいです。
「で、次は?」
普段やったことのない作業を出来るのが面白いのかアズのテンションが高い。初めてのことにも興味を持ってやってくれるので大助かりです。
「では次は…」
私達が作業を初めて40分程の時間が経った時、遠くの方で何かが爆発し、その衝撃で地面と大気が震えて森に潜む鳥達が空へと逃げ出します。
そしてその爆発音は連続で鳴り続け、しかも爆発の規模が凄いのか、土煙が舞うのですがここまで見える程の大きさです。
ですが視認出来る爆発の煙と爆発音が合わないので遠い場所で起こっているようです。それなのに耳が痛くなるほどの爆発音…これは相当な衝撃が爆心地から発せられているのでしょう。
「あの、これって…」
「あの子達の仕業だ。」
「ですよね~!」
どうやら子供たちはアズと同類だったみたいです。いや子供たちはダークエルフなのでアズとは同類なのですけどやり方も破壊の規模も同じなのはちょっと…
「これだとアズの時と同じじゃないですか!結局私も生命の樹も巻き込まれてしまいますよ!」
「力のセーブの仕方は分かっている筈だが張り切ってしまっているようだ。初めての狩りなのだから多少は大目に見てやろうではないか。」
そう言ってアズは作業に戻ってしまいますが、現在進行系で私の視野は縦に震えているのです。分かりますか?地面がずっと震えて地震みたいになってるんですよ。ここも危険ということなのですよ?なんで落ち着いて組み立ててるんですか?
「私…多分子育て中に何回かはダークエルフに殺されるんでしょうね。」
アズが私達の寝床を組み立て終える頃にあの子達が戻ってきましたが、その後ろにはかつて生き物であっただろう残骸が山のように積み上がっていました。
どれも原型を留めていないのでどれがどの生き物なのか分かりません。そんな状態の死骸の山を恐らく植物の蔦を使って引っ張ってきたようです。…重くはないのでしょうか。推定でも数十トンはありそうです。
「どれが危険そうか分からなかった。」
「だから向かって来る奴。」
「全部狩った。」
皆が満足そうに私に狩りの成果を見せてきました。だってまた私の周りをぐるぐると回り始めましたもの。この謎のサークルは私に何かを期待している時にする行動です。名前を付ける時もそうでしたし間違いありません。
「…よく出来ました。今晩はご馳走にありつけそうです…」
なので私は心にも無い褒め言葉を子供達に言い、そして子供達は嬉しそうに小走りで寝床へと向かって行きました。
あ、今度はアズの周りを回り始めました。あれって私以外にもするのですね。
「…あれ、まさかこれ全部私が調理する感じですか?」
アズは前にものを食べることが出来ないと言ってました。それはつまり料理という概念を理解していないということ。ということは料理を出来る者は私だけってこと!なのに調理道具のひとつも無い状況下でこれ全部を一人で下処理もしないといけない…!
「うおおお…!子育てってこんなにも大変なのですね…!」
頭を抱えて唸り声を上げるルーテを他所にダークエルフ達は今晩のご馳走というものを期待していた。
「初めての食事だ。」
「思い出になる。」
「経験を。」
「したい。」
しかも期待値が非常に高く、初めての食事ということなので手抜きもしづらい。そんな状況下に追い込まれたルーテは一人で山のように積み上がった肉と骨と皮の塊に向かって行ったのだった。




