51 最後の手段
ダビデとソロモンが、アダムと戦っているのを上空から見守っている存在がいた。
それは大天使ラファエルとサリエルの2人だ。
「我々は極力、人間に介入してはいけない決まりになっている。だがこのままでは危ないな」
心配そうに見ているラファエルに、サリエルも発言する。
「神が最初に作った男、アダムだもんね。アダムはDNAも今の人類とは違う優れた人間。それにあのソロモン王に並ぶかもしれないほどの頭脳を持っている」
「ダビデ王とソロモン王も強いだろうが剣を使えない以上、不利だろうね。様子を見て判断しよう」
***
(ダビデ…ソロモンさん…)
ダビデとソロモンさんはアダム相手に苦戦していた。
「くっ……!」
ソロモンさんは防御魔法を使って何とかダメージを軽減させているようだが、このままだといずれ破られるだろう。
一方ダビデも必死に攻撃しているが、やはり全て防がれてしまっているようだった.
「くそっ!どうしたら良いんだ!」
「父上…作戦がある」
ソロモンさんはダビデに耳打ちをした。
それを聞いたダビデは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに頷いた。
そして二人は同時に行動を開始した。
まずソロモンさんが再び光線を放つ。しかしさっきのようなスピードはなく弱々しいものだった。
それを何なく防ぐアダム。
「食らえ!」
そこにすかさずダビデが飛びかかる!
不意をつかれたのか、アダムの反応が遅れる!
その間にダビデは拳を振りかぶる! そしてその拳を思いっきり振り抜いた!
「!?」
その攻撃は凄まじく、まるで爆発したかのような衝撃が走った!
凄まじい砂埃が舞い上がる中、ダビデはそのまま距離を取るように後ろに下がった。
(今のは…?)
「作戦成功だね。僕の魔術で父上の攻撃が当たる直前に威力を上げたんだよ」
どうやら魔術で威力を上げているようだ。
アダムは地面に倒れている。
「倒せたようだな」
ソロモンさんもホッとした様子だ。
「よし、今のうちに拘束しよう」
アダムに近づいていくダビデとソロモンさん。
だけどーーー
アダムはダビデの首を掴み、そのまま持ち上げた!
「うっ……!」
苦しそうな声を出すダビデ。
それを見て慌てて助けようとするソロモンさんーー
でもアダムはダビデを持ち上げたまま、ソロモンさんに蹴りをくらわせた!
ソロモンさんは吹き飛ばされ、地面を転がる!
「ソロモンさん……!」