46 イスラエル人の先祖イサクとヤコブ
「ソロモン。なぜお前がここに来たんだ?」
「ああ。実は僕、王家お抱えの相談役みたいな仕事をしてるんだよ。この教団の情報も知ってて、強い用心棒がいるらしいから念のために来てみたってわけ」
「そうか…礼を言うぞ」
「それより、重要な話がある。あの用心棒の男ヤコブ、それにもう1人若い男がいなかった?」
ソロモンの問いにダビデは答える。
「それが、あのヤコブという男が父上と呼んでいた若い男がいた。もしや、彼らも転生者なのか?」
「そうだろうね。そしてここからが重要だ。そいつはおそらくイサク…我々イスラエル人の先祖に当たる人物だろう」
「なんだと!?ではあいつは我々のご先祖様ということか!?」
驚愕するダビデにソロモンは言う。
「イサクとヤコブ。イスラエル人の先祖となる親子のことは父上も知ってるはず。ヤコブはイスラエル12部族の始祖である12人の父親。別名イスラエルと呼ばれる男だね」
それを聞いてダビデは尋ねる。
「あの者達がイサクとヤコブ…。我々と同じ古代イスラエル人が他にもこの世界に転生していたのか!!」
「そう、生きた時代は違うが。実はね、僕はある伝手で僕たち古代イスラエル人の記録書となる未来の本を読んだんだ。それは『聖書』という本だ。イサクとヤコブ、そして僕と父上も聖書に登場してるんだよ」
ソロモンの話にダビデは驚く。
「聖書……我々の記録は歴史上に残っていたのか」
「ああ。そして僕の推測では、聖書に登場する人物が他にもこの世界に転生してきている可能性があると思うんだよ」
「なるほどな……。あの男達も我々と同士というわけか」
「だが今は敵対関係になったようだ。今は教祖を追う方が先決だろうね」
***
ヤコブに回復魔法をかけた私は急いでダビデ達の元に駆け寄った。
「ヤマト。教祖に逃げられたようだ。これから奴を追う。ソロモンも一緒だ」
「よろしくね、ヤマトちゃん♪」
ソロモンさんも仲間になるんだ。そういえばこの親子のやり取りって再会した日以来?
「あのことは僕たち2人の秘密だからね?」
「!」
私が元の世界では性同一性障害で、本当は心が女ってことだよね?
「秘密?何の話だ?」
「父上には関係ない。僕とヤマトちゃんの秘密の話だから。それより急ごう」
ヤコブが起きると面倒だしね。
こうして私達3人は教団を後にして、教祖を追跡することになったのだった。
「この国の新興宗教の教祖…イサクとヤコブが心酔してる奴。そいつも僕達と同じ聖書の人物の可能性が高いな」
歩きながら話すソロモンさんの言葉に驚くダビデと私。
「もしかしたら…イエス・キリストなのかもしれない」
へ?
えええ!!??
あのキリスト教のイエス・キリストだって!?
イサクは有名な預言者アブラハムの息子です。
イサクは、神がアブラハムの信仰心を確かめるために生贄に捧げられそうになったエピソードが有名です。
ヤコブはイサクの息子です。イサクはヤコブの双子の兄エサウの方を特に愛していたと言われてます。
ヤコブはイスラエル12部族となる12人の息子の父親なので、イサクとヤコブはイスラエル人の先祖となる人物です。
2人とも創世記に登場します。