28 ソロモンの提案と、邪眼を使う男
『ソロモンの指輪を使って、また君達を服従させる』
突然悪魔達の前に現れ、そう告げるソロモンだがーー
(嫌だ…!俺達は自由に生きたいだけなのに……!!)
ソロモンの指輪に支配されるのはもう懲り懲りだ。
だがソロモンは予想外の言葉を口にした。
「なんてね♡冗談だよ♪」
「……へ?」
呆気に取られる悪魔達にソロモンは言った。
「実はね。父上に止められたんだよ。それで僕なりに考えて、確かに良くないことかもなって」
「父上…?」
「まさか、ダビデ王も転生してるのか!?」
驚く悪魔達。
(しかしそれだけで止めるのか?)
(こいつ、ファザコンなのか…)
訝しむ彼らにソロモンは言葉を続ける。
「ねえ、僕と組まない?」
***
ソロモンが悪魔達と会っていた一方、主人公ヤマトとダビデ達はーーー
今日も冒険者の仕事を頑張る私達。
依頼の仕事を遂行しようと移動していた時だった。
「うん……?あれは…?」
ダビデが立ち止まると遠くを指差した。
そこには人影があった。
ダビデが警戒したのは、ただの人ではないからだ。
その人は、見たところ男のようだった。
背は中背くらいで、黒いローブを身に纏い、フードで顔を隠している男だった。
そして、大きな翼を背中から生やしていることから人間でないことがわかる。
「誰だ……あいつは…」
ダビデは訝し気に呟く。
人間じゃなさそうだし魔聖?
あんな魔聖いたっけ?
その男は、こちらの視線に気付き慌ててこちらを振り返った。
だけどその瞬間ーー
(!?)
動けない。
身体が動かないのだ。
立ち尽くしていることしかできなかった。
(な、何これ!?金縛り!?)
ダビデも同じように動けないようで、困惑した表情を浮かべていた。
その男の目は微かに光っていて、まるで邪眼のようだと思った。
(どうしたらいいの!?このままじゃこの男に殺されちゃうかも……!)