58 アダムとの再会
「父上。貴方に相談したいことがある」
「何だ?ソロモン」
ソロモンさんは真面目な顔だった。
「貴方の従者…ヤマトちゃんをいただきたい」
え?今何て……? ソロモンさんの言葉に唖然とする私。
(ええええええ!?)
「それはどういう意味だ?」
ソロモンさんの言葉を聞いたダビデも怪訝な顔をしている。
「彼女を僕の元で引き取りたい。僕の助手にしたいので、父上の許可をいただきたい」
ソロモンさんの言葉にさらに混乱する私。
「断る」
ダビデはきっぱり断った。
思わずキュンとしてしまう私。あれ?なんで?
「この子は行きずりで仲間になったが私はこの子の保護者だ。両親の元に返すまで面倒は見るつもりだぞ」
(ダビデ……!)
「なるほど。だけど貴方では信用できないけどね」
「何だと?」
「父上のことは尊敬しています。だが女性関係に関しては如何なものかな?僕は貴方が人妻に手を出した挙句、寝取った女の息子だしね」
ソロモンさんは挑発的な目でダビデを見ている。
「貴様……」
険悪な雰囲気になる2人。
うわーせっかく仲間になって雰囲気良くなってたのに、また反発するのこの親子!?
オロオロしてしまう私だけど、思わぬ救世主が現れた。
「そなた達…私と戦った者達ではないか」
ん?
ええ!?この美しい男性は…人類の始祖アダム!?
「!!貴方は…始祖さま!!」
ダビデは慌てて跪く。
「いや、顔を上げてくれ。そなた達、その節は済まなかった。だが私の目を覚ましてくれたことは感謝している」
「…?」
あの時とずいぶん様子が違うようだけど。
私達は一旦、アダムと話すことにした。
***
「え…?教祖をしていたのは貴方の意思ではなかったのですか!?」
アダムから事情を聞いた私達だけど、アダムが言うには教祖をしていた時は正気ではなかったのだそうだ。
それで、人格が変わってしまったのだという。
「ああ。おそらく誰かに操られていたようだ。私が推測するに…私をこの世界へ転生させた首謀者ではと思っているのだが……」
黒幕がいるってこと!?
「イサク殿とヤコブ殿といい、なぜ同胞である我々が同時期にこの異世界に転生しているのか…。確かにおかしな話ですね」
ダビデは思案顔だ。
「アダム殿。我々は後世に作られた記録書である『聖書』に登場します。僕の推測だが、他にも聖書の登場人物がこの世界に来ている可能性が非常に高い。我々と同じ転生者を探すべきかもしれないですね」
ソロモンさんが提案する。
「我々をこの世界に呼んだのは主…ヤハウェさまなのでしょうか…?」
ダビデはアダムに尋ねる。
「それはわからない。主が関わっていることは第一に考えるだろうが、他の可能性も考慮した方がいいだろう」
「そうですね…。とにかく他の転生者を探しましょう。何かを知っている者もいるかもしれませんから」
こうして、私達は聖書の転生者の捜索を始めることになったのだったーー!
ダビデは人妻であるバテ・シェバが水浴びしてるのを見かけて強烈に惹かれて、関係を持ってしまい姦淫(不倫)の罪を犯してます。
一度きりにするつもりが妊娠してしまったので、姦淫がバレることを恐れたダビデは相手の夫の子供ということにしようと画策しますが失敗し、仕方ないのでその夫を戦死させるよう仕向け、残った人妻を妻にしました。
正義感が強いダビデの、人生最大の汚点であり罪です。もちろん神に咎められ罰を受けてます。
ソロモンは後にこの不倫夫婦から産まれます(この時出来た子供ではないです)