4 魔物とのバトル
なんと森の中に入り、依頼にあった薬草を探しながら進むうちに道に迷ってしまったのだ。
いやもうこれ完全に遭難してるでしょ!?と思いながら歩いている私たちだったが、突如として目の前に現れた黒い影・・・ではなく黒豹の姿をしたものを見たときには背筋が凍った気がした。
だがダビデ王は怯むことなく武器として借りた剣で斬りかかるが、あっさりと避けられてしまう。
そして反撃とばかりに爪による攻撃を食らってしまいダメージを受ける羽目になった。
それだけに留まらず、鋭い爪はダビデ王の衣服まで切り裂き、彼の肌が露出しているではないか。
これはいわゆる「服ビリビリ」状態じゃないか?
p⚪︎xivで見たことある。
などとくだらないことを考えている私を他所に、ダビデ王は服が破れてしまっても臆することなく、目の前の敵だけに集中していた。
(か、かっけーー…)
まさに戦う男って感じだ。戦場の戦士ってこんな感じなのかな。
ダビデ王は痛みに耐えながらも、敵に狙いを定め、剣を構えた。
周りの空気がビリビリと震えるほどの気迫を感じると同時に、彼が持っている剣からも膨大な魔力が溢れ出してきているのがわかる。
ああ、これがいわゆる神の祝福の力って奴なのか?
やがて剣を天高く掲げると、光が収束していくかのように見えた。
そして次の瞬間には眩いばかりの閃光と共に凄まじい威力の斬撃が放たれ、敵を一瞬で消し去ってしまった。
凄い・・・凄すぎる!!こんな力があればどんな敵でも勝てそうな気がするぞ!
それにしても今の技は何だったのだろう?初めて見たような気がするけど・・・。
まあ細かいことは気にしないでおこうかな。今はそれよりも気になることがあるしね・・・。
「大丈夫かい?」
そう言って私に手を差し伸べてくれるダビデ王。
私は無傷だし、自分の方が服も破れてるし怪我もしてるのに…。
優しさに感動しそうになるが、私は慌てて怪我の手当てをする。
破れた服からは鍛えられ引き締まった肉体が見え隠れしていて、なんだか目のやり場に困ってしまう私だった。
「そうだ!確か光着って破れても元に戻るんだったよね!」
私は思い出して叫んだ。
試してみると、まるで変身のように服が元に戻ったではないか。
「これはすごい…!」
彼も感動しているようだ。
「それにしても…さっきの剣術、どこで覚えたの?」
私は疑問をぶつけた。光まで出せるようになるなんて魔法としか思えない。
「いや、それが私にもわからないんだ。戦いに集中していたら自然と発していた」
なぬ……?無意識だったのか。恐ろしい才能だな。
その時、ダビデ王が心の中で呟いた言葉を私は知る由もなかった。
(主よ…我らイスラエルの神ヤハウェ様…あなたなのですか?私をこの世界に召喚したのは……)
ヤハウェは聖書においての唯一とされる神です。また、聖書の人物たちはヤハウェを信仰していますが、「主」と呼びます。