44 教団への突撃とバトル勃発!?
ダビデは王に呼び出され、新興宗教を取り締まりに行くように頼まれたのだった。
「実は最近、怪しげな集団が現れてな。教祖を名乗る男に心酔した信者達が集まり、次々と布教活動をしているそうだ。そこでそなたを見込んで頼みたいのだ」
「なるほど……そういうことでしたか」
ダビデは心なしか険しい顔になってた。
(どの世界にもあるのか。偶像崇拝というのは……。偽物の神を祀り上げ、人々の弱さにつけ込み堕落させるなど許さん…!)
ダビデが正義の心に燃えているのを私は知らなかった。
それから数日後ーー 私達は怪しい教団の本拠地に来ていた。
そこは大きな神殿のような建物だった。周囲にはたくさんの信者達が集まっている。
(なんだか異様な雰囲気だね……)
中に入ると、中では大勢の人達が祈りを捧げていた。
(うわ〜なんか不気味だなあ)
そう思いながら進んでいくと、奥から誰か出てきたのが見えた。
その人は若い男でソロモンさんと同じくらいの年齢に見える。
顔は整っていて美形だった。
「何ですかあなた方は?ここは神聖な場所ですよ?早く出て行きなさい!」
男は私達を見て顔をしかめる。どうやら歓迎されていないようだ。
「我々はこの教団について調査を国から依頼された。教祖と会わせてもらおうか?」
「何をふざけたことを言っているのですか?そのようなこと許されるわけがないでしょう?」
男は胡散臭そうにこちらを見てくる。
「できないというなら国の権限をもって強制的に連行するだけだが?」
ダビデは厳しい顔でそう告げる。
何だかいつもより怖い感じがするんだけど気のせいかな?
「どうされましたか?父上」
もう1人若い男が出てくる。
見た目は柔和そうに見えるけどそこそこ筋肉質そう。
そして目の前の男にどこか似てる気がする。
というか父上…?
「ヤコブ。この者達は始祖様を強制的に連行すると言っているんだ」
「何!?」
ヤコブと呼ばれた男は警戒心剥き出しの目でこちらを睨む。
「国の命令だ。力ずくでも連れて行かせてもらう」
「ふざけるな!!そんな横暴を許すわけにはいかない!始祖さまは私が守る!」
ヤコブはダビデに体当たりしてきた! だがそれをひらりと躱すダビデ。
すると間髪入れずに殴りかかって来たので受け止めるダビデ。
そのまま激しい攻防が続く! 2人ともすごい身体能力だ!
拳や蹴りがぶつかり合う音が響き渡る! その戦いはとても激しく、一般人ではとても介入できそうにない。
(相手は魔物じゃなく人間。剣を使えないよね…)
私はハラハラしながら見守っていた。
ついに取っ組み合い状態になり、2人は睨み合っていた。
「この私とここまで渡り合うとは。だが私はかつて、天使と格闘し勝利したことがある男だ。貴様ごときに負けるわけには行かぬ!!」
ヤコブはそう言ってダビデを投げ飛ばした!
地面に叩きつけられる寸前で受け身を取るダビデだったがダメージはかなり大きいようだった。
「くっ……!」
肩で息をして苦しそうだ。
(この男、ここまで強いとは……。だが生身の人間に剣を抜くわけにもいかないしな……)
ヤコブは天使と一晩中格闘し互角に戦ったというエピソードがありますが、天使ではなく神と戦ったという方が一般的には有名かなと思います。ですが天使説もあるようなので、この小説では天使と戦った設定にしてます。