62 ヤマトの異能
私とダビデはサンクチュアリ王国で屋敷を見つけ、私の保護者代わりであるダビデと共に住ませてもらっていた。
宿屋暮らしから家での暮らしとなって、少しずつ慣れてきたかな。
今日はソロモンさんの元で助手をしながら魔法を学ぶ日だった。
(ソロモンさんって、魔法の指導も国から請け負ってるんだ…すごい才能なんだな……)
後で知ったんだけどソロモンさんは魔術師の育成や魔法の研究、体系化などを専門に扱う宮廷魔導士団の一員らしい。
天才魔術師とも呼ばれてるみたい。
(そんな人から魔法を学べるなんて…)
何で私なんだろうとは思うけど、有り難いよね!
「君は治癒魔法の適性を持ってるから、それを伸ばしていく方がいいだろう」
この世界は様々な魔法が存在している。
だけど魔法を使うには適性も必要で、私は治癒魔法の適性があるみたいだからまず回復魔法を習得した。
だけど初心者だから魔力もまだ少なくて使える回数に限りがあるけど…。
「それと…前に僕と父上がアダムと戦った時、君が無意識で使った回復魔法。おそらくあれは異能だね」
「え…?異能!?わ、私が!?」
異能とは特殊魔法とも呼ばれ、誰でも持っているわけではなくて一部の限られた人にしか使えない特殊な魔法だ。
戦闘で役に立たないし陰キャラでポンコツな私に異能…?
全然想像できない! でもソロモンさんが言うんだから本当なのだろう。
それにしてもあの時無意識のうちに使っていたなんてびっくりだよ!
「だが、君はまだ上手く使いこなせないようだね。今はレベルが低く無意識でしか使えないけど、これからレベルを上げていけば、君は優れた治療家になれるし医者になることも夢じゃないかもしれないよ」
「……ッ!!本当ですか?」
それはとても嬉しいことだった。
この世界では、病気や怪我の治療も全て魔法で行われる。
治癒魔法の上級者は、医者の役割も担っているのだ。
中には致命傷を回復させたり、肉体の欠損すら修復できる程の高位の治癒魔法使いも存在するみたい。
私がいた現代でもそんなこと不可能だからすごいよね…。
(レベルを上げていけばダビデの役に立てる!彼も私を必要としてくれるかも…)
保護者としてじゃなくて私のこと、1人の女の子として見て欲しいなって思ってしまう。
そんな欲深い自分に気付いたら恥ずかしくなってしまった……!
「ねえヤマトちゃん。君に悪魔を召喚する方法を教えてあげるね」
ソロモンさんとの魔法の授業が終わると、彼はそう言って微笑んだ。
へ?悪魔?
ええ!悪魔を召喚できるの!?