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異世界転生したら聖書の登場人物がいる世界だった  作者: B-pro@神話創作してます
白と黒の反転
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172 ヤマトの将来の夢

「実は私……夢があったんです」


聖書転生者達みんなにずっと隠してきた秘密を打ち明けられたからか、自然と言葉が溢れ出してくるようだった。



「元の世界で……将来はモデルになりたいって夢が…」

「モデル?ああ、確か君の時代の職業の一つだよね?服を魅せるお仕事だっけ??」


よく知ってるね!?さすがソロモンさん。現代の文明も勉強してるらしいしね。



「ええそうです。私は前の世界では男で性同一性障害だから自分のこと嫌いだったけど…身長とスタイルは恵まれてたんです。それに服に興味あって。モデルになれたら好きな服に関われるし、少しは自分に自信持てるかなって……」


そう言いながら空を見上げると青い空が広がっているのが見えた。雲一つない晴天を見ているだけでも清々しい気持ちになるものだ。



「そう。素敵な夢だね・・・」


そう言う彼の顔を見るとどこか悲しげな雰囲気を感じた気がした。どうしてそんな顔をするのか気になって聞いてみたかったのだけれど何故か聞けなかった。


きっと聞いたとしてもはぐらかされてしまうような気がしていたからだ。まるでこれ以上踏み込んでほしくないかのように思わせるような雰囲気が彼にはあったように思う。それが何故なのか考えようとしていたところに彼は先に口を開いてしまった。



「……だけど、僕は応援できないかな。だって君を手放したくなくないから……」

「…………っ!?」


突然のことに驚いたもののすぐに言葉の意味を理解した。理解した途端に胸が高鳴ってしまって頬が熱くなるのを感じた。

今の言葉がどういう意味を持つのかわからないほど鈍感ではないつもりだ。でも、もしもそういう意味だとしたら……。


(けど……私が好きなのは・・・)



そう思った瞬間、頭に浮かんだ姿に心臓が締め付けられるように痛くなるのがわかった。それを振り払うようにして首を横に振ることで忘れようとするけれども胸の痛みはますます増すばかりだった。




「ごめん、困らせたみたいだね。でもさ、ヤマトちゃん最近変わったよね。前より自分のこと話して聞かせてくれるようになったっていうか……明るくなった気がするんだよ」

「え、そうでしょうか…?」

「君のこともっと知りたいと思ってるから、話してくれて嬉しかったりするんだけどね」


そんなことを言って微笑む顔を見ていたら気持ちが楽になってきた気がしてホッと息をつくことができた。自分でも自覚していなかった変化に気づいてくれていたことがすごく嬉しかったんだと思う。



(確かに異世界に来て少し変わったかも。ダビデとか、違う時代や価値観の人達と交流したからなのかな。それに・・・)


私は目の前の彼を見つめる。するとその視線に気づいたのだろうか、こちらを見て微笑んでくれる姿が目に入った。


(ソロモンさんのおかげなんだろうな……)


思えばいつもこの人は私のことを気にかけて、そしてどんな時も肯定してくれる存在だった。そんな彼の存在は私にとってとても大きなものになっていたのかもしれない。


(何だろう?この気持ち……よくわかんない……)



この時の私達は知らなかった。

間もなく事態が大きく変化するということをーーー そのきっかけとなる出来事が起こるまでは……



場面はアダム達側に移る。


アダムは、同じ派閥であるイサクとヤコブを前にし、2人に通告をしているところだった。



「どうしましたか?始祖さま」


「ああ、そなたたちに伝えておくことがあってな。我々3人だけが知っている『例の情報』だが……他の者達にもそろそろ公開しても良いかと思っている」


その言葉に二人とも驚いている様子だった。無理もないだろう。今まで隠してきたのだから急に情報が公開されるとなれば驚くのも無理はない。



「それは……ダビデ達対抗派の面々にもですか?」


ヤコブはそう聞き返すがアダムはそれに対し頷きつつこう言った。



「うむ。彼らとは派閥はありながらも交流することとなった。それに…彼らも真実と現実を知り、誤解を解くべきだろうからな。もっとも全てを知る必要はないかもしれないが」


その言葉を聞くと二人は顔を見合わせて頷くと口を開く。


「わかりました。彼らにとっては酷な話かもしれませんが……」

「父上。彼らは自分達が正義で女神セナムーンが悪だと思い込んでいますが、それは間違いです。自分達の信念が崩れるのは確かに耐えがたいでしょうが、真実を知ったら必ず納得してもらえるはずです」



対抗派の面々を慮るイサクに対しヤコブは強い口調で伝える。


「始祖さまは本当は彼らのことをずっと思いやっておられました。だからこそ我らだけに共有させ様子を見ていたのです。それにもかかわらず今の彼らの態度は許せません。彼らは聞く耳を持たなかったのですから仕方ないではありませんか。それならばいっそ全てを知らせるべきですよ」


二人の言葉を聞いて満足したのだろう。満足げに笑うとアダムは言った。


「ありがとう。ヤコブ、イサク。ならば行動を開始するとしようではないか」


2人は頷く。こうして三人による会議が終わり、彼らは行動を開始することになる。果たしてこれからどのような展開になるだろうか・・・

当小説はリアクションのお気遣い無用です。読んでいただけることが有難いと思ってます。


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