1 古代イスラエル王ダビデ
私は現代で高校生だったヤマト。
ある秘密を持ってはいるけど、陰キャラで目立たないただの高校生だ。
そんな私はある日突然、見知らぬ世界ーー異世界に来てしまった。
それも1人ではなかった。
「ダビデ像」で有名な、聖書に出てくる古代イスラエル王のダビデ王と一緒に異世界転生してしまったようで!?
「あなたは、ダビデ王なのですね!自分は今、王様とお話ししてます!」
驚きと興奮で敬語が上手く使えなかった。でも仕方ないだろう?
「確かにイスラエル王をしていたが。私はもう死んだんだ」
「え?死んだ?」
状況がまるで飲み込めない。
「私には亡くなる前までの記憶がある。一度死んでいるということだ。だが、今の私は若い青年時代の姿をしている。若返って生まれ変わったと言えば良いのだろうか」
「死んだって、その、つまり・・・」
「私はもうこの世には存在していない。だが、何らかの理由によってまたこの姿でここに転生したということだ」
「はあ……!?」
意味が分からない。そんなことがあるのだろうか?
つまりこの人は、一度死んで、生前の若い姿で異世界に転生したということになる。
私は死んでないんだけど…。そう思っていると彼はこう言った。
「君は私と一緒にこの異世界に来てしまったんだね。気の毒に……」
同情されてる!?いや違うな、哀れみの方かこれ!?
ひどい!失礼すぎるよこの人!!あ~なんか怒る気力も失せてきたかも・・・
そんなことより重要なことがある。
「これから一体どうすればいいの?こんなわけのわからない世界になぜか突然来てしまって…」
私は途方に暮れる思いでそう力なく呟いた。
そんな私を安心させてくれるように、ダビデ王は優しい笑みを見せた。
「確かに不安になるよな。だが、どこにいても自分がするべきことを見つけ、それに向かって努力していくことが大切だ」
何カッコいいこと言うんだろうねこの人。でも言っていることには納得できる。その通りだ。
こんなところでうじうじしてても仕方がないし何も変わらないよね。
「あ…あの!貴方が良ければこれから行動を共にさせてくれませんか?自分は戦えないから、1人でいたら死んじゃう可能性が高いし…」
我ながら情けない発言だけど事実だから仕方ない。これでも必死なのだよこっちは。
それに私は、先ほどの戦闘を見て目の前の男に心酔してしまったのだ。
対等な仲間と認めてもらえなくても良い。従者としてこの男についていきたいという熱意に駆られていたのだった。
「もちろんだよ。まだ君と知り合ったばかりだが、君は悪い人間には思えないからね。それに一人より仲間がいた方が生存率は上がるしね。こちらこそよろしくお願いするよ」
なんと快諾してくれたのだった。やはり彼は素晴らしい人格の持ち主のようだ。感謝します王様!!
こうして私達は行動を始めた。とにかくまずはこの世界で生き残るための知識を得ることにした。
読んでくださってる皆さま、誠にありがとうございます。
当小説はリアクションのお気遣い無用です。読んでいただけることが有難いと思ってます。
ですがブクマや評価は励みになります。⭐︎1からでも歓迎です。