39 二度目のソロモンとのデート
ダビデが広場で竪琴を弾いた日から。
彼はすっかり人気者になっていた。
この世界は娯楽に飢えていて、突然音楽を披露した謎の青年に対して興味津々のようだ。
そして彼のカリスマ性は私が思うよりすごく、ファンもできてまるで街のアイドルのような存在になっているようだ。
そして、ダビデも以前よりこの世界を受け入れられてきたみたいに見える。
あの夜、彼はこう言っていた。
「突然この世界に来て、将来の指標もなかったが…私はやはり人々のために何かしたいという気持ちは変わらないみたいだ。音楽がこの国の人々の助けになるならいくらでも弾くつもりだ」
そう言ってくれたことが嬉しかったし、とても頼もしく思えた。
(良かった…この人のためなら、頑張ろうって思えるもん)
***
その日、私はソロモンさんと約束通り会っていた。
場所はこの前と同じで、今日もソロモンさんは私が元々いた現代の世界について知りたがったので色々話してあげたりした。
でも心なしか前より現代を理解してるような…?
古代人だしそんなはずないか……気のせいだよね?
「ねえ、ちょっと歩こうよ」
ソロモンさんがそう言ったので私達は
庭園を散歩することにした。
(何か良い匂いしてくる…立ち居振る舞いも上品だしほんとイケメンだなー)
歩きながらそんなことを考えてしまう私。
「日陰がある所に行こうか」
ソロモンさんの提案で建物の中に入ることになった。
少し冷んやりとして涼しい感じがする。
中は少し薄暗く、落ち着いた雰囲気だった。
「ねえ、ヤマトちゃん」
ソロモンさんは私の名を呼びながら近付いてくる。
「な、何ですか……?」
「君の秘密、気づいちゃったかも」
「え…?」
ソロモンさんは急に私の手首を掴む。
「!!」
まるで逃げられなくするように強く握られて痛いくらいだ。
そして妖艶な瞳で私の目を見つめながらこう言った。
「君、女だろ?」
一瞬動揺したけど私は冷静に返す。
「ですから、元の世界では男だったけどこの世界では女の体に転生したと…」
「いや。君は、元の世界でも女だったはずだ」
「……!?」
ソロモンさんの発言に私は呆然とするしかなかったーーー