45 聖書転生者同士のバトル!
そこにさらに追い討ちをかけるように、ヤコブが襲いかかってきた!
とっさに避けたが体勢を崩してしまうダビデ。そこへ追撃が来る!
ダビデはそれをギリギリで避けると、素早く立ち上がって間合いを取った。
「あーあ。だらしないなあ。かつてライオンや巨人を倒した伝説を持つ男だというのに手こずちゃって」
戦いの緊張感を壊すような軽快な口調の男が現れた。
「え!?ソロモンさん!?」
なんと現れたのはソロモンさんだったのだ! ソロモンさんは私を見るとにっこりと微笑んだ。
「やあ、ヤマトちゃん♪」
相変わらず爽やかな笑顔だけど、今はそれどころじゃないんだよね!? なんでここにソロモンさんが??
「それどころじゃないから説明は後回しね♪仕方ないから僕が加勢してあげるよ」
え?ソロモンさんって戦えるの?
「あ、僕が戦えるのかって顔してるね。ここは魔物が氾濫してる世界だからさすがに自衛くらいするよ。実は魔術師の顔も持ってるんだ」
ソロモンさんはそう言うと、ダビデの横に並んだ。
「ソロモン!?なぜお前がここに!」
「説明は後で。それより今はあいつを倒さないとだよ?」
ソロモンさんはそう言うと手に嵌めていたグローブを外す。
そして何か呪文を詠唱し始めた。
すると、ソロモンさんの体が光り輝き始めた。
「これは……?」
驚くダビデにソロモンは答える。
「これが僕の魔術さ。まあ見ててよ」
ソロモンさんは不敵な笑みを浮かべると、再び呪文を唱え始める。
そして両手を前に突き出すと、そこから光線のようなものを発射した! それは一直線に飛んでいき、ヤコブに命中した!
命中した箇所からは煙が上がっている。かなりの威力のようだ。
「おい!相手は人間だ。やり過ぎじゃないのか?」
心配するダビデにソロモンは言う。
「大丈夫だって。ちゃんと手加減してるから。ほら見てみなよ」
見ると、確かにヤコブの体に大きな傷はないようだ。服が少し焦げている程度だった。
「貴様ら…よくも私の体に傷をつけたな……」
怒りに震えるヤコブに対してソロモンが言う。
「済まない。余裕がなくてね。2人がかりは卑怯だが、これも仕事なので許して欲しい」
ソロモンさんとダビデは再び構えると攻撃を再開した!
ソロモンさんは再び呪文を詠唱すると、今度は無数の光の矢を放った! それらは正確に相手の急所を狙っており、とても正確だった。
一方、ダビデも素手で戦っているようだが、拳が光輝いているように見える。
何らかの加護を受けている? それとも彼自身の能力なのだろうか?
いずれにせよ2人ともかなりの戦闘能力を持っているようだ。
そんな彼らの猛攻の前にヤコブは次第に追い詰められていったのだった。
「ぐっ…この私が…。始祖…さま……」
ヤコブは力尽きて倒れた。
こうして戦いは終わったのだった。
「ヤマト、その男を介抱してやってくれ。我々は教祖を捕まえるとしよう」
ダビデの言葉に頷くと、私は倒れている男を介抱することにした。
私は男に覚えたばかりの回復魔法をかけたのだった。
***
「くそ…!もう1人の奴、教祖を逃したのか!」
「あーあ。逃げられちゃったね。仕方ない。追いかけよう。僕もお供するよ」
ソロモンが一時的に仲間に加わったーーー!