95 希望の行方 〜最終決戦〜
「ダメだッ!!行かないでくれぇぇぇえええ!!」
ヤコブは絶叫する。
「あれは……イサク殿の異能『自己犠牲』か!?」
ソロモンさんが苦悶の表情で呟く。
ヤコブの叫び声が響く中、無数の光線のようなものが発射されるのが見えた。
それは瞬く間にルシファーに命中する。同時に爆発が起き砂埃が舞う。その中から人影が見えたかと思うと、その場に倒れ込むように倒れるーー
「今だ!」
ラファエルさんが号令をかけると聖書転生者達とラファエルさんは一斉に攻撃を仕掛けに行くーー!
「よし!気を失っているようだ。今のうちに拘束しよう」
ラファエルさんはそう言うと、結界のような物でルシファーの動きを封じ込める。
「父上……父上ーーー!!!」
安心したのも束の間、イサクに向かって駆け出すヤコブ。
その悲痛な叫びが辺りに響き渡るーー!
私達も慌ててイサクの元に駆けつける。
イサクは「自己犠牲」を発動し、その代償に見るも無残な姿になっていた………
「ここまで損傷を負っていると……手遅れだ………」
ソロモンさんが苦渋に満ちた顔で呟いた。
「そ…そんな……嫌だ!!父上ーーー!!!」
ヤコブが泣きながら崩れ落ちる。
こんなのあんまりだよ……
いくらルシファーを止められたからって仲間が犠牲になるなんてそんなの間違ってるよ……
私はあまりの理不尽さに悔しくて悲しくて、無意識でイサクの体を抱きしめていた。
なんでこんな事になっちゃったんだろ……?なんでこうなっちゃったんだろう……?それともこれも運命なの……?
これが神様の決めたことなの……?誰か教えてよ……。お願いだから助けてよ……!
もうどうしたらいいのか分からなくて頭がぐちゃぐちゃになって涙が止まらなかった……。……
その時だったーーーー 私の腕の中に抱かれていたイサクが淡く光り出したのだーー
「ラファ兄ーーー!」
遠くから声が聞こえる。
「サリエル!天界の援護を連れて来てくれたのか!皆の者、ルシファーは封印したので残りの堕天使軍を掃討してくれー!」
ラファエルさんの声と共に天使達が堕天使軍の元に向かう。
ソロモン72柱の悪魔達と共に、天使達は堕天使達を次々と捕らえて行った。
そんな中ーー
「へえ、なかなかやるじゃない。流石は私の申し子達ね♡」
どこかから女の声がする。
「!!!???誰だ!!」
「この声は……?まさかあの時私が戦った女性!?」
ラファエルさんが警戒している。
一体何者ーーー?