94 自己犠牲
「よし、悪魔達とアダム殿が抑えてくれている間に、私達とラファエルさまでルシファーを止めるとしよう」
そう言うと聖書転生者達は攻撃態勢を取る。
(仮想空間で訓練した時を思い出せ!みんなの力を合わせればーー)
ダビデ達はそれぞれ異能を発動準備を始める。
頼むよ聖書転生者!!頑張れー!!!!
(お願い!!!成功してーーーっ!!!!)
私は必死に祈るようにして祈ったーーーー!
次の瞬間ーーーー
凄まじい閃光が走ると同時に耳を劈くような轟音と共に眩い光に包まれるーーーー!!!!!
(隕石が落ちた時のようだ!これならーーー!)
ダビデ達は勝利を確信した顔をしている。
だけどーー!
光が徐々に晴れていき、やがて何も見えなくなるーーーー! そして煙が舞い上がる中にうっすらと人影が見えてきたーーーー!
あれはまさか……!!?
「……馬鹿な奴らだな……」
ルシファーの声だったーーー
「何だと……!あの攻撃に耐えたというのか!?」
絶望感が漂い始める中ーー ルシファーが手を上に掲げると巨大な漆黒のオーラが出現する。
そして手を閉じる動作に合わせて漆黒のオーラがダビデ達に迫ってくるーーーー!
あれに触れちゃダメだっ!!!
直感的にそう思ったので私は
「逃げて!!!」
そう叫ぶしかできなかった…。
だけどーーー
「ヤコブ。お前と再会できて嬉しかった。父として上手く愛してやれなくて済まなかった……」
なぜか前に出ていくイサク。
その顔はどこか悲しげで切なさを感じさせる表情で微笑んでいた。
「さよなら」
イサクはそう呟くとーー
「『自己犠牲』を発動する」
「父上……!?ダメです!行かないで!」
泣きながら手を伸ばすヤコブ。
そんな息子を見て優しく微笑みかけながら、イサクは静かに言うのだったーー
「お前は生きてくれ……ヤコブ……」