165 悪魔アスタロト
途方に暮れていた私に声をかけてくれた女性。何とソロモン72柱の悪魔であるアスタロトさんだった。
ヴアルさんやバルバトスさん達とは話したことあるけどこの女性は、ルシファー達堕天使軍と聖書転生者達が戦った時に見かけただけなんだよね〜というかなんでここに!?っていうかどこから現れたんだろ??
いやそんなことよりもとんでもないことを口にされたような。
「あ、あの!私はソロモンさんの婚約者じゃありません…!!」
「あらそうなの?お似合いだと思うけど。ソロモン王も喜ぶんじゃないかしら〜」
ニコニコ笑ってそう言ってくる彼女に赤面しつつ、慌てて言い返す。
「そっそれは絶対ありえません!!とにかく私はそういうわけじゃないんです!」
キッパリ断ると彼女はなぜか可笑しそうに笑いだした。どういうことだろうと思っていると笑いながら理由を話し始めた。
「ふふっ、ごめんなさいね?貴女って真面目な子ね。あんまりにも必死だったから面白くて思わず笑っちゃったわ」
クスクスと楽しそうに笑う彼女を見て唖然としてしまう私だったが、アスタロトさんは気にせず問いかけてくる。
「それよりどうしたの?何だか途方に暮れてるように見えるけど」
女の勘なのか大物悪魔だからなのかズバリと言い当てられてドキリとしたけれど誤魔化す必要もないかと思い本当のことを告げることにした。
「実は・・・」
と言ってダビデを突き放してしまった事の顛末を説明すると、彼女はこんな提案をしてきた。
「ああ、人間の世界でいう『家出』ってことね。たまにはいいんじゃない?貴女、真面目そうだしたまには不良になるのも悪くないわよ」
そう言ってアスタロトさんはーー
何とソロモン72柱の悪魔達がこの世界に今作っている自分達の国に私を招待してくれると言い出して!?
***
その夜。
ダビデは自宅でヤマトの帰りを待っていたが夜になっても帰ってこないことに対し焦りを感じていた。
(いつもならこの時間には帰って来ているはずなのに。あの子はいつも夕食を欠かさず作ってくれるからな。まさか・・・何かあったのか?!)
いてもたってもいられなくて探しに行こうとするが一旦冷静になろうと思い直す。
ソロモンの所にいるかもしれないと彼に連絡を取ることにする。
だが彼の所にもいないということで、ダビデはすぐに探しに行くことに決めた。もし何かあってからでは遅いからだ。
(無事でいてくれヤマト……!!)
そうして彼は夜の街へと駆け出すことになったのだった。
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