198 私が選んだ道
私はある時なぜかこの異世界に来ていた。
それも聖書に登場しているダビデ王と一緒にーー
仲間になった私達は他の聖書転生者達と出会い、仲間になる。
そして元凶である私達を異世界に転生させたこの世界の元女神に支配されそうになるが、皆で力を合わせて自由に生きる道を手にすることに成功する。
そしてーー
私は大天使ラファエルさんに告げられて衝撃的な事実を知った。
私はこの異世界に、男だったのになぜか女の子の体になって転生していたのだが、人間ではなく堕天使だったらしい。
そしてーー私は元々は天界にいた新米の天使だったけど人間の男に恋をするという禁忌を犯して堕天してしまったそうだ。
思いを抑えられない私は天使落伍者となり堕天した。
だけどその男に近づいたわけではなかったので情状酌量の余地があると神は判断してくれたらしい。
私は人間として転生し、更生の機会を与えられたそうだ。
それが性同一性障害を抱えて生まれた私ヤマトの人生だ。
そんな私は女神の企みにより、この異世界に転生させられた。
そして、私の転生先の肉体は、人間に転生する前の堕天した私の肉体だったのだ。
だから性別が変わっていたということだ。
人間だと疑わず思っていた私は、元は天使だったのだーーー
それも堕天してしまった堕天使だった。
なぜ女神セナムーンさんはそんなややこしいことをしたんだろう?
今となっては目的がわからないままである。
堕天使の方が面白いと考えたのかもしれない。
そんな私はこの異世界でも恋をすることになった。
そしてその恋の相手はーー
ダビデだった。
だけど彼にとって私は恋愛対象じゃなかった。だから私は彼には伝えず、胸に秘めてその恋心を昇華させた。
恋を越えた愛へと変えたのである。
だけど・・・予測してないことが起きた。
それはソロモンさんのことだ。
何と彼は私に想いを寄せてくれたのだ!一体なぜなのかはわからないけど、
最初は軽い人だと本気にしてなかったけど彼は真剣そのものだったのだ。
大切な人とまで言ってくれた。こんなに想ってくれる人なんてもう出会えないだろうと思うほど嬉しかった。
だけど私は元の世界に戻る道を選ぶことにしたのだったーーー
ソロモンさんのことは本当は惹かれていた。だけど元の世界の人生を全うしたいと思ったからだ。
あえて自分にとって厳しい道を選んだ。
異世界に残ってソロモンさんのそばにいたい気持ちがないわけじゃなかった。それでも帰ることを決めたのだ。
だって自分の人生を投げ出すわけにはいかないのだから。
神は乗り越えられない試練は与えないとダビデ達を見て私は学んだ。
きっと大丈夫なはず。自然とそう思えた。
私は元の世界で叶えたい夢がある。
それはモデルになるという夢。
性同一性障害という障害は私にとってずっと呪いのようなものだった。
だけど、モデルになって性別を越えた存在に自分がなれたら、自分に自信が持てるようになるかもしれないと思ったからーー
きっとそのために神様は私にこの障害を授けたんだろう。
だから元の世界の人生をちゃんと全うしようと決めたのだ。
ソロモンさんのそばにいたかったけれど……離れなければならなかった……それがとても辛かった……
でも私、元の世界で頑張ってみるから。
別れは辛いけど、みんなと過ごしたこと一生忘れないよ。
またいつか会える日まで……