63 悪魔を召喚?
ソロモンさんから突然、悪魔を召喚する方法を教えてもらうことになった私。
悪魔って召喚できるの!?
そういえば魔法陣で悪魔を召喚するってアニメとかで見たことあるような気がする……。
「悪魔を召喚…?もしかして、ソロモンの指輪で悪魔をまた支配したんですか…?」
恐る恐る尋ねる私。
「いや。父上と約束したし、それに悪魔を支配するより他の可能性を研究したくてね」
ソロモンさんは首を横に振った。
良かったあ…。
いくらソロモンの指輪が強力でも、やっぱり悪魔を支配するなんて危険だもん。
そりゃダビデだって止める筈だよね。
「君にだけ特別に教えてあげるよ。悪魔の中にはね、人間を助ける良い悪魔もいるんだ」
「えっ?そうなんですか?」
私は驚いて聞き返した。
「彼らは礼儀と作法さえ守れば人間を助けたり願いを叶えてくれるんだ」
ソロモンさんは詳しく教えてくれた。
結界の役目がある魔法陣の書き方、悪魔への礼儀作法やどんな風に呼び出せばいいか。
「だけど呼び出す悪魔は慎重になった方がいい。もし君にこの先何かあって悪魔の助けを借りたいなら…まず最初はヴアルという悪魔を呼び出してごらん」
ヴアルという悪魔は、ソロモンさんのお気に入りの悪魔で、優しい性格をしてるんだとか。
優しい悪魔なら安心だね!
「ところでヤマトちゃん。父上とは部屋は別々なんだよね?」
ソロモンさんはふと思い出したかのように言った。
「……そうですよ?」
急に何だろう?と思いながら私は答えた。
「君達、宿屋暮らししてたんだよね?一緒の部屋で寝泊まりしてたの?」
「はい。お金もかかりますし……ってなんでそんなこと聞くんです!?」
思わず赤面してしまう私。
「君って無防備だから心配だなあと思ってさ〜」
とソロモンさん。
「ダビデは私を女扱いしてないので。一緒に寝たことはあったけど何もされなかったし……」
と言うとソロモンさんは急に血相を変えた。
「は?何それ?一緒に寝たことあるの?添い寝ってことだよね?ダメじゃないか!」
と怒鳴られてしまった。
え?何で怒ってるんだろう?
「父上だって男なんだから女の子と寝て何もないわけないでしょ!君も君だよ!警戒心を持ちなよ!!」
ソロモンさんはなぜか不機嫌になってしまった。
「あ、あの…ごめんなさい……でも本当に何もなかったんです」
「ところでさ、君って料理できるの?」
急に話題を変えるソロモンさん。
「はい。料理は得意なんです」
元の世界では料理は趣味だったし、実はかなり得意。一通り作ることはできるのだ!
「じゃあさ、今度作ってくれないかな?」
「はい、そのくらいなら喜んで」
「ほんと?やった、楽しみ!」
何故かソロモンさんが喜んでいる。
なんでなんだろう?
でも機嫌が直って良かった…。
私達はこの時知らなかった。
こんな風に穏やかな時間を過ごしていた裏で、ソロモンさんに魔の手が忍び寄っていたことにーーー