68 報いを受けるソロモン
ソロモンはアスモデウスにより封じ込められ、暗闇の中にいた。
どれだけの時間が経過したのかわからない。
1日なのか1時間なのかもわからない。あるいはもっと長いのか短いのかすらわからない。
時間の感覚も曖昧になるほどの闇の中にいたのである。
(あれからどれくらい経ったのかな?)
ソロモンは自分の置かれている状況を分析しようとしていた。
ここがどこかはわからないが、おそらく異空間にいるのだろうという予想がついた。そうでなければおかしいからだ。
(これが報いというやつか…)
かつて配下だったソロモン72柱の悪魔達を警戒して身勝手に封印した自分に対する罰なのだろうと彼は思ったのである。
(やれやれ……まさか自分がこんな目に遭うなんてね……)
彼は自嘲気味に笑う。
そんな時だったーーー
(・・・ソロモンさん、ソロモンさん!)
そんな時、声が聞こえたような気がした。
(何だ?幻聴か?)
声など聞こえてくるはずがない。
(・・・ソロモン王!)
今度ははっきりと聞こえた気がした。その声は聞き覚えがある声だった。
するとーーー
遠くに光が見えたような気がしてきた。それは徐々に大きくなっていく。
光が強くなるにつれて声もはっきり聞こえるようになってきたのだ。
そして男の腕がソロモンを引っ張り上げてくれたのだった……。
「え・・・君は…ヴアル!?」
目の前にいたのはソロモン72柱の悪魔であるヴアルだった。
「ソロモン王!ご無事で何よりです!」
ヴアルのそばにはヤマトもいた。
そしてソロモン72柱の悪魔達であるマルファスとムルムル、バルバトスもいる。
「君たち…助けてくれたのか…?僕は君達を……」
生前に彼らを身勝手に封印して捨てたというのに、なぜ助けたのか理解できなかった。
「彼女が私に助けを求めてくれたです。悪魔として当然のことであります」
ヴアルはヤマトの方を見ながら笑ってそう言った。
「お前は俺たちの『元』主人だからな……」
バルバトスはぶっきらぼうにそう言う。
「ありがとう……!」
ソロモンは感謝を込めて頭を下げた。そして言った。
「僕を助けてくれないか?」
「もちろんです」
「言われるまでもないぜ」
「当然ですね」
3柱は即答してくれたのだった。