86 魔王ルシファーの奇策
「行け、貴様達!奴らを根絶やしにしろ!」
ルシファーは号令をかける。
「望むところだ!」
ソロモン72柱の悪魔達は応戦しようと構えるけど、ルシファーは予想外の行動に出た。
「何だあれは……!?」
ルシファーは手から黒い光球を放った。
するとどこからか魔聖達が次々と集まり出してくるーー!
その光球に触れた魔聖達がたちまち凶暴化していく!
「何が起こってるんだ……?」
ダビデは思わず呟く。
「まずいな…堕天使だけでなくこの世界の魔物を味方につける気か……!」
ベリアルさんは少し焦っているように見える。
「その通りだ!さぁ我が僕となりて、この世界を破壊するのだ!」
ルシファーは愉快そうに笑いながら叫ぶ。
そして正気を失った魔聖達が襲い掛かってきた! 魔聖の中には上級クラスの上位種も多くいてかなり強そうだ。
「くっ……数が多い!」
ムルムルさんも押され気味のようだ。
「こいつら、何で俺たちばかり襲うんだ?」
疑問を口にするマルファスさん。
確かに魔聖達は堕天使軍側を攻撃しようとしてない……? それに、よく見ると目が虚ろで自我を失っているようにも見える。
魔聖や堕天使達に必死に応戦するダビデ達や悪魔達。
「くそ、キリがねぇ!」
マルファスさんは悪態をつく。
ダビデ達も劣勢になってきた。
このままじゃ負けちゃうかもしれない……
そんな時、ルシファーはある提案をする。
「アスモデウスよ、貴様が余の元へ来ればこの戦いは終わるぞ?どうする?」
アスモデウスはルシファーを睨みつけてこう言った。
「断る。貴方は信用できない」
「ふむ、そうか。ならば仕方あるまい」
ルシファーはパチンと指を鳴らした。
「うっ……ぐわぁぁっ!」
アスモデウスは苦しみだした。
一体どうしたというのだろう?
「何をした!?」
ベリアルさんは激昂する。
「なに、少し奴の心を操ってな。我々に従うように命じただけだ」
ルシファーは得意げに答えた。
「お前……!!許さんぞ!!」
ベリアルさんは激怒して殴りかかるけど、あっさりかわされてしまった。
「全く愚かだな。雑魚共は黙って余に従っていればいいというのに。貴様も堕天使であった者。余に寝返れば右腕にしてやっても良いぞ?」
「黙れ!神に反逆し失敗した無様な男の配下になるつもりはない!」
ベリアルさんはルシファーに反論する。
「なんだと……!?調子に乗るなよ、ゴミ虫が!やれ、アスモデウス」
ルシファーが命令すると、アスモデウスは再び苦しみ出す。
「……はい、仰せのままに……」
ベリアルさんに襲い掛かろうとするアスモデウス。
「おい、目を覚ませ!」
「同士討ちというのも一興ではないか」
ルシファーは何か企むように楽しそうに笑っていた。