55 添い寝する2人
(何人も奥さんがいて、その人達にプロポーズしたり子供作ったり…当然エッチもしてたんだよね……)
そう思うとなんだか胸が苦しくなるような感じがした。
思わず想像してしまう。
ダビデが女性を抱いてる姿を……。
(う…こんなこと考えるなんて最低だ!でも他の女の人に優しくしたり愛したりしてたんだって思うと……)
なぜか心が重くなる。それにモヤモヤするし急に孤独感に苛まれた。
彼が遠い存在に感じられる。
(私は……この世界に家族も友達も誰もいない。1人ぼっちなんだ。ダビデはたまたま仲間になっただけで所詮は他人。あの人が結婚したら私はもうそばにいられない……)
そう考えると涙がこぼれてきた。
ダビデは同情で仲間になってくれただけ。
本当は綺麗で大人の女性の方がいいに決まってる。
私なんて必要とされてない。
私は、彼のそばにいたいのに……。
(お父さん…お母さん…お姉ちゃん…会いたいよ)
私は孤独感と自己否定でいっぱいになっていたーー
***
その夜、宿屋のベッドで就寝しようと横になる私だったが眠れなかった。
(うう…)
灯りが消えて暗くなると、また涙が出てきそうになる。
「どうした?泣いてるのか?」
暗闇の中、ダビデの声がする。向かいの壁側にあるベッドからだ。
「ごめんなさい…ちょっと家族のこと思い出して」
私は咄嗟に嘘をついて誤魔化した。
少しの間沈黙が流れる。
「こっちにおいで」
「え?」
「いいから来い!」
戸惑いはあったけど何も考えられず、言われるままに彼に近づく私。
すると彼は私の手を引っ張り、自分のベッドへと引き入れたのだったーー
(!!??)
そのままダビデは私の体をギュッと抱きしめたのだ!!
(え!?ええ!!)
「家族が恋しいのなら、私を父と思え」
ダビデはそう言って私の頭を優しく撫でたのだった。
私の心に温かい気持ちが広がっていく。
(この人、本当に私を子供扱いしてるんだな……でも、何かもういいや…今はこのまま甘えていよう)
腕の中に包まれながら、私はそう思った。
「今日はここで寝るといい」
え?男女で一緒のベッドに寝るってまずいんじゃ……
本当に子供にしか思われてないんだな……。
そんなことを考えているうちに眠気がやってきたので目を閉じることにしたのだった。
***
ダビデはヤマトの寝顔を見ながらこう思っていた。
(この子はまだ保護者が必要な子供だ。何とかして元の世界に戻してやらねば……)