73 天使と会う聖書転生者達
「くそ…!逃げられたか」
大天使サリエルは悔しそうに言った。それに対してラファエルは冷静に言う。
「アスモデウスはまた姿を現すはずだ。それよりソロモン王はここにはいないようだね。誰かが救出したようだ」
ダビデ達は、突然現れた天使達を見て目を見開いていた。
「天使…おお、貴方方は天使様ですか!?」
一斉に跪く聖書転生者。
「済まない、驚かせてしまって。顔を上げてくれ。お初にお目にかかる。アダム、ダビデ王、ヤコブ、イサク。私は大天使ラファエル、こっちは大天使サリエルだ」
「天使様が我々の前に姿を現してくれるとは…!まさか主…ヤハウェ様のお計らいなのですか!?」
ダビデ達は期待に満ちた目でラファエル達を見た。
「済まないが話すことはできないんだ。本来、我々は人間に極力干渉してはならない決まりがある。手短に言おう。ソロモン王が持つソロモンの指輪を、堕天使軍団が狙っている」
「え!?」
ラファエルはかいつまんで事情を説明した。
「ルシファーの狙いはソロモンの指輪だ。ソロモンの指輪は悪魔を支配するだけでなく、未知の力を持つ強力な指輪だ。悪用されれば世界征服すら容易いだろう。だから私達は、それを阻止するためにここに来たんだ」
驚愕するダビデ達。
「そして悪魔を支配する権能も悪用されれば、魔界の混乱も起こす。ルシファーは全ての悪魔を配下にして魔界をも支配し、神への復讐を果たすつもりだろう」
それを聞いて絶句する聖書転生者達。
「そんな…!それでは世界が悪魔の手に堕ちてしまう……!」
「ルシファーはアスモデウスを利用してソロモン王を誘拐させた。だがアスモデウスはソロモン王を探している。指輪を奪ったものの使うことができなかったのだろう。指輪は持ち主を選ぶからね」
それを聞き少し安心する聖書転生者達。
「だがルシファーのことだ。ソロモン王を自分の元に置き、代わりに指輪を使わせようとしているに違いない。奴はソロモン王の身柄を求め、再び現れるだろう」
「そ、そんな…!!」
ラファエルは真剣な顔をして告げた。
「我々はソロモンの指輪を守らなくてはならない。君達には危険が及ぶかもしれないがソロモン王を守って欲しいんだ」
「勿論です!我々にできることなら何でもします!」
ダビデは力強く答えた。
こうして聖書転生者と大天使ラファエルとサリエルによる、ソロモンの指輪保護作戦が始まったのだった。