31 神との出会い
数日後。
ソロモン72柱の悪魔達を支配するのではなく、協力関係を結んだソロモンだったが、さっそく指定した物を運んできてもらった。
彼の前には書物がいくつも置かれている。
現代の世界に存在する書物だ。
ソロモンからすれば「未来の世界に書かれた本」と言えるだろう。
その本の一つには「聖書」も入っていた・・・
***
一方、主人公ヤマト達はーー
(楽器はおろか音楽もない世界だなんて…これじゃ竪琴を入手するなんて無理ゲーじゃない?)
いつものように魔物討伐の仕事に向かいながら、私はそう考えていた。
(はぁ…神様でも現れないかな〜)
「どうした?浮かない顔をしてるな」
そんな私に声をかけてくれたのはダビデだった。
(あ、顔に出ちゃってた。貴方が欲しい竪琴のことで悩んでるなんて言えないし)
私が黙っていると、ダビデは私の頭を撫でてくれた。
まるで子供をあやすように優しい手つきで撫でられると、不思議と心が落ち着いてくるのを感じた。
だがそんな穏やかな時間は長く続かなかった。
突然私達の前に魔聖が現れたからだ。
「下がってろ!!」
ダビデはそう言って私を庇うように前に出た。
ダビデは剣を抜くと、襲いかかってきた狼型の魔聖を切り裂いた。
だが次から次へと現れる魔聖の群れによってダビデ一人では対処できない状況になっていた。
私も戦おうとしたが、ダビデに止められた。
「君は自分の身を守れ!俺は大丈夫だから!」
足手纏いになるよりはマシ。でも1人じゃ無理だと思ったので、誰か助けを呼べないか探そうとするとーー
「ほう。自分の身を挺してでも女を守ろうとするとは感心だな」
何処からか声が聞こえてきたかと思うと、そこには。
身長2m以上はある大男が立っていた。
赤い長髪を1つにまとめ、精悍で端正な顔をしている。
まさに筋肉の塊のような男だった。
もし英雄がいるならこんな感じだろうって人。
明らかに一般人ではない雰囲気を漂わせている男だった。
男は不敵に笑うとこう言った。
「俺が助太刀してやろう」
その言葉にダビデは少し驚いていたようだった。
「感謝する」
そう言うとダビデは再び戦闘態勢に入った。
突然現れたその男は圧倒的な強靭さで次々と敵を薙ぎ倒していく。
そしてあっという間に魔聖の群れを片付けてしまった。
「あ、危ない…!」
その時、別の方向からもう一匹の魔聖が襲ってくるのが見えた。
だがその男は背中の殺気に気づいていたようで、素早く振り返ると、剣を一閃させた。
斬られた魔聖はそのまま倒れ伏す。
(す、すごい!一体何者なんだろう?)
その男の強さは常人の域を軽く超越していた・・・。
神々しさまで感じる。
「貴方は一体…?人間とは思えない強さをお持ちのようだ……」
ダビデはその男に尋ねた。
「ははは!鋭いな。そう、俺は人間じゃない」
そう言って彼は笑う。
「俺の名はヘラクレス。人間だったが今は神になっている」
え・・・
神様!?
ほんとに神様と会っちゃった!!
今回登場したヘラクレスは「異世界ミソロジー」主催者であるギリシャ神話創作をされている海蛇さまが創作されたキャラをお借りした二次創作になります。
ヘラクレスは、プロット通りに話が進めば終盤で重要な役割を担う予定です。