表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生したら聖書の登場人物がいる世界だった  作者: B-pro@神話創作してます
異世界の新興宗教問題
42/212

40 ヤマトのもう1つの秘密

『君は元の世界でも女だったはずだ』


突然ソロモンさんにそう言われて頭が真っ白になった。


「ち、違います。私は確かに男だったし」

「うん。嘘はついてなさそうだね。だが…君にはまだ隠してることがあるだろう?」


ソロモンさんは私の目をまっすぐ見つめこう続ける。


「君は元の世界で男だったがーーー心は女だったんじゃないか?」


私は思わず泣きそうになってくる。


「……っ!……何でそれを……!」


どうしてバレたんだろう……今まで家族以外には誰にもバレなかったのに……まさかソロモンさんにはわかるなんて……!


私は居た堪れず、逃げようとするけど手首を掴まれていて逃げられない。


ソロモンさんは今度は、強引に私を引き寄せて壁ドンするような体勢になった。


顔が近い……恥ずかしくて顔を背けたいのに動けない!


「離して下さい!」


必死に訴えるがソロモンさんは離してくれない。


ああもう!何なんだこの人は! こんな乙女ゲーみたいな展開いらないってば!



「この前君と話した時、中身が男って感じがしなかったからね。だけど君が生前男だったというのも嘘をついてるようでもない。となると、君は生前は体と心の性が違う人間だったという結論に至るわけだ」

「……はい」


挿絵(By みてみん)


もうここまできたら隠しようがないと思い観念して認めた。


ソロモンさんはそっと私の頬に触れ、涙をぬぐってくれた。

そして優しく抱きしめ、頭を撫でてくれたのだった。


「済まない。泣かせてしまったね」

「いえ……」


しばらくして落ち着くとソロモンさんは言った。


「だけど、君にとってチャンスかもしれないよ?」

「え?」

「君は女になりたかったんじゃないの?この世界で女として転生できて、新しい人生を送ることができるんだよ?」


新しい人生?

でも私は元の世界に帰ることを目標にしてて。


あれ?


そうだ。私は…僕は…性同一性障害の自分の身をずっと呪って生きてた。


僕にとって忌まわしい呪いだった。

心は女なのに体は男だから、男として生きていかないといけなくて苦しかった。


ずっと、ずっと自分を否定して生きてた。


だけど、家族を捨てろっていうの?


僕の障害を家族だけは理解してくれた。大切で大好きな家族を簡単に捨てられるわけないよ。



でも、ずっとなりたいと思った女になれて、そりゃ抵抗はまだあるけど、やっと呪いから解き放たれるとも思った。


だけど元の世界に戻りたいのも本心で。



一体どうすればいいのーーー?



***


「ヤマトちゃん。僕は君がここに残ってくれる方が嬉しいな」


しばらく考え込んでいた私にソロモンさんが声をかける。


「………。ソロモンさん。ダビデにはこのこと言わないで…」


私がそう言うと彼は頷く。


「わかったよ。二人だけの秘密だね」



それからソロモンさんと別れ、自分の部屋に戻った後、ベッドに横たわりながら今後のことを考えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ