59 手を出したら許さない
聖書の転生者である、人類の始祖アダムと再会し、他にも来ているであろう聖書の転生者を探すことになった私達。
今度、転生者達で集まり話し合いをしようということで、一旦アダムと別れた。
「始祖さま…主と直接お会いした方と会えるとは!」
ダビデは感極まった様子で興奮気味に言った。
ダビデが言うには神ヤハウェの声を聞くことはできても姿を見ることはできないんだとか。
神と直接交流したことがあるアダムに、すっかり心酔しているようだ。
「浮かれているところ悪いが父上。先程の話の続きだけど」
水を差すソロモンさん。
あ、そういえばアダムが来るまで、この2人険悪なムードになってたんだった…
ソロモンさんは私をちらっと見てこう言った。
「ヤマトちゃんは父上と一緒がいいようだね。彼女の意思を無視するわけにはいかない。だが!彼女は癒しの能力に長けているようだ。僕の元で学ぶ方が魔法の成長も早いと思う。そこで提案だが」
ソロモンさんはダビデの方を向き、不敵な笑みを浮かべた。
「ヤマトちゃんを定期的にお借りしたい。彼女にとって有意義な学びにも繋がるはずだからね」
ソロモンさんの提案を聞き、ダビデは少し考えて言った。
「ヤマトがそれで良いというなら構わない。だがヤマトに手を出すのは許さんぞ」
「貴方の方こそ、ヤマトちゃんに手を出したら許さないよ」
ええっ!? 2人とも目がマジなんですけど!?
「何言ってるんですか!お二人とも紳士なんですからそんなことしませんよね!?」
必死でフォローする私。
それが伝わったのか、2人はその後は普通通りだった。
ふう〜良かった……。
その後、私達は何とか良い感じの屋敷を見つけ、借りることに成功した。
***
ソロモンはダビデとヤマトと別れた後、思案していた。
(ヤマトちゃんはやっぱり父上が良いのか…まあ父上のあの様子なら大丈夫だろう)
面白くなさそうな顔でそう思っていたが、別のことに思考を変える。
(我々の始祖であるアダム…。もしかしたら僕にも劣らぬ頭脳を持つ可能性があるのだろうか?そんな人間と出会うとは…)
思わず戦慄するソロモン。
そしてグローブの上から指にはめた指輪をそっと触る。
(ソロモンの指輪…アダムと戦った時、ヤマトちゃんが無意識に癒しの力を発していた時、この指輪が光ったような気がした)
確かに指輪が反応したのだ。
(ここは魔法が存在する、元の世界とは異なる『異世界』
この指輪の効力を研究する価値はありそうだな)
ソロモンは胸を躍らせながら研究に没頭し始めた。
そしてーー
ソロモンの指輪を巡る様々な思惑が交差し、陰謀が渦巻くことになることをまだ誰も知らなかった。
時々聖書の豆知識的なことを書いてますが、たまには作者の妄想ネタを。
「異世界転生したら聖書の登場人物がいる世界だった」のキャラ達の理想CVを考えてみました。
ダビデ(理想CV:神谷浩史さん)
ソロモン(理想CV:福山潤さん)
ヤマト:(理想CV:早見沙織さん)
こんな感じですかね。ダビデが神谷浩史さんの声は作者的には合ってるんじゃないかと思います!
ソロモンの声が福山潤さんだと一気にエロくなりますねw