82 ルシファー軍との死闘開始
ルシファーとアスモデウスは進軍の準備を始めていた。
自分の部下である堕天使軍団や低級悪魔達に召集をかけ、その数は数千を超えていた。
そしてーー ついにルシファーとアスモデウス率いる大軍勢がソロモン奪取を目指して進軍を開始した。
その様子を遠く離れた場所から監視している者がいた。
「ラファ兄、大変だ!堕天使軍団と低級悪魔の軍団が異世界に攻め込んできたみたいだよ!」
青ざめてそう叫ぶのは大天使サリエルである。
「何だって?まさかここまでするとは…我々だけでは守りきれないかもしれないな……」
そう言ったのは大天使ラファエルだった。
「サリエル、大至急天界に行って援護を要請してくれ!私はソロモン王達に加勢する」
「わかった!ラファ兄、気をつけて」
サリエルは急いで天界に向かって飛び立っていった。
一方その頃、ダビデとヤマト達の方はと言うとーー
「この数日、過酷な修行に打ち込んだおかげで新しい異能を身につけることができた。これでルシファーに対抗することができるはずだ」
ソロモンさんは自信に満ちた表情で言った。
そしてこの数日で、ダビデ、ソロモンさん、アダム、イサク、ヤコブ達聖書転生者同士の仲間意識も強まり互いに信頼関係を築くことができたみたい。
和やかに談笑していた彼らと私だったけど、突然の訪問者によって中断させられることになる。
「ソロモン王!大変です!ルシファーと配下の軍勢がこちらに迫っています!」
慌てた様子で駆け込んできたのはソロモン72柱のマルファスさん達だった。
「何だって?」
「かなりの数がこの異世界に進軍中のようです」
「まずい…街に進軍されては被害者が出てしまう」
ソロモンさんは深刻そうな表情で呟く。
「我々で迎え撃ち食い止めよう!!」
ダビデが提案する。
「そうだね。被害を出すわけにはいかないからね。みんな、行くぞ!!」
ソロモンさんの掛け声で、私達は一斉に動き出した。
街に到着する前に、ルシファー軍を迎え撃つ作戦を立てることにした。
「ヤマトちゃん。危険だから君は街に残ってて」
ソロモンさんが心配そうに声をかける。
「嫌です!私は治癒魔法が使えます。回復役として参加させて下さい!」
私は頑として主張した。
「ヤマト。今回は我々も厳しい戦いになるだろう。君がいてくれる方が心強い。私が守るから参加してくれ」
ダビデは私の目を真っ直ぐに見て言う。その瞳には決意の色が浮かんでいた。
「もちろん!」
私も彼の目を見て答える。ダビデが守ってくれるなら安心できると思ったから。
「……。仕方ないか……。ただし、絶対に無理しないこと。危なくなったらすぐに逃げること。約束できるかい?」
「はい!」
ソロモンさんは渋々といった感じだけど、許可してくれた。
こうして私達は、ルシファー軍との戦いに臨むことになったのである。