83 悪魔軍団VS聖書転生者達
私達が到着した時には、既に悪魔達が暴れていた。
辺りには煙が立ち込め、あちこちで火の手が上がっている。
(ひどい……!!)
凄惨な光景を目の当たりにして絶句してしまう。
幸い、まだ犠牲者は出ていないようだけど、それも時間の問題かもしれない。
早く何とかしないと……!
そう思った時、私の横を黒い影が通り抜けていった。
それはダビデだった。
彼は目にも止まらぬ速さで敵陣の中に突っ込んでいくと、次々に敵を斬り伏せていく。
(すごい……!これがダビデの力なんだ……)
私は思わず見惚れてしまった。
彼が剣を振るう度に敵の首が宙を舞い、血飛沫が上がる。それはあまりにも凄惨で美しい光景だった。
「我々も続くぞ!」
そう言って駆け出したのは、アダムだ。彼らもそれぞれ異能を駆使して戦う。
(私も頑張らなきゃ……!)
彼らに負けてられないと思い、気合いを入れると、私も彼らに続いて走り出した。
悪魔軍団は数え切れない数でまさに大軍勢だけど、私達の方はたった数人。
しかし、敵は倒しても倒しても次から次へと湧いて出てくる。まるで底なし沼のようだ。
「くっ、キリがないな……」
ダビデは苦戦を強いられているようだった。
(だが、仮想訓練で大量の敵が現れた想定で訓練しておいた甲斐がある!あの訓練通りにやれば必ず勝てるはずだ!)
「みんな、訓練を思い出せ!あの時のように対処するんだ!」
ダビデの言葉に仲間達も奮起し、落ち着きを取り戻したようだ。
「僕も父上に負けていられないな」
ソロモンさんはそう言うと、両手を空に向けて突き出した。
すると、空に巨大な魔法陣が出現する。そして、そこから隕石が降り注ぐ!それらは次々と地上に降り注ぎ、多くの悪魔達を倒していった。
「私もそろそろ本気を出させてもらう!」
今度はヤコブがそう叫ぶと、みるみる体が巨大化していきドラゴンに変身していく。その大きさは数メートルはあった。
そして、雄叫びを上げると口から灼熱の炎を吐き出した!その威力は絶大で辺り一面を焼き尽くしていく。その様子はまるで怪獣映画のようだった。
それを見た悪魔達は驚き戸惑うが、聖書転生者達は全く動じない。
なぜなら、彼らは訓練の中でこれらの攻撃を見ているからだ。もはや見慣れた光景であり、驚く必要もなかった。
こうして、聖書転生者の怒涛の攻撃により、戦況は一変した。
あれだけいた悪魔の数もかなり減っている。
このままいけば勝てそうだと思ったその時ーー
「人間風情が調子に乗りおって。思い知らせてやるわ」
突然、低い男の声が響き渡る。
「お前は…!アスモデウス!!」
アスモデウスと呼ばれた、羊の顔を肩につけた長身の男が現れた。
禍々しい雰囲気を放っている。いかにも強そうな見た目をしていた。
「今日こそ私の本気を見せてやろう。虫けら共よ、貴様達はここで死ぬのだ!!」
アスモデウスは攻撃を仕掛けるかと思ったら・・・意外な行動に出てきたのだったーーー!