87 ダビデの異能
魔聖を洗脳して襲わせるだけに留まらず、アスモデウスを洗脳し、同士討ちさせようとしたルシファー。
今度は他のソロモン72柱の悪魔達の何人かが苦しみ出してーー?
「ぐっ…な、何だ?頭が割れるように痛い……!」
「く、苦しいっ……やめてくれぇ!」
悪魔達の何人かが突然苦しみ出してる…!?まさか、ルシファーに操られてるんじゃ……!
「まずい!みんな、ルシファーは君達を洗脳して同士討ちさせる気だ!逃げるんだ!!」
ソロモンさんが叫んだ。
悪魔達は一時撤退しようとするものの、それを許さないと言わんばかりに立ち塞がる堕天使達。
「ここは私が抑える」
アダムが無効化能力の異能を使い、ルシファーが放っている洗脳を無効化する。
だけどすでに洗脳されてしまった悪魔達が、仲間であるソロモン72柱の悪魔達を攻撃しようとしてる……!
「ルシファーめ、こんな力を持ってたのか…!」
「おそらくルシファーが使っている洗脳は一時的なものだ。ソロモンの指輪のような強制力はないだろう。だが自我を失ってるのが厄介だな…」
ソロモンさんは冷静に分析していた。
(奴の洗脳に、もし僕のソロモンの指輪の強制力が合わされば…想像するのも恐ろしいな……何としても奴の野望を止めなくては!)
「くそ…!魔物と堕天使軍団だけでも手一杯なのに、仲間と同士討ちまでさせられるのか!?」
バルバトスさんも焦燥感に駆られているみたい。
アダムやソロモンさんなど聖書転生者達も必死に応戦してる。
私も助けに行きたいけれど、今の私では足手纏いにしかならないだろう。悔しいけれど今は見守るしかない……!
そんな中ーーーダビデが前へ出てくる。
「私の出番だな」
「ダビデ……?」
私は心配になって思わず声をかけた。
「大丈夫だ、ヤマト。私を信じてくれ」
いつもの優しい笑顔ではなく、真剣な眼差しで私を見つめてくるダビデ。その決意に溢れた目に見つめられると、なんだかドキドキしてしまう……。
いや、今そんな事を考えてる場合じゃなかった!! でも本当に大丈夫なんだろうか……?
ダビデは竪琴を呼び出し、演奏をし始めた。
「何だあいつ、こんな時に演奏なんかしやがって……!」
ベリアルさんは悪態をつく。
確かにこの状況で竪琴の演奏は場違いだ。
だけどダビデが奏でる竪琴の音色は力強く、それでいて儚くて美しい旋律だった。
心に染み渡っていくような心地良さを感じる。
すると・・・
「……何だ?私は何をしようとしていたのだ…?」
「アスモデウス!正気を戻したのか!」
どうやらルシファーの力で操られていた悪魔達は解放されたようだ。
ダビデはルシファーの方を向き言い放つ。
「ルシファー、これ以上お前の目的は果たさせない!」
ダビデは竪琴の演奏の名手でもあり、少年時代は前王のサウル王の前で竪琴を演奏していました。
ダビデが演奏するとサウル王の鬱(悪霊が憑いていたと聖書に書かれてます)が良くなっていたそうです。
ダビデの異能はそのエピソードが元ネタです。