43 ヘラクレスとの再会と王との謁見
「すごい!国営のコンサートだなんて……!」
私は興奮していた。
いくら小規模の国だからって王家の依頼で演奏できるなんて凄すぎるよ!!
「私は私がやるべきことをやるだけさ」
そう言って笑う彼の表情は自信に満ち溢れているように見えた。
そして、演奏会当日ーーー 会場には沢山の人が集まっていた。
そしていよいよ始まった演奏会は大盛況だった。
ダビデはこの日のために練習してきた曲を次々と披露していく。
その音色はとても美しく人々を魅了していった。
私もうっとりと聞き惚れてしまっていた。
ああ……やっぱりこの人の音楽の才能は本当に素晴らしいものなんだなあ……
コンサートは大成功で幕を閉じた。
「おお、ダビデ!お前の竪琴はやはり良いな!!」
「ヘラクレス?」
そこに現れたのはなんと大英雄ヘラクレスさん。
まさかコンサートに来てたの?神様なのに人間に紛れてるとか意外だなあ……
「うふふ、私も一緒に来ちゃった。ヘラクレスが友達の晴れの舞台だって言うから♡」
そう言いながら現れたのはあの絶世の美女、へべさん。
ダビデは顔を赤くして彼女を見たがすぐに目を逸らす。
うん。友達の奥さんだもんね。見惚れてちゃマズイもんね……
「お前の竪琴を聴いてたら眠くなっちまった。いつの間にか寝てたみたいだ。ふぁ~よく寝たぜ……」
うわぁ、本人の前で堂々とそんなこと言っちゃうあたり豪快だなぁ……さすが神。
「そうか。私の竪琴は安眠効果もある。よく眠れたなら良かった」
全く気にしてないダビデ。けっこう良いコンビかも。
しばらく談笑してヘラクレスさんとへべさんは仲睦まじい様子で帰って行った。
「ダビデ殿。お疲れ様でした。王が貴方に閲見したいと仰っています」
「ほう?私に何の用だ」
王に会いに行くと、そこには立派な服を着た若い男性がいた。彼がこの国の王のようだ。
「そなたの演奏、見事であった。聴衆も皆満足していたようだ」
「ありがとうございます」
「そなたの腕を見込んで、我が王家お抱えの演奏家にならんか?」
王はそう申し出てきたのだった。
「お抱えと申されますと……?」
「我が王家のためだけに演奏するのだ。報酬も弾もうぞ」
「……申し訳ありませんがお断りさせていただきます」
ダビデは少し考えた後、断ったのだった。
「なぜ断る?金が欲しいのか?ならば望み通りにやろう」
「そうではありません。私は人々のために私の竪琴を使いたいのです」
「なんだと……?欲のない男だのう」
「私は自分の才能を人々のために使いたいと思います」
ダビデの言葉に、王の顔色が変わった。
「うむ。そなたであれば任せられるであろう。そなたに依頼したい。それは…このところ我が国で問題となっている新興宗教を取り締まってほしい」
「新興宗教……?」
え!これってどういう展開!?