96 謎の女
「ルシファーに力を貸したのはこの私。貴方達が言う所のーー『神』
といえばいいかしら?」
!!???え?? どういうことーーー!??!
その女性は空中に浮かびながら口に手を当てて私達を見下ろしている。
いわゆる女神なんだろうかーー?
「何…!!貴様が黒幕だと!?ふざけたことを吐かすなっ!」
ダビデが激しく憤っているのがわかる。
「確かにルシファーは正気ではないようだった…貴方がルシファーを操ってこんなことをさせたのですか?」
ラファエルさんの質問に神と名乗る女は微笑みながら答える。
「正確には利害一致だけどね。彼はソロモンの指輪を利用して魔界を支配したいと思っていた。私は、私の申し子である聖書の転生者達を召喚し、この世界を支配したいと思ったのよ」
私達は驚愕のあまり言葉が出なかった。
世界を支配する為だけに、聖書転生者達を呼んだって言うの!?
そんな勝手な都合の為に異世界に飛ばされて来たっていうの……!?
信じられない……許せない……!絶対に!!
私は怒りで震えていた……。
あれ?
だけど私は?明らかに無関係なのに何で私までーーー?
「貴方は一体……」
ラファエルさんは冷静に、神と名乗る女を問い詰めようとするけどーー
「悪いけど今日は退散させてもらうわ。私の可愛い申し子達、私の思惑通りに成長したようで嬉しいわ♡また会いにくるわ」
そう一方的に言うと女は姿をくらましたのだったーー。
「う、うう…」
その時、私の腕の中にいたイサクがゆっくりと目を開いた。
……生きてる!!
よかった……! 私は嬉しさで涙が溢れてきた。
イサクは見るも無惨だった姿も回復して傷も修復され、今は安らかな寝息を立てている。
その様子を見ていたヤコブ、そしてダビデ達も安心したように胸を撫で下ろしたのだった。
「おそらく、これはヤマトちゃんの異能が発動したんだね。君はまだ能力が安定してないけど、イサク殿を救いたい強い思いがきっかけでそれが無意識に働いて奇跡が起きたのかもしれないよ」
ソロモンさんはそう推測するように言うのだったーー
そっか、あの時の思いが……私に力を貸してくれたんだ……。
とにかくイサクが無事で良かった!
「ソロモン王」
過酷な戦いが終わったわけだけど。
ソロモン72柱の悪魔達が、ソロモンさんの前に集まっていたのだったーーー