18 ソロモンとの再会
数日後。私は街中を歩いていた。
(いつも通り明るいけど、心なしか元気がないような気がする…。ソロモンさんのこと気にしてるのかな?)
ソロモンさんと異世界で再会してから、ダビデは悩んでいるように見えた。
でも明るく振る舞ってるから、それが何だか壁を作られてるみたいで寂しかったり……なんてね。
そんなことを考えていると。
「あれ?君って、父上の従者ちゃん?」
「!?」
背後から突然話しかけられ、振り向くと見覚えのある長身で容姿端麗の若い男がいた。
「ソロモンさん!?」
まさかこんなに早く再会することになるとは……!
「あははっ!覚えててくれたんだ!嬉しいなぁ」
彼はニコニコしながらそう言った。
やっぱり笑顔だとすごく爽やかだなあと思うと同時にちょっと胡散臭さも感じてしまう。
「こ、こんにちは」
「今日は君一人?」
「はい。ちょっと買い物に」
「ふーん。あ、そうだ!君、魔道具の端末持ってる?連絡先交換しない?」
(え……!?)
この人って古代人だよね?ソロモン王って古代イスラエルの王様だし。
なのにスマホみたいなの、理解できるの!?
一体どんな頭脳してるんだ?
「ねえ、君、名前は?」
「えっと……ヤマトと言います……」
「ヤマトかあ。いい名前だね。よろしくねヤマトちゃん!」
満面の笑みで握手を求めてくる彼を見て思う。
ああこの人本当に陽キャラなんだなあと……。
「はあ……」
つい気のない返事をしてしまう私であった。
***
ソロモンさんと再会した私だったが、連絡先を交換することにした。
(ソロモンさんの連絡先がわかればどこにいるかすぐわかるし、ダビデも安心だよね)
そう思ってのことだった。まあ、一応ね。うん。
このスマホに似た魔道具は、スマホそのものではないが類似した機能を実現させていた。
魔力と呼ばれるエネルギーを動力源として稼働し、画面に映る文字入力や操作を行うことができる優れものだ。
地図を見たり現在地を知れたり、冒険に役立つ機能も実装されてる。
(不思議だなぁ。でも、私達の世界にあったんだから、別の世界に似た物があっても不思議じゃないかも……?)
異世界というと、文明レベルが中世くらいの世界を先入観として思い込んでいたがそうでもないらしい。
(この世界が魔法があるファンタジー世界で良かったー!!)
その夜。
宿屋で休んでいると、端末にメッセージが届いた。
(あ、ソロモンさんから…)
そこには、今度お茶でもどうかというお誘いだった。
(えっ!?これってデートの申し込みでは……?)
いやいやいやいや、それはないか……と思いつつも動揺を隠しきれない私だった。