84 僕が悪魔達を守る
圧倒的多数の悪魔の大群と戦ったダビデ達だけど、協力し合って優勢になることができた。
そこに現れたのはアスモデウスという悪魔で、戦線布告してきたのだけど…。
攻撃を仕掛けるかと思ったら彼は意外な行動に出てきたのだった。
応戦しようと構えるダビデ達。
アスモデウスは攻撃すると見せかけ、一瞬でソロモンさんの元に瞬間移動した。
「!!いかん、あいつの狙いはソロモンだ…!」
ダビデは叫んだ。
アスモデウスは攻撃すると思わせて、意表をついてソロモンさんの身柄を狙ったんだ…!
ダビデ達は慌ててソロモンさんを守ろうと駆け出すけど、間に合わない……!
「!?」
だけどアスモデウスは一瞬目を見開き、その隙にソロモンさんは手から光線を放ち、距離を取る。
ダビデ達はソロモンさんを囲むようにして守りを固めた。
「な、なぜだ…なぜ奪取したはずのソロモンの指輪が!?」
アスモデウスは困惑しているようだった。
ソロモンさんの手には、指輪が嵌っていた。
「悪いね、アスモデウス君。君達に渡したのは偽物だったんだよ。本物は、こっちだよ♡」
ソロモンさんは得意げに手を振って見せびらかす。
「この指輪が僕の元にある。この意味わかるよね?」
「ぐっ……」
(くそ…指輪を使われてしまえば我々は服従するしかない……)
アスモデウスは悔しそうに歯噛みする。
ソロモンの指輪は悪魔を服従させる力を持ってるんだから、そりゃ不利だよね。
これは形勢逆転だね!
「臆するな、アスモデウス。其奴は指輪で服従させる気などない。ただの脅しだ」
急に美声というべきイケボが聞こえてきて私達は驚いた。
声の出所を見ると、そこには金髪長髪で天使のような羽をつけた美形の男性が立っている。
顔は一見女性かのように綺麗で可愛いけど、そのオーラは威圧的で偉大さを感じさせるものだった。
明らかに今まで会った悪魔達とは格が違う存在だった。
「こいつがルシファーか……?」
ダビデが呟いた。
「ルシファー様……」
アスモデウスは絶望の表情をして呟く。
どうやら間違いないらしい。この人が魔王ルシファーなんだね! 圧倒的な存在感と威厳を感じるなぁ……。
でも、なんだろう?なんだか違和感を感じるような……?
「人間とは甘い生き物よ…悪魔に温情でもかけたのだろう。だが貴様のことだ。それだけではないのであろう?」
「フッ…。さすが魔王様だね。悪魔を服従させる力を一度解放してしまうと…もし僕が傀儡にさせられてしまった時、誰も止められないだろう?」
ソロモンさんはそう言って不敵に笑う。
「やはりそうだったか…。だが関係ない。貴様を傀儡にして悪魔達を服従させればいいだけのこと」
「……アスモデウス君。騙されちゃダメだ。彼は、君も服従するつもりだよ」
「何…?」
アスモデウスは信じられないという顔を浮かべている。
(そんなはずはない。ルシファー様は私に高い地位を約束してくださった…いや、待てよ…?)
ルシファーは確かに部下を重宝する面もあるが、高い地位を約束したからと言って自分が服従の対象に入らない保証はないのだ。それに気づく。
(まさか、私は騙されていたのか……?他の悪魔達を裏切ろうとさせられてまで…!)
アスモデウスは悔しそうな表情をする。
「アスモデウスよ、此奴に耳を傾けるな。貴様を惑わそうとしておるのだ。余は貴様を認めておる」
ルシファーはそう言うけど、アスモデウスは疑いの目を向ける。
「僕は生前、配下の悪魔達を服従させ、彼らを警戒して身勝手に封印した……。だが、今度は僕が悪魔達を守る…!!」
ソロモンさんはルシファーを見据えてそう言い放ち、力強く宣言した。
その時ーーー
「ソロモン王ーーー!!」
「ソロモン様、我々も加勢しますぞ!」
マルファスさんやムルムルさん、バルバトスさん、そしてヴアルさん。
それだけじゃない。
たくさんの悪魔達が続々と駆けつけてきてる!
え?ま、まさかこの悪魔達って!?
「ソロモン72柱、参上!!であります!」
ヴアルさんが誇らしげに言ったーーー!