77 ソロモンの指輪の力
私達は、再びソロモンさんの屋敷に戻ってきていた。
そして今はソロモンさんの書斎で紅茶を飲みながら話をしているところだ。
ソロモンさんは、ここ数日ソロモンの指輪の力を研究していたらしい。
「まず、この指輪には特殊な能力があることが分かったんだよ」
そう言ってソロモンさんは指輪を見せてくれる。
「特殊な能力?悪魔を使役する力以外にですか?」
私が聞き返すとソロモンさんは頷く。
「ああ、どうやらこれは僕の魔力を大幅に増幅させる力があるみたいなんだ」
そう言ってソロモンさんは自分の手を見つめる。
確かに言われてみればいつもより力が溢れてるような感じがする気がする。
「それと他にもわかったことがあるんだけど……」
「?」
「この指輪は、異能を発現させる力もあるみたいだ」
「異能を発現させる力……?」
私は首を傾げる。
そんな能力聞いたこともないからだ。
「君が気付かせてくれたことだよ」
「私が?いつですか?」
「僕と父上がアダム様と戦った時さ。剣を抜こうとした僕を君が止めてくれて、そして君が回復の力を無意識で発揮した。あの時この指輪が確かに反応してたんだ」
ああ!あの時か!! そういえばそんなことあったね。すっかり忘れてた……
あの時はとにかく必死だったからなぁ……
「ということは、その指輪によって私の異能が発現したというわけですね?」
「そうだね。ただ誰でもというわけではないようだ。おそらく、指輪が認めた相手でなければ異能を発現できないんだと思う」
なるほど…。つまり私は選ばれたというわけか……
そう思うとなんだか嬉しくなってくるな。
「それだけじゃない。この指輪は特殊魔法を開発できる」
「特殊魔法の開発…?それってまさか、この世界にまだない魔法を作ることができるということですか!?」
「そういうことになるね」
ソロモンさんは淡々と答えるが、それはとんでもないことだ。
この世界ではまだ発見されてない魔法やスキルが多く存在すると言われているが、それらを使えるようになれば、この世界を変えることすら可能だろう。
ソロモンさんの持つ「ソロモンの指輪」の力はそれほどまでに強大なのだ。
「だが、いくらこの指輪が強力でも、僕のレベルに合わない魔法を開発することはできないみたいだね。でもその方が暴走する心配もないし安心だ」
ソロモンさんは満足そうに言った。
ソロモンさんの言う通りだ。
ソロモンさんのステータスに合っていない魔法を使えば逆にソロモンさんが危険に晒されることになるだろうからね。
ソロモンさんの話が終わったところで、私はふと疑問に思ったことを聞いてみた。
「ソロモンさん、一つ聞いてもいいですか?」
「なんだい?」
「ダビデ達も異能の発現ができるんですよね?」
「おそらくね。僕達聖書の転生者はなぜかみんな何かしらの能力を持ってるから、きっとあるはずだよ」
そっかぁ……ダビデ達にもあるのか〜
「父上達が戻ってきたら調べてみようと思う」
「そうですね!」
***
ソロモンが無事に帰還していた一方、ソロモンの指輪を狙っている魔王ルシファーはあることを企んでいたのだった。
「ソロモンの指輪はソロモン王でないと使えないのか…?ならば、奴を魔族に引き入れればいい。余の傀儡として操ってやろうぞ」
ルシファーはそう言って不敵に笑うのだったーーー
当小説を読んでくださってる皆様ありがとうございます。
「異世界転生したら聖書の登場人物がいる世界だった」の更新頻度を1日置きにしてましたが、現在多忙なため3日に1回になることもあるかもしれません。
これまで通り基本的に20時〜21時台の更新になります。
やや不定期になってしまいますが引き続きお読みいただけると幸いです。