26 ソロモンとソロモン72柱の再会
(何でこいつがいるんだ…?)
(若返っているが間違いなくソロモン王だ……)
突然自分達の前に現れたソロモンに動揺を隠せない悪魔達だが、ソロモンは急に表情を変え、ラクダの仮面をつけて古代エジプトの服装をしている青年の悪魔に視線を向けた。
「……ヴアル。ヴアルじゃないか!久しぶりだね、会いたかったよ♡」
そう言うなり無遠慮に抱き着くソロモン。
「!?」
ソロモン72柱序列47番ヴアルは驚きのあまり声も出せず硬直していた。
それもそのはずだ。死んだはずの王が生きていたばかりか、自分に抱きついてきたのだから。
しかもかなり熱烈な抱擁である。
ヴアルは優しい性格の悪魔なので拒絶するのも気が引けてしまいされるがままになっていた。
そんな2人の様子を他の悪魔達は呆然と見ていたが、1柱の悪魔が低い声で言葉を発した。
「やめろ。嫌がっているだろう」
序列8番バルバトスである。三角の帽子を被り精悍な顔立ちをした青年の姿をしている悪魔だ。
殺気を放ち一触即発な雰囲気に、注意したのは序列38番マルファスだ。
「おやめなさい。ソロモン王に失礼でしょう」
だが…。
ヴアルから離れたソロモンは今度は、鴉の顔を持つマルファスの頬を人差し指でつつき始めたのだ。
それも無表情で。
(こいつ………)
マルファスはブチ切れそうになりながら何とか平静を保っていた。
「あ、ごめんね!?つい懐かしくて!」
ソロモンはそう言って謝っているがふざけてやっていることは明らかだった。
「懐かしいだと…?ふざけるな。俺達にした仕打ちを忘れたとは言わせないぞ」
バルバトスが憎しみを込めて睨みつける。
かつて、ソロモンの指輪の契約によりソロモンの支配下にあったソロモン72柱の悪魔達。
ソロモンはそれだけに留まらず、危険視したのかソロモン72柱の悪魔達を封印し、捨てたのである。
封印が解かれるまでの間、彼らはずっと暗闇の中で放置されていたのだ。
故に彼らにとってソロモン王は憎くて堪らない存在であった。
「え?仕打ちって?」
不思議そうな顔をするソロモンに、今度は序列54番ムルムルが発言した。
王冠を被り、貴族のような高貴な服装を着ていて、気品がある雰囲気を醸し出している悪魔だ。
「貴方は我々を使役した挙句、用が済んだら封印し、ゴミのように捨てましたよね?」
怒りを抑えながら冷静に問いかける彼に、ソロモンは一瞬驚いた顔をする。
次の瞬間、ソロモンが発した言葉に悪魔達は絶句することになるのだった。
今回登場するソロモン72柱の悪魔達は、異世界ミソロジー参加者のお一人である、ソロモン72柱創作やエジプト神話創作等をされている創さまが創作されたキャラをお借りした二次創作になります。
ちなみに作者はヴアル君が推しです。