24 ヤマトの暴走?
翌日、私とダビデはいつものように魔物討伐の仕事をしていた。
今日の相手は狼型の魔物の群れだ。数は多いけど難なく倒していけるだろうと思っていたのだが……。
突然、一匹の狼が飛びかかってきた。それを剣で薙ぎ払うとそいつは地面に叩きつけられて動かなくなった。
これで全部倒しただろうか?周囲を見回すと他の敵は全て倒れていた。
良かった……と安堵した瞬間のことだった。
後ろから殺気を感じて振り返る。そこにはもう1匹の狼型モンスターがいて、今まさに襲いかかってこようとしていたところだった。
まずい……!反応できない!このままじゃ殺られる!そう思って目を瞑ったその時だった。
「危ない!」
目を開けると目の前に飛び込んできたのは血飛沫だった。
そのすぐ後に何かが倒れるような音がして、恐る恐る目を開ける。
そこにいたのは返り血を浴びて真っ赤に染まっているダビデの姿だった。
「大丈夫か?怪我はないか?」
心配そうに顔を覗き込んでくる彼に、こくこくと頷くことしかできない私。
(本当に優しいなあ。いつも守ってくれて頼りになってかっこいいし…)
「汚れちゃったね。近くに川があるみたいだから水浴びしたら?」
私は携帯端末で地図を確認しながらそう言った。ダビデは頷き、二人で川へ向かうことにしたのだった。
しばらく歩くと綺麗な川が流れている場所に出た。
「私はここで見張ってるから」
「ありがとう。すぐ済ませる」
そう言って服を脱ぎ始める彼をぼんやりと眺める私。鍛え抜かれた肉体美に目を奪われてしまう。
(服を着てるとわからないけど大人の男って感じだなぁ……筋肉すごいし……)
まるでミケランジェロのダビデ像のような美しい体つきをしていることに今更気づく私。
(あ、私は今は女なんだから見てちゃダメだ!)
慌てて顔をそらす私。
待ちながら、昨日のソロモンさんとの会話を思い出す。
(女性の体の良さがわかれば、女の体に抵抗もなくなるかもしれないって言ってたよね…)
そのためには男に抱かれなければならないわけで……。
もし、相手がダビデだったら…いやいや何を考えているんだ私は!
(でも…ダビデなら信頼できるし、よく知らない人よりはいいかも)
1回だけなら試してみてもいいかな……?
悶々としているといつの間にか着替え終わった彼が立っていた。
「待たせたな。そろそろ帰ろうか」
2人で並んで帰路につく私たちだった。
だがダビデは何も知らないのだろう。
私が今夜、貴方に抱かれようとしていることなんてーー。