27 戦慄するソロモン72柱の悪魔達
自分達を身勝手に封印した挙句、捨てたソロモン王。
その所業を非難するソロモン72柱の悪魔達だったが、ソロモンの発言を聞いた瞬間、全員が固まった。
「え………。何のこと…?そんな記憶ないんだけど」
本気で心当たりがないといった表情を見せるソロモンに一同は困惑するしかなかった。
(は……?)
(まさかこいつ、とぼけるつもりか?)
おそらく、忘れたフリをして有耶無耶にしようとしているのだろう。
「実は僕、一度死んでこの世界に転生したみたいでね。全部の記憶があるわけじゃないんだ」
嘘か本当かわからないような言い方だ。
「貴方が我々を身勝手に封印したことは事実です」
ムルムルは容赦なく追及する。
「そうなのか…。僕に覚えはないが、生前の僕がそんなことをしたのなら済まなかった」
素直に頭を下げるソロモン。
「都合が悪いことは忘れたフリか……」
「本当に忘れてるかもしれません!私は信じます!」
不信感を募らせる悪魔達だが、ヴアルだけはそうではなかったようだ。
「……ヴアル、信じてくれるのか。ありがとう、好きだよ」
ソロモンは嬉しそうに笑うと再び抱きつこうとしたのだが……。
「触るな!!」
バルバトスが怒鳴るとソロモンは慌てて離れた。
「貴方の目的は何なのですか?我々の前に姿を現したということは何か企んでいるのでしょう?」
マルファスが問い詰めるとソロモンは少し考えた後に答えた。
「え?決まってるじゃないか。君達を服従させる為だよ」
「!!」
ソロモンの言葉に悪魔達は戦慄を覚えた。
ソロモンが彼らを支配できる唯一の方法、それが『ソロモンの指輪』による強制的な命令である。
1度でも指輪の力を使えば、その効果は永久に続く。
つまり、ソロモンの命令に逆らうことはできないのだ。
(またあれを使われるのか……?嫌だ……!せっかく自由になれたのに!!)
ソロモン72柱の悪魔達は心の中で叫んでいた。