52 ラファエルとサリエルの危機
あれだけの攻撃を食らったのにアダムはピンピンしている。
それどころか先程よりもパワーが増しているように見えた。
ソロモンさんにさらに攻撃を加えようとするアダムに、ダビデはすかさず頭突きをお見舞いした!
さすがにこれは効いたらしく、手を離した隙にソロモンさんと一緒にその場から離れることが出来た。
「父上…こうなったらもう剣を抜くしかない……」
「それは出来ない。丸腰な人間な上、主が作られた始祖様に剣を向けるなど許されない」
「だが!こちらの命が危ない。剣を使うと言っても致命傷にならないようにすれば…」
「ダメだ!!例え命を奪わないとしても、始祖様に剣を振るうなど主への冒涜だ!!」
(全く、この人は相変わらず馬鹿みたいに信仰心が強いな……)
そんな言い合いをしている二人の元に、アダムが攻撃を仕掛けてきた!
咄嗟に防御する2人。
(防御魔法を使い過ぎた…このままじゃ僕の魔力も尽きてしまう……)
***
上空で彼らの戦いを見ていた大天使ラファエルは、意を決するようこう呟いた。
「出来れば見守っていたかったが我々が助けに行くしかないようだね」
「ラファ兄…!わかったよ。まず俺が邪眼を使って戦いを止める」
「了解だよ」
こうして、地上へ舞い降りていこうとするラファエルとサリエルだったがーー
「邪魔をするな」
「!?」
2人の前に見知らぬ女が立ち塞がった。
女は妖艶な雰囲気を漂わせており、どこか不気味な印象を受ける。
「あなたは何者ですか?」
ラファエルの問いに答えることなく、女はゆっくりとこちらに近づいてくる。
「邪魔するなら容赦はしないよ」
女はラファエルとサリエルに襲いかかってきた!
(何だこの女!?)
サリエルは邪眼を使って女の動きを封じようとするがーー
「……っ!」
その瞬間、女の体から強烈なオーラが溢れ出し、邪眼を弾いた。
「なっ……!」
予想外の出来事に動揺してしまうサリエル。
その間に間合いを詰めてくる女に恐怖を感じるがラファエルが庇うように前に立つ。
「戦いは避けたいですが、仕方ありませんね」
そう言って杖を構えるラファエルに、女が襲いかかる!
ガキンという音と共に、お互いの武器が激しくぶつかり合う。
目にも止まらぬ速さで攻防を繰り広げる両者。
(ラファ兄はミカエルほどじゃなくてもかなり強い。あのアスモデウスを幽閉したくらいだし当然か……けどあの女は何なんだ?互角に渡り合ってる……)
ラファエルと渡り合っていることからかなりの実力があると分かる。
「ラファ兄!俺も加勢する」
そう叫ぶサリエル。
女はサリエルに視線を向けるとニヤリと笑った気がした。
次の瞬間、サリエルの目の前に突然現れたかと思うと、腹を蹴り飛ばした。
「ぐっ……!」
「サリエル!!」
ラファエルはすぐに傷を癒す。
それを見た女は、今度はラファエルに向かって襲いかかった。
ガキンッ!! 再び激しい攻防が始まる。
ダビデ達とアダムが地上で戦いを繰り広げる一方、上空ではラファエルとサリエルが謎の女と戦っていたのだったーーー