89 最悪の選択肢を強いられるソロモン
ルシファーは瞬時に移動して・・・私のことを背後から羽交い締めにした。
「ヤマト!!」
「何…!なぜあの少女を!?」
みんな唖然としている。
明らかに一番弱くて後ろで見てただけの、空気だった私を狙うなんて誰も予想してなかっただろう。
私ですら・・・。
「ふふ、捕まえたぞ……大人しくしていろ。ソロモン王よ、この娘がどうなってもいいのか?」
ルシファーは私の首に腕を回している。
少し力を入れればいつでも私の首をへし折れる状態だ。
「やめろ!!彼女だけは…彼女を離せ!!」
ソロモンさんは青ざめた顔で叫んでいた・・・
明らかに一番弱くて、ただの空気だった私を、魔王ルシファーは唐突に捕まえた。
そして私を人質にしてソロモンさんを脅迫し出したのだった。
他の聖書転生者達も悔しそうに睨みつけている。
(フッ…やはり奴は女が弱点だったか。実に予想通りの展開だ)
ルシファーは満足そうに笑う。
「この女を殺されたくなければ、貴様もおとなしく降伏しろ!早くしないと、この娘の命はないぞ」
私を人質にとったことで完全に優位に立ったと思っているのだろう。余裕たっぷりの表情だ。
こいつにとって人間の私なんか虫けら同然のはず。殺すくらい簡単にできるだろう。
どうしよう……このままじゃソロモンさんが……!
「くっ……わかった、言う通りにしよう。だから……どうかその子には手を出さないでくれ……」
「ふっ、賢明な判断だな」
「ソロモン王!いけません、罠です!」
ソロモン72柱の悪魔達が慌てて止めるがソロモンさんは武器を捨てた。そんな……!
「ソロモン王よ、今この場で悪魔達をその指輪で服従させるのだ」
「!?」
ソロモンさんも悪魔達もその要求に驚愕する。
ソロモンさんは究極の選択を迫られたかのように苦悶の表情を浮かべている。
そんな・・・。
私のせいでこんな事に・・・。