48 キリストについて知ったダビデ
ヤマトとダビデ側に場面は移る。
私達は逃亡した教祖を追跡していた。
「イエス・キリストが教祖!?」
ソロモンさんの言葉に私は思わずそう叫んだ。
キリスト教の、あのイエス・キリストがこの世界に転生してるかもしれないってこと?
「イエス・キリスト?」
ダビデはわからないという顔をする。
そっか。ダビデが生きてた時代よりずっと後の人だもんね。
ソロモンさんはキリストのことを説明し出した。
「何だと…!?そのキリストという者は主の子供なのか!?そして私とお前の子孫にあたる人物だと……!?」
ダビデはかなり驚いている様子だった。
そりゃ驚くよね……ダビデ達の時代にはキリストはいないんだから。
「うん。キリストは救世主として生まれた、奇跡の人と呼ばれる人間。そして後世にキリスト教が誕生し、席巻するようになるんだよ」
「何ということだ…。ヤハウェ様の子供が生まれたなど信じられないが…」
「キリストの母親のマリアは処女懐妊したそうだ。まさに神の御業だね」
それを聞きダビデは更に驚愕した表情を見せる。
「人類の贖罪として生まれた救世主…。だがなぜそんな人物がこの世界で新興宗教など興したんだ……?」
「あくまで可能性の一つだ。未確定な以上、まだ何とも言えない」
私達は会話をしながら教祖の行方を捜索する。
携帯端末の地図を使い、教祖が逃げていそうな先をソロモンさんは分析した。
「おそらく奴はこの道を通るはずだ」
そう言って指差したのは細い路地裏の道だった。
そこは薄暗く、人気もない場所だった。
「よし、急ぐぞ!」
***
ダビデ達が教祖を追っているのを空から見ている者達がいた。
それは大天使ラファエルとサリエルだった。
「我々の任務はソロモンの指輪の監視。そして……あの指輪を狙う者共がいる」
「指輪を狙う者って?」
サリエルはラファエルに尋ねる。
「どうも、堕天使ルシファーが率いる堕天使達のようだ」
それを聞いたサリエルは青ざめた顔をした。
「ルシファーが…!ソロモンの指輪は悪魔を使役できるだけでなく、強力な力を秘めている。奴らの手に渡ったらまずいことになるよ!」
「ああ、阻止しなくてはならない」
ソロモンの指輪を巡る陰謀が動き出そうとしていた。
そしてそこにはソロモン72柱の悪魔アスモデウスも絡んでいたのだった。
キリストの母親であるマリアはダビデの息子であるナタン(おそらくソロモンの兄だと思いますが諸説あります。ソロモンの兄弟なのは確かです)の子孫です。
また、マリアの夫でありキリストの育ての親であるヨセフはソロモンの子孫です。
マタイによる福音書1章に系譜が載ってます。