153 隠された真相?
イサクとヤコブの間に重い空気が流れる。少しの間沈黙が続いた後、不意にイサクが口を開いた。
「……済まない。私だってわかってはいる」
「いえ…。『あのこと』は今はまだ我々3人しか知らないが・・・あの女神に逆らえば対抗派の彼らも危険に晒されることになるかもしれませんから・・・」
そう言って考え込む二人。しばらくしてまたヤコブが口を開いた。
「……今は彼らも対抗派に回れているが…。いずれ彼らも真相を知る時が来るでしょう」
その言葉にハッとした様子のイサク。考え込んだ後でこう答えたのだった。
「お前の言う通りだな、ヤコブ。私も覚悟を決めようと思う」
こうして二人の話は終わりを迎えたのだった。
***
イサクとヤコブが深刻な話をしていた一方、対抗派の1人であるソロモンは食事会の時のことを思い出しながら思案していた。
(ユダ殿があの時、念話を発動できなかったのは・・・もしやーー)
彼は他の者達が気付いてないであろうことに気が付いていたようだ。
それが的中しているなら大変なことになるぞと思いながら、ソロモンは一人思考の海へと沈んでいくのだった。
対抗派と女神派それぞれの思惑と信念が交錯する中、大きな動きが起ころうとしていたーーーー。
イサクを対抗派に転じさせようと改めて行動を起こそうとしていたカインとユダ。
だが、成功するかわからない以上、自分達が実は裏では対抗派だったと明かすことは避けたいと考えた二人は、対抗派同士で話し合った結果ソロモンから情報をもらったという体を取ることにしたようだ。
つまり自分達も対抗派に加わろうか迷っているとイサクに相談し、誘う作戦に出たのである。
だがーーー衝撃的な展開が待ち受けていたのだった。
その日、アダムに呼び出されたカインは彼の口から全く予想外の言葉を聞くことになるのである・・・。