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異世界転生したら聖書の登場人物がいる世界だった  作者: B-pro@神話創作してます
番外編
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番外編2 異世界に迫る危機に奔走する聖書転生者たち①

この話は、設定をお借りしている異世界ミソロジー」さんの「定期的に魔聖が大量発生する」という設定を使わせていただきました。


異世界に戻ってきた私はソロモンさんの屋敷に住むようになり、そして正式に夫婦となった。


それからというもの、私とソロモンさんは毎日幸せな時間を過ごした。


しかし、それも長くは続かなかった。


ある日突然王宮から召集がかかったのだ。なんでも大事な話があるということだったが、一体何があったのだろうか。


「済まない。ヤマトちゃん。1週間か2週間か…君と離れることになると思う」

そう言ったソロモンさんの表情からはいつもの明るさが消えており暗い雰囲気を漂わせているように見えた。


「え?何かあったんですか!?」

「王宮から緊急で、父上達も一緒に召集されたんだが、魔聖が大量発生して、王都に迫っているらしくてね……かなり危険な状況のようだ……」

「それって大丈夫なんですか!?ソロモンさん達だけで対処できる問題なんでしょうか……?」


不安になって聞き返すと、ソロモンさんは真剣な表情で答えた。


「この異世界に移って来た神々も対処してくれるらしい。だが彼らには彼らの領地がありそちらの対応で手一杯だろうからね…。ヘラクレス神がこちらの国の様子も見に来てくれるらしいが僕達で何とかするしかないだろう」

「そうですか……」


聖書転生者達はみんな強いし異能を持っている。彼らが頼りにされるのは当然だろう。


「そんな顔をしないで。僕達はみんな強いし僕にはこの指輪がある。大丈夫だから安心して待っていて欲しい」



ソロモンさんは私を安心させるように優しい声音で語りかけてきた。


「ソロモンさん…私もお供します!一緒に戦わせてください!」


私が訴えるように言うと彼は困ったような表情を浮かべた後で言った。


「それは駄目だよ。君にもしものことがあったらどうするんだい?」

「でも……!」


食い下がろうとする私に言い聞かせるように言葉を続ける。


「君の気持ちは嬉しいよ。だけど君は治癒魔法の異能を持ってる。君はここに残って冒険者や騎士達の回復役を務めて欲しいんだ。こういう緊急事態の時こそ治癒魔法、特に君のような異能者は貴重な存在だからね」


そう言われると何も言えなくなってしまう。実際その通りなのだ。私の能力は役に立つのだからここで使わないわけにはいかない。


(悔しいけど仕方ないよね……)


「少しの間離れてしまうけど必ず戻ってくるから待っていてくれるかい?お願いだ」


ソロモンさんに懇願されて断れるはずもなく、渋々頷いた。


「分かりました……待ってます……」

そう答えるしかなかった。


「ありがとう。愛してるよ」


(うぅ……やっぱり寂しいよ…)


私達が一緒に暮らし始めて、そんなに離れるのは初めてのことになる。

たった1週間か2週間くらいなのに、とても長い時間のように感じてしまうのだった。


***


私は寂しさと不安を押し殺して、ソロモンさん達の出陣の準備を手伝った。


食料や寝具、武器などは保管魔法を使えば劣化しないため、なるべく多く用意して収納魔法で仕舞っておくことにした。

さらに怪我人が出た時に備えて、傷薬などの薬品類も用意しておくことにした。


あとはソロモンさんの指示に従って、ポーション作りなども手伝うことになった。


特に魔力の消費は懸念事項なので念入りに対処しないといけない。

ソロモンさん達転生者は皆異能を持ってるけど、異能は強力な分魔力を膨大に使うため、いざという時に動けなくなる恐れがあるからだ。


そのため、普段は温存するために極力魔法を使わずに戦う必要があるため、ポーションなどで補う必要があった。


幸いなことに私には錬金術の才能があったようで、簡単なポーションくらいなら作れる。



「この世界は、魔聖が大量発生する時期が定期的にあるらしい。今回はその中でもとびきり多いみたいだけどね」


ソロモンさんは出発前に教えてくれた。


「そうなんですか?」

「うん。大体100年に1度くらいの頻度で起きるみたいだよ。だから今回もそれだと思って準備しているみたいだね」

「なるほど」


魔物の大量発生か…

一体どんな感じなんだろう。想像がつかないな。


「今回の戦いはかなり厳しいものになるだろうね」

ソロモンさんは険しい表情でそう言った。


「心配です……」

「大丈夫だよ。僕は必ず帰ってくるから」


ソロモンさんはそう言って微笑んだ後で、私を抱き寄せてキスをした。


「んむ……」


頭がボーッとしてくる。しばらくすると唇が離された。



「はぁ……はぁ……♡」

「それじゃあ行ってくるね」


ソロモンさんは私の頭を優しく撫でてから行ってしまった。


(寂しいなぁ……早く帰ってきて欲しい……)


そんなことを考えていたら自然と涙が流れてしまったので慌てて拭った。


今は泣いている場合じゃないもんね……しっかりしないと……

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