エルフと飲酒
Liaの一番の宝物という歌が好きです。
アルコールとは炭酸水素の水素原子を水酸基で置換した化合物の総称である。
これは多少なりの知識、教養があれば理解することができる内容だ。しかし先日まで魔素袋も持たない原生生物であったエルチルスにとってすれば未知の領域に思えるだろう。
そしてもしアルコールというものをただの菌類だった者に理解させようとした場合、どう説明したらよいかは更に未知の領域といえるかもしれない。
しかしそんな誰もが経験したことのない難題であろうともここには世界有数の知恵者が居た。
全生物の中でも優れた脳と教養を持ち、他種族に対しての関心、知識も持っている者。そう、竜の王にして神をも滅ぼした絶対的強者の“プロメア”ならば可能だ。
それに彼女達は今となっては同じエルフ族。同じ言語を話し最低限必要な知識を得ている。そう考えればそこまで難しい話ではない。
実際プロメアには宛があった。
(…マイコニドの体内から酵母臭が微かにだが感じ取れる。故に知識がまだ結びついていないだけでもうすでに行えておる。)
「…考えるよりも試すほうが良いか。」
プロメアは生命の樹のもとに向かうと自身の手を当てて魔法を行使する。すると生命の樹の枝先に赤い実がなり始めた。実の皮はまだ透明感があり中身が透けて見える。
それはまるで水風船を膨らませるように膨張し、ものの数秒で実が成ると完熟した実のように地面へと落ちた。
そしてその実を手の中に収めたプロメアはその実をマイコニドに向けて食べるように指示を出す。
「この実は糖分があって甘い種類。果実酒として使うのに充分な糖度があるので試してみよ。」
「ん〜?たべる?それを?」
「そうだ。口を開け咀嚼し体内で発酵させる。これを今やってみよ。」
「ん?くちをあけへ〜。」
マイコニドは子供のように言われたことをオウム返しするが見た目はもう充分に熟した成人女性。そんな女性が口を開けて待ち構えると非常に扇情的で雄が見れば情欲をそそられること間違いなしの光景だ。
「あの…あまりそういった表現は子供なんですし使用しないで欲しいんですけど…」
「ごめんなさい。ついつい筆が乗ってしまった。」
「聞き手が大人だけだし今回はセンシティブな表現もありかなと。」
「母様、クーデ達もそういう知識があるお年頃。変に指摘されると逆に恥ずかしい。」
「それは…!ごめんなさい…もうみんなそういう知識があるお年頃なんですね…」
まだ生まれて一つの季節も過ごした事が無いのにませた子供達だなとルーテは心の中で呟くが口には出さなかった。
そして自分がそういった知識を得たのは生まれてから何百年も経った後で、同年代の娘達から比べてもかなり遅かった事を少しコンプレックスに感じていたルーテは久し振りに羞恥心に駆られる。
(昔よくこの事で揶揄われましたっけ…)
因みにこれは余談だがそういった知識が無い時に家畜の交尾を見て「ケツに棒突っ込んでる!?」と言い周囲を爆笑させた事でルーテは正しい性知識を得た経緯がある。
そしてこれも余談だが最初その光景を見て急所に攻撃して本気で殺し合いをしていると考えたルーテは弁明する為にそのことを伝えると更に爆笑されたのだった。
「ごほんっ…話を続けてください。」
「「「りょ。」」」
マイコニドはプロメアの手の中にある果実を熱心に見つめ、そしてたまらないといった具合に齧り付くと夢中でその実を咀嚼し始め口の端から涎と果汁を垂らし…
「もっと端的にお願いします。そして卑猥な感じは無しで。」
ごほんっ…マイコニドが〜なんか、ちょっとぶきっちょに齧り付くというか〜?なんかね、あの、齧るより顎で果実を飲み込んだみたいな?ぶっちゃけ汚えのよ。うん、初めての食事だったとしても酷かったねあれ。
芋虫の食事かよって思ったねうん。みんなもそう思ってたしょ。しょ?
「ん、んんん~〜〜……!!まあ最初よりは良いでしょう…!!でももうちょっと頭の良い感じでお願いします!」
マイコニドは顎があまり発達していない種族で咀嚼そのものが苦手のようだ。しかし元が菌類であると考えれば納得がいく話である。そのせいで言葉を話すのも苦手で舌や喉も他のエルフ種と比べてあまり発達していないことが伺えた。
「ーーー食べ方も1から教えねばならんか。…美味しいか?」
「くあ〜なんかとってもたべたくなる。そんなきもちとかんしょく?あるよ〜。」
感想が正に子供のそれ。しかし身体だけは成人しておりあまりにもアンバランスな印象を受ける。
声もプロメア程ではないが成人女性のものでありルーテとそこまでの遜色は見られない。なのにこの種は精神が幼稚なのだ。
「なんか妹って感じする。」
「うん、メーテも思った。」
「身体はとっても大人なのに変だよね。」
ダークエルフ達の感想は当然のもので他の子供達も同じ感想を抱いていた。
「なんかパロメ達よりもずっと子供っぽいじゃないマイコニドって。あたしらとどんな関係性なのか分かんなくなるわ。」
「ピューレ達よりも後で生まれたんだから妹なんじゃない?」
「ええ〜あたしらと比べたら外見年齢違い過ぎ。妹って感じないよ。」
「そうよね!あたしらの妹がこれって無理があるっての!」
サラマンダー達はこれが妹とはとても考えられず対応に困っているようだ。
「ああ…確かにそう言われるとそうですよね。マイコニドって成体個体ですもんね…昨日はそこまで考えが及んでいませんでした…」
ルーテは最早慢性的になってきた腹痛でお腹を擦るが、同時に頭を抱えたくもなっていた。
「マイコニドは当方、プロメア、ルーテと同じ成体個体。成体と幼体でグループを別けるのが適切と考えるがどうだ?細分化しても把握しきれなくなるのが目に見えている。」
「そうですね…アズの言う通り成体個体は成体個体のグループ、幼体個体は幼体個体のグループに別けましょう。流石にあれを娘達と同列には扱える勇気がありませんよ。」
ルーテの視線の先には楽しそうに母乳のような汁を胸の辺りから垂らすマイコニドとその隣でゲラゲラと笑うプロメアのツーショットがあってとてもではないが子供とは思えなかった。
「じゃあマイコニドはマイコニド様って呼ぶ感じ?」
「というか名前はマイコニドでいいの?」
「種族名だけだと他のマイコニドが生まれた時に大変。」
「ううっ!その問題もありましたね…昨日の夜に決めておけば良かったです。」
更に問題が浮上しお腹を押さえて青ざめるルーテ。どうせ自分が命名しなければならないと分かっているルーテは先々の不安から目をそらす為にも話題を変える事にした。
清々しいほどの現実逃避である。
「…その後どうなったのですか?」
「マイコニドが果実を食べたあとのこと?」
「そうです…」
「乳房からお酒を出した。」
時が止まった。ルーテの体内時計はこの時に異常を来し歯車が止まったのだ。
そしてその時計が動き始めるまでに10秒の時間を有した。
「ーーーはっ!?どうしたんですか皆さん!?」
現実に帰還したルーテは心配そうにこちらを伺うダークエルフを見て大変驚いた。ルーテの視点からすれば突然ダークエルフ達の立ち位置が変わったように見えたからだが、どう考えてもダークエルフ達のほうが驚いているだろう。
「母様、体調が悪いようならお家に戻っててもいいよ。」
「…あのプロメア達を置いて家に戻れる神経を残念ながら私は持ち合わせていません。それで先程の質問なんですがどうやら聞き間違えたせいでよく聞き取れませんでした。マイコニドは果実を食べたあと…」
「乳房からお酒を垂れ流した。」
再び時が止まった。無論ルーテの時間だけ。遠くの森の方では怪鳥の叫び声がこだましエルフ達の優れた聴覚に引っ掛かるがルーテだけは聞き取ることが出来なかった。
「乳房から…お酒を出した?エルフが?」
「うん。」
「私生まれてこの方乳房から魔素以外出したことないですよ?」
「マイコニドはマイコニド。ハイエルフはハイエルフ。」
「ダークエルフは乳房からお酒出せるんですか?」
「母様身内相手でもセクハラは成立するんだよ。」
「ごめんなさい。」
乳から酒出せる?と聞くことは間違いなくセクハラに該当する。何を血迷ったのかと病院に連れられる程の妄言の部類ではあるがかなり攻めた内容なのは子供が聞いても分かることだった。
「つまりマイコニドはアルコールを精製することに成功したのだな?」
「うん、そうだよアズ様。」
「食べて一分もせずに乳房からお酒出てきた。」
「あの時のプロメア様の顔といったら。」
「え、どんな表情をしたんですか?…いや、やっぱり良いです聞きたくありません。」
もし嬉しそうな表情をしていたと聞かされたらもうプロメアの事をまともに見られなくなります…
「…えっと、それで、それでどうなったのですか?そこから酒盛りになったとか言わないですよね?」
「もう酒盛りになってるじゃろがい母様。」
「正解が目の前にあるのに真実から目をそらすの駄目だよ。」
「見るに堪えないなら聞かせてあげる。カオスの部分まだ語りきれてないし。」
「いや〜〜!!!聞きたくない!!!マイコニドの乳房にしゃぶりつくプロメアの事とか聞きたくないですっ!!!!」
頭を振り乱して狂乱に陥るルーテ。もう様になったその姿を見て誰も心配したりはしない。3日に一度はこうなっている。
「流石にそんな事はまだしてない。」
「これからしそうって言っているのも同然じゃないですか!?きゃ〜〜っプロメアのイメージが壊れる〜〜!!これでもドラゴンという種族そのものが昔から好きだったのに今では素直に好きと言えない私がいるっ〜〜!!!」
ドラゴンは恐怖の対象だがそれと同時に憧れの象徴でもある。特に竜の王であるプロメアは信仰すらされておりその名前にあやかって様々な種族がプロメアという名前を子供に付ける習慣が存在した。
星の名前、国の名前、都市の名前にもプロメアという名前が付いているのも珍しくないのだ。それほどの者が…
「ギャハハハッ!ギャハギャハッ!!」
とてもではないがこれ以上お見せできる姿をしていない。
「ルーテが使い物にならんから当方から質問だ。サラマンダー達全員が酒を飲んでいるがプロメアは止めなかったのか?飲酒という文化を当方は知識でしか知り得ないがプロメアが幼体に振る舞うとは考え難い。」
「話せば長くなる…」
「なら手短に。」
「プロメア様が飲んで酔っ払い、それを見たサラちゃんズが我々もプロメア様に続くわよって自分達から飲み始めてぱあになった。」
「ぱあになったのか。」
ぱあになったサラマンダー達を見るととても説得力のある説明だった。容易に想像が出来る内容だったが疑問が一つ残る。
「では次の質問だ。何故酔っ払っている。」
「それを今から調べようと思ってたら。」
「母様とアズ様がきた。」
「間が悪いってあるんだね。」
「では当方が調べよう。マイコニドとサラマンダーについて調べられる良い機会だ。」
「そっちが本命だったくせに。」
「アズ様心配なんかしてない。」
「ワクワクしてたのバレバレ。」
アズはダークエルフ達の横を通り抜けるとマイコニドを調べようと観察を始める。
彼女は頭の傘とゆったりとした服の影響で地面に座るとまるで大きな茸が地面から生えているように見えるのが特徴的だ。
木之子種という名前もこの姿から連想されたものでマイコニドにとって最も落ち着く姿勢のようである。
「マイコニド、少し調べさせてもらうぞ。」
「あ、あず〜さま〜?いいよ〜。」
個人の見分けが問題なく行えている事から一通りの知識は与えられているのが分かる。それに名前で個人を判断するという文化もすでに使いこなせている。すさまじい成長速度だ。
「アルコール臭…それにこの甘い香りは間違いなく生命の樹の実特有のもの。」
アズはマイコニドの前でしゃがみ、そして胸の部分の布を掴んで持ち上げると乳房を露出させた。
「何やってるんですか!?あまりにも遠慮も躊躇も無さすぎでしょうが!!」
皆から居ない子として扱われ現実逃避していたルーテが正気に戻って最初に目にしたものはアズがマイコニドの乳房を晒した所だった。
「見なければ全てを明らかには出来ん。当方は接触して情報を得る事に特化している。」
「だからって乳房を晒すのはどうかと思いますけどね!?」
アズの背中に寄りかかるようにツッコミを入れるルーテ。口ではどうのこうのと言いつつも知的好奇心からマイコニドの分泌するお酒が気になっていた。
「耳元で喚くな。この距離感での声量ではない。」
「あ、すみません。」
「うう〜ふわんふわんする〜。」
マイコニドは乳房を晒されても気にした様子は無かったが、ルーテの大きな声で耳が痛いのか両手で自分の耳を押さえる仕草を取る。
「あ、ごめんなさい。マイコニドも私達と同じように耳が良いんですね。」
(あの傘の部分でよく分からなかったですがちゃんと耳があったんですね。)
「ルーテ〜ルーテよ〜先程から余を構わんとは何事か〜。」
「酒くさ!お酒臭いですよプロメア!」
マイコニドの隣で飲んでいたプロメアのダル絡みでアズから引き剥がされてしまったルーテはその時にアズはルーテが引き剥がされやすいように身体をそらしたことに気付いていた。
(私を売りましたねアズ!?)
「掴まへた〜!」
「ぎゃあああ!!酒くせえ褐色怪力お姉さんに捕まった!!!助けて我が娘達〜!!!」
「母様は犠牲になったのだ。」
「これも後学の為、母様の犠牲を無駄にしない。」
「クーデぜろちゃい。おさけのつきあいわかんない。」
「セクハラとか知ってんのにお酒の付き合いは知らんとか最近の若い奴らはどうなっぎゃあああ!!!」
プロメアの筋力はドラゴン由来のものでエルフの身体なぞ容易にへし折れる強さを誇る。特に尻尾は腕力、脚力とは比にならないものでそんな尻尾にぐるぐる巻きにされたルーテは久方ぶりの死の感覚に襲われた。
「ああ本当におまへは…おはえはういやつじゃあ。余がおとこならとっくにはらませておるぞ〜。」
「ぎゃあああああああ!!!犯される〜!!!!褐色怪力飲酒ドラゴンに性的に食われる!!!」
「ペロ…ごくごく…」
「きゃああああああああ!!!舐められた!私を肴に酒飲まれたーーー!!!!子供達に見られてる!情操教育が!せめて情操教育だけはと気を付けてたのにー!?」
いうてそんなに気を付けられてはいなかっただろとダークエルフ達は同じ感想を抱くが敢えて口に出すような事でもないと考えて口にはしなかった。
「あの馬鹿達はほっと置いてこの分泌液について調べる。手を貸せ。」
「「「了解。」」」
「う〜んひんやりする〜。」
「アルコールが空気に触れて気化している感覚だ。もう少し我慢せよ。」
「ひりひり〜。」
マイコニドの服は1枚の布ではなく複数に別れていた。他のエルフ種の服は1枚の膜から作られる関係上1枚の大きな布で構成されそこまで複雑な造形はしていない。
しかしマイコニドの服は1枚の布というより分厚い苔が複数組み合わさったような造りだ。
特に胸の部分は特徴的でめくれば乳房が露出するような造りになっていて元々こういう用途の為に設計されたものに思えた。
「乳房から魔素を放出するにもこの分厚い服が全身を包んでいれば上手く排出が出来ない。だからこの形をしていると考えれば効率的だが…」
「じゃあ誰が創造したのかって疑問が生じる。」
「ぎゃあああ!!!」
「メーテ達の服も機能性があるけど母様の故郷にはダークエルフなんて居なかった。だから服の形に違いあるのちょっとおかしい。」
「機能性なんてそう簡単に生まれない概念。でもダークエルフは生まれてすぐにこんな服装。人為的なものを感じる。」
「ぎゃあああ!!!」
ダークエルフはこの星で始めて生まれた種族。それはサラマンダーもマイコニドにも言えるが共通している部分が存在した。
それは機能的な所だ。
「当方達は生物として欠陥を抱える点が数多く存在するがその逆…「ぎゃあああそこは駄目です!!触っちゃだめー!!」…な部分も数多く存在する。」
「うん、「せっぷん〜せっぷん〜。」から見てもおかしい。」
「最初から調整されているみたいに…「初めてのキスが酒くせえ相手とか…!」…だから生命の樹内部の解析が終わらないと結論は出せない。」
「…あ、母様とプロメア様のプロレス見てて聞いてなかった。」
「うう〜ふわんふわんする〜。」
ちょくちょくルーテとプロメアの絡み合いから発生する叫び声(ルーテが100%)で頭と耳が痛むマイコニドはこの慣れない感覚にどうすればよいかとまた慣れない脳と思考を使い頭を悩ませる。
「よい刺激だ。脳が使われている証拠と受け取っておくといい。」
「よい?しげき?わかんないよ〜。このふたりうるさいよ〜。」
「なら助けろー!!!!さっきから助け求めてるでしょ!!隣で!!!助けを!!!求めてるでしょ!!」
「わかった〜たすける〜!」
マイコニドはルーテが助けを求めていると理解するとアズを押し退け、そしてプロメアに抱きつくと同時に彼女の頭を自身の胸に近づけ…
「ほ〜ら、ぷろめあ〜。いっぱいのみましょうね〜♪」
母親が赤子に授乳するように乳房をプロメアの口に押し当て始めた。その光景をド近距離で見せられたルーテは突然の授乳に脳を破壊され目を大きくひん剥く。
「………………………ちゅぱちゅぱ。」
そしてあまりにも艶めかしいちゅぱ音がルーテの耳と脳みそを犯す。あのプロメアが自分よりも体格が小さい女性の胸を夢中でちゅぱちゅぱしている。ルーテだけでなくアズやダークエルフ姉妹たちですら絶句する光景だった。
体格でいえばプロメアの身長は2メートル近くもあり普段の言動から見ても大人の女性の印象が強い。そんな彼女があんなにも安心しきって自分よりも身長が小さい女性に授乳されるなど昨日まではかんがえられない所業だ。
しかしマイコニドに限ってはとても様になっていた。例え背が他の成人個体よりも低くても女性らしさの象徴である胸が大きいのであればそれはママなのだ。
そんな説得力が今のマイコニドはあった。今も目を細めて大切そうに赤子(髪が赤い子)を抱えるマイコニドは間違いなくママだった。例え与えているのがアルコールを含む母乳だとしても。
「は〜いじょうずじょうず♡いっぱいのんでねんねしましょうね〜♡」
あの歯の抜けたような話し方も今となっては赤ちゃん言葉を敢えて使用する母親のように聞こえるのだから不思議だ。
そして最も不思議だったのはプロメアがそれを受け入れた事。これは明らかにおかしな事だ。だがそれでも納得してしまえる母性が今のマイコニドにはある。
尽くし、甘えさせ、そして己の一部である血液を自ら分け与える。これはエルチルスの頃から行なってきた当たり前の行動。別に狙ってやったことでも無理をして奉仕していることでもない。
寄生し共生を図るエルチルスにとって奉仕とは胞子を施すことそのもの。自身の一部を与えることで生存圏を拡大していく。
これが木之子種の生存戦略。ただの菌類がエルフという女性的特徴を獲得した結果生み出されたコミュニケーション。
あのプロメアですら抗えない依存が今この地にて着実に侵食していこうとしていた。
一番幼い個体なのにママなのが良いんですよね。




