64 ソロモンの危機
ある日、ソロモンの元にソロモン72柱のマルファス、ムルムル、バルバトスがやって来た。
「あれ?ヴアルは来てないの?」
「……あいつは忙しいみたいで」
と、答えるのはバルバトス。
「どうしたんだ?君達の方から訪れるなんて珍しいじゃないか」
不思議に思ってソロモンは言った。
「いえ。貴方の耳に入れておいた方が良い情報が入りましたので」
ムルムルは真剣な表情だ。
「何だ?」
「アスモデウスのことです。奴がソロモン王の命を狙おうと画策しているのでご注意してください」
それを聞いてソロモンは目を丸くした。
「……いつ頃になる?」
「まだ確実な時期は分かりかねますが、数日内には必ず動く筈です」
ムルムルは深刻そうな顔で告げた。
「そうか。ありがとう。教えてくれてーーー」
ソロモンが言い終わらない内に、彼は気を失ってしまった。
そこにはアスモデウスの姿があった。
「よくやったぞお前達。ソロモン王の注意を引いたことで一瞬の隙が出来た。お前達を信用していたからだろう」
指輪を使われてしまえば一貫の終わりである。
いかにソロモンを油断させ一瞬でも注意を引くかが鍵だったのだ。
「ソロモン王はこの所、何か研究に没頭していたようで、睡眠もロクに取っていないようでしたから」
ムルムルが言った。
「隙がない男のはずが、腑抜けたものだ。女にうつつでも抜かしているのではないか」
アスモデウスはソロモンを抱えながら言う。
そして彼は去っていったのだった。
その場に残されたバルバトス達は暗い顔をしてその場を後にすることしかできなかったーー。
***
場面はヤマト側に移る。
今日は聖書転生者のアダム、イサク、ヤコブ達。
そしてダビデ、ソロモンさん。
1人浮いてるけど現代人の私。
同時期に異世界転生した人達で集まることになっていた。
「ああ、主に直接会ったことがある始祖さまと会えるとは楽しみだ」
珍しくダビデは浮かれている様子だった。
会合場所に着くとアダム達はすでに来ていた。
あとはソロモンさんだけなんだけど……
「ソロモンの奴ずいぶん遅いな。仕方ない奴だ。元王ともあろう者が」
ダビデは呆れたように言うけど、確かに遅い。
ソロモンさんって時間にルーズじゃないと思うけどなあ。
私は携帯端末でソロモンさんに連絡を入れたけど返事はない。
(何だろう…何か嫌な予感がする…)
もしかしてソロモンさんに何かあったんじゃないだろうか?
そんな予感に駆られてしまう私だった・・・