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異世界転生したら聖書の登場人物がいる世界だった  作者: B-pro@神話創作してます
番外編
206/210

番外編1 エピローグのソロモン視点 後編

ヤマトが戻ってきて数日後ーー

聖書転生者の仲間が集まり、ヤマトの帰還を祝って宴が催されることになった。


皆楽しそうに笑い合い、幸せな時間が流れる中、ソロモンはヤマトにだけ聞こえるように囁いた。


「ヤマトちゃん。これからはうちの屋敷で一緒に暮らさないかい?」


突然の申し出に驚く彼女だったが、やがて嬉しそうに微笑んで言った。


「はい。お世話にならせてもらいますね」


2人は照れくさそうに微笑み合うのだったーーー


***



その夜。


ソロモンの屋敷に連れてこられたヤマトはすでに用意されていた部屋に案内され、そこで休んでいた。


広い部屋に豪華な調度品の数々。さすが元王族の屋敷だけあって豪華絢爛だ。


(まさか、またこの世界に戻ってこれるなんて思わなかった……それも前の姿のままで)



ふとそんなことを思った時だった。部屋のドアがノックされた。返事をすると入ってきたのはソロモンだった。彼は笑顔で言った。


「やあヤマトちゃん。ちょっといいかな?」

「あ、はい!どうぞ入ってください」

「ねえ、今から僕の部屋に来ない?」


突然の誘いに戸惑うヤマトだったが、断る理由もなく承諾することにした。


そして彼について行くとそこは寝室だった。寝室専用の部屋のようでベッドが一つ置いてあるだけのシンプルな作りの部屋だった。そこに座るように促されるので素直に腰掛ける。



「あの、ソロモンさん。私が元の世界に戻ってまたこっちに帰ってくるまで、かなりの月日が経ってるんですよね?」


ヤマトは元の世界に戻り、人生を全うした。数十年向こうで過ごしている。

そして亡くなって冥界に行った後に、ソロモンがこの世界に転生させたのだった。


そうであればこちらでもそれだけの月日が経ったはずだと思ったのだ。

しかし返ってきた答えは意外なものだった。


「いや、こっちでは3ヵ月くらいしか経ってないんだよ」


それを聞いて驚きのあまり固まってしまった。


「えっ!?それってどういう……?」


混乱しているヤマトに対してソロモンは答えた。


「つまりね、君がいなくなってからこっちの世界で3ヵ月経った頃に、冥界にいる君の魂を異世界に転生させたということさ」


ソロモンの説明によるとこういうことらしい。


ソロモンの祈りそのものが、ヤマトの魂を「未来の終焉から呼び戻す力」となった。

神はそれを許可し、未来で死を終えた魂を、祈りが届いた時点に接続して転生させた。


そしてーーヤマト自身が、死後、ソロモンの祈りに応じることを選んだそうだ。


そう言われて納得したと同時に安堵した。


(私がいない間、ソロモンさんに誰か恋人ができてたらどうしようかと思った……)


「じゃあソロモンさんはまだ結婚してないんですか?」


気になったことを聞いてみると苦笑いしながら答えてくれた。


「当然だよ。君が元の世界に帰って、ずっと君のこと考えてたんだから!」


その言葉を聞いて嬉しくなったが同時に申し訳なく思った。

自分が元の世界に戻ることを告げた時、彼は泣いて引き留めてくれた。


とても悲しそうな顔だったことを思い出すだけで胸が締め付けられるような思いになるのだ。


元の世界に帰ってからも忘れることができなかった。それほどまでにソロモンのことが好きだったのだ。


だからこそ再び彼に会えたことが嬉しかったし、こうして一緒にいることができることに喜びを感じているのだ。


「君のおかげで主に真剣に悔い改めて和解することができた。本当に感謝してるよ」


ソロモンはそう言ってヤマトの手を取った。ヤマトも握り返すことで応えるとお互いに見つめ合ったまま微笑みあった。



「これからもずっと一緒にいよう。愛してるよ」

「はい……!私も愛してます……!」

「実はさ、今日一緒に寝てほしいんだけどいい?」

「え!?あ、あの」

「男の部屋に来たってことはその覚悟があって来たんだよね?」


そう言われた瞬間、ヤマトの顔は真っ赤になった。


確かにそういうつもりではあったのだがいざとなると恥ずかしくて言葉が出てこないようだった。そんな彼女の様子を見てソロモンは言った。



「大丈夫、優しくするよ」


と言って微笑む彼にヤマトは小さく頷いて答えた。


ソロモンはそっと灯りを消したーーー

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