167 聖書転生者達の恋バナ?
こうして交流が自由となった聖書転生者達だが、アベルの歓迎会が終わった後、ソロモンはカインとユダを自分の屋敷に招いて3人で談笑していた。
彼らの話題はヤマトとダビデの件だった。
「ユダ殿とカイン殿は、ヤマトちゃんの気持ちに気付いていたのかい?」
「まあ…あの子を見ていればわかるよね……」
苦笑気味に答えるユダに対してカインも頷く。
「鈍感な俺でも察しはついたもんなー。けどダビデって、嬢ちゃんの気持ちに気付いてなさそうだな」
「ああ…。父上は、女心に疎くて女性の気持ちがわからない人だから。亭主関白タイプっていうのか?そういう人だからなぁ〜父上は」
ソロモンは苦笑しながらそう返答すると2人も苦笑するのだった。
「貴方方はもう気付いているだろうが僕はヤマトちゃんのことが好きだ」
ハッキリとした口調で告げたソロモンに対し2人はーーー
「やっぱりそうだったか。俺は、ダビデよりお前の方が嬢ちゃんに似合うと思うぜ〜」
「そうだね」
2人ともそう言って賛同してくれたことに心の中で安堵しながら更に話を続ける事にした。ここでしっかり宣言しておかねばならないと思ったからである。
そんな風に男同士の会話をして仲を深めていた彼らだがーー
ダビデからの連絡により中断されることになったのである。
「えっ………!?」
携帯端末で通話していたソロモンは顔色を変えて狼狽えてしまったことから異変を察したらしく、すぐに事情を聞き出そうとする。
「どうしたんだ?」
2人の会話の内容はわからないが何となく察したらしいカインは尋ねてみた。
「ヤマトちゃんがいなくなったらしい。早く探さないと……!」
緊迫した様子で叫ぶように言うソロモンにカインとユダも真剣な表情になり同意する。
「俺も探すぜ」
「僕もだ」
こうして手分けしてヤマトを捜索することにした3人はそれぞれの場所に向かうのだった。
そしてヤマトはと言うとーーー
アスタロトさんと偶然出会い、成り行きでソロモン72柱の領地へ行くことになった私。
そこにはバルバトスさんやヴアルさん、ムルムルさん、マルファスさんも来ていたようで、ちょっと安心する。
そして今は悪魔達と一緒にいる最中なのだけど・・・。
「久しぶりかと思ったらお前、家出したのかよ。まあ深くは聞かないけどな」
「人間の世界でいう『プチ家出』でしょうか?たまには良いかもしれません!」
呆れたように言うバルバトスさんと相変わらず優しいヴアルさんに少しホッとする私。彼らなりに気遣ってくれているのがわかるから余計に嬉しい。
(ダビデ………今どうしてるんだろう)
私のこと、心配……なんてしてないよね。
でも少しだけ心配させてやりたい意地悪な気持ちも心の中にあったりする私なのだった。
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