69 召喚されたソロモン72柱の悪魔
「ソロモンさん…良かった、無事で…!」
私は思わず泣きそうになってしまった。
ダビデ達がソロモンさんを追跡していた頃、私はある方法を思いついて1人離脱していた。
その方法とはーーソロモンさんが教えてくれた悪魔召喚だった。
ダビデ達に知られると反対されそうだから、別行動をして実行することにしたのだ。
私が召喚した悪魔は……ソロモンさんが勧めてくれた、ソロモン72柱のヴアルという悪魔。
ヴアルさんは優しく私の話を聞いてくれて、ソロモンさんを助ける手伝いをしてくれると言ってくれた。
ソロモンさんを拐ったのはアスモデウスという悪魔だということを私達は突き止めた。
そしてヴアルさんの仲間であるバルバトスさん達は、アスモデウスにソロモンさんを拐う協力を強いられていたことを打ち明け、後悔しているということだった。
だけどヴアルさんは彼らを一切責めずにこう言った。
「皆さん、ソロモン王を助けましょう!今ならまだ間に合うです!」
ヴアルさんの言葉で、私たちは急いでソロモンさんを助けに向かったのだったーー
そして今に至るのだけど。
ソロモンさんが無事に救出され、感極まった私は思わずソロモンさんに駆け寄った。
するとソロモンさんはーー
私を抱きしめてくれたのだ。
突然のことに驚いてしまうけど、私達は喜び合って互いに抱擁を交わしたのだった。
「おい、お二人さん。イチャイチャするのは良いが、そろそろここを立ち去る方がいいぞ」
バルバトスさんが呆れ顔で言った。
「あっ、そうでしたね……」
ソロモンさんとの再会が嬉しくて、ついつい忘れてしまっていた。
「ヤマトちゃん…君が悪魔召喚を使ってヴアル達に助けを求めてくれたの?」
「はい。私は助けを求めただけで何もしてないですけど…」
「ありがとう。おかげで助かったよ」
ソロモンさんはニッコリ笑ってくれた。
「えへへ、どういたしまして」
私も嬉しくなって笑顔になる。
「ねえ…肩を貸してもらっていい?歩くのが辛いんだ……」
「あ、はい!どうぞ!」
ソロモンさんは辛そうだったから、肩を貸すことにした。
だけど、肩を抱き寄せてきて、体が密着する形になってしまう……。
(あわわ……!)
ドキドキしてしまう私。
「こ、こんなにくっついたら歩きにくくないですか?」
「君は小柄だし僕と身長差もあるからね。こうしておかないとバランスが取れないんだよ」
「だったら、私じゃなくても…」
「ごめん……でも少しだけこうさせてほしいな……ダメかな……?」
ソロモンさんはねだるような目で見つめてくる。
(うう……そんな目で見られたら断れないよぉ……)
結局、そのまま歩いて行くことになったのだった……。