92 悪夢の光景
吹き飛ばされた私達は瓦礫に埋もれてしまった。
体が動かない……。痛い……。意識を失いそうになる。でもなんとか持ち堪えないと……
「だ…大丈夫か……みんな…」
アダムがみんなに声をかける。
しかし無事とは言えない状況なのは明らかだろう。
サタンになったルシファーは不気味な笑い声を上げながらこちらに歩み寄ってくる。
だけど、ソロモン72柱の悪魔達が私達を守るように立ち塞がった。
「皆さん、大丈夫ですか!?」
ヴアルさんが私達を瓦礫の中から引っ張り出してくれる。
「済まない。礼を言う」
ダビデ達はヴアルさんにお礼を言っているけどダメージを負って苦しそう。
(私も役に立たなきゃーー!)
私は聖書転生者達に回復魔法を施していく。
「助かるぞ、ヤマト」
ダビデは笑顔でお礼を言う。
「そなたがいてくれて我々も助かっている」
「ああ、君がいてくれるから戦えるんだ」
アダムやヤコブにも褒められた。嬉しいな。
私の存在がみんなの役に立ててると思うとやる気が出るよ。
「よし、これでだいぶ回復したな!」
ダビデの言う通り、さっきまで傷だらけだったみんながある程度回復することができたみたい。
よかったぁ〜! これなら少しはまともに戦えるかも! だけど、まだ完全に体力を取り戻したわけじゃないから油断はできないよね……。
サタンの力は圧倒的すぎる。こんな奴に勝てるのだろうか?
「ルシファーさま、私達も戦います!どうか力をお貸しください!!」
ルシファー軍の堕天使達がサタンの姿となった主に懇願している姿が見える。
「何だ…?嫌な予感がするぞ……」
直感が優れたダビデは何かを感じ取ったらしいけれどーー
「!!!」
皆目の前の光景に絶句したーーーそれは突然の出来事で理解が追いつかなかったーー
天使に似た姿をしていた堕天使達が続々と醜い異形の形に変わっていったからだ。
その光景はまるで悪夢のようで現実離れしており、見ているだけで吐き気がするほどおぞましいものだったーーーー