61 堕天使ルシファーと悪魔アスモデウスの企み
ソロモン72柱の一柱である悪魔アスモデウスは、堕天使たちの長である魔王ルシファーと密会していた。
「ところで、どのようにしてソロモン王を捕らえるつもりだ?」
ルシファーはアスモデウスにそう尋ねた。
「ソロモン72柱の中に、奴と通じている連中がいることが発覚しました。その者達に協力させようと思っています」
アスモデウスの言葉を聞いて、ルシファーは眉を顰める。
「ソロモン王と秘密裏に通じていた者がいたのか?ソロモン72柱の悪魔はソロモン王に封印されたというのに、よくそのようなことができたものだ……」
感心したような口調だが、目は笑っていない。
(相変わらず不気味な男だ……)
アスモデウスはそう思いながらも答える。
「悪魔だというのに人間を助け、悪魔同士で馴れ合う甘い連中なのです。大方ソロモン王に出し抜かれたのでしょう」
「なるほどな。その者達がソロモン王と通じていることを利用するのだな?」
「はい。奴らであればソロモン王も油断することでしょう」
ルシファーとアスモデウスは互いにほくそ笑んだ。
一方、彼らが噂していたソロモン72柱の悪魔達だがーー
アスモデウスに言いくるめられ、ソロモンを葬ることへの協力を強いられたマルファス、ムルムル、バルバトス。
そしてそんなことを何も知らないヴアル。
4柱は集まって話し合いをしていた。
「皆さん。私は気付いたことがあるのです」
嬉しそうに発言するヴアルに3柱は注目する。
「ソロモン王のことです」
内心、後ろめたく感じる3柱だがヴアルはそれに気付かず続けた。
「ソロモン王は最近、恋をしていると思うのです!」
「………」
3柱は白けた顔をする。
「お前なあ…男が恋とか言うなよ」
マルファスは呆れ顔だ。
バルバトスは嬉しそうに笑っているヴアルを見て複雑な心境だった。
(俺は仲間達を守りたいし、こいつのことも守りたい。だが…ソロモン王が葬られたらこいつはどう思うだろう?悲しむのだろうか……?)
ヴアルの屈託ない笑顔を見ると罪悪感に苛まれてしまうバルバトス達だった。
3柱の様子がどこかおかしいことをヴアルは感じ取っていた。